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参加企業インタビューVol.1 パーソルキャリア「キャリアオーナーシップを企業が推進していくことは日本に必要なこと」

2021.05.31

インタビュー

「キャリアオーナーシップが、社会を動かす。」そのような宣言とともに2021年4月「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」がスタートしました。個人のニーズが多様化する中で、雇用モデルの変化が求められる現在において、企業はどう時代の変化と向き合うべきか……コンソーシアムでは、最先端のはたらき方を模索する先駆者となる企業8社が、「個人の主体的なキャリア形成が、企業の持続的な成長につながる」という考えの下、「キャリアオーナーシップ人材を活用し、企業の中長期的な成長を生み出していくには、どうしていくべきか?」という問いについて、議論・実践・検証をしていきます。
参加企業8社はこのコンソーシアムに何を期待しているのか、参画理由について深掘りするインタビュー企画を実施します。
第一弾は、パーソルキャリア株式会社の代表取締役社長 峯尾太郎さんと、当コンソーシアムの研究会に参加する同社執行役員・経営戦略本部 本部長 村澤典知さんに取材。同コンソーシアムのコミュニティ活性化を担当するPotage代表取締役の河原あずさが伺いました。

峯尾 太郎
パーソルキャリア株式会社 代表取締役社長

中央大学理工学部卒業後、1994年インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。2002年に同社執行役員、2010年4月常務執行役員に就任。2016年4月より代表取締役社長。公益社団法人 全国求人情報協会 理事も務める。

村澤 典知
パーソルキャリア株式会社 執行役員 経営戦略本部 本部長

一橋大学経済学部卒/伊藤邦雄ゼミ。新卒でトヨタ自動車に入社し、グローバル調達本部にて部品メーカーの経営改善などに従事。その後、A.T.カーニーなどで経営コンサルタントとして経営戦略や新規事業、マーケティングのプロジェクトに従事。2018年にパーソルキャリアに入社。CMOやCPOなどを経て、現在は経営戦略や新規事業(はたらく未来図構想)、ミッション推進などの責任者などを担当。

INDEX

キャリアオーナーシップについての最先端の事例を学び、世の中に取り組みの意義を発信したい

「キャリアオーナーシップが、社会を動かす。」というメッセージを元に「はたらく個人と企業の新しい関係性」について考える当コンソーシアムですが、パーソルキャリアさんはなぜ、参加を決意されたのでしょうか?(Potage・河原あずさ 以下、河原)

経営戦略本部 本部長・村澤 典知(以下、村澤):私たちはコンソーシアムのさまざまな会員企業様との交流を通じて、キャリアオーナーシップについての最先端の事例を学び、世の中に取り組みの意義を発信していきたいと考えています。

今、キャリアに関する個人の価値観はどんどん多様化していて「自分でキャリアを選んでいく」という考え方がどんどん広がっています。しかし、大前提として、企業としての仕事があって初めて、個人としてのキャリアが実現されるわけです。ということは、いくら個人が変わっても、企業が変わらないと社会は変わらない。そこで大事なのは、キャリアオーナーシップに取り組む企業自身が、先端的な企業の取り組みの成功事例や失敗事例を学んでいくことだと考えています。今回、コンソーシアムに参加する各社は、国内でも先進的な取り組みをしている企業です。もちろん弊社も事例や経験を共有していきますし、他社の事例も学びながら、一緒にさまざまな実験をしていきたいと考えています。その知見を自社に持ち帰り、新しい取り組みに活かしながら、「新しいはたらき方像」を世の中に発信していきたいのです。

そして、参画する各社の取り組みも同様に世の中に共有されれば、より多くの企業が後に続けとばかりに、キャリアオーナーシップについて前向きに検討するのではないかと考えています。

コンソーシアムの名前にもなっている「はたらく未来」ですが、御社の考える「はたらく未来」のイメージについて教えて下さい。(河原)

村澤:弊社としては、今後の雇用環境においては、大きく3つの変化がますます加速すると考えています。まず1つ目がフラット化です。個人よりも企業が強いという終身雇用を前提とした関係は崩れて、対等に近い関係になります。2つ目は流動化です。転職や出戻りなどが増えて、個人と企業の関係が流動的に変化します。3つ目は多様化です。特定の雇用形態ではなく、副業で数社と関係を築くなど、多様な働き方が進んできます。

このような社会になると、個人も企業もお互いを選ぶような関係となるため、一種の緊張が生じます。そう考えると、お互いの成長に繋がる “共創パートナー” になるのが、理想的な「はたらき方の未来」ではないかと私たちは考えています。

パーソルキャリアの社員のキャリアオーナーシップを育む取り組み

御社は経営としても、早くからキャリアオーナーシップを重視してきた印象があります。経営戦略から人事戦略、そして取り組みへ、どのように落とし込んでいったのでしょうか。(河原)

代表取締役社長・峯尾 太郎(以下、峯尾):人々に「はたらく」を自分のものにする力を-という弊社のミッションは、キャリアオーナーシップを持つ人を社会に増やしていくことも目指しています。それを世の中に広めるには、まずは自分たちがその本質を理解しなければならないと考えています。そのため、社内勉強会や経営陣と社員との対話、社員同士のワークショップのほか、社内でもさまざまな取り組みを進めてきました。

この他、社員一人ひとりがポテンシャルを発揮し、自律的・主体的に活躍するためにも、キャリアオーナーシップを持つことは重要な要素と考えており、社員が自らのキャリアを考えたり、行動したりすることを支援する取り組みも行っています。例えば、内イントラネットで、社員が受けられるキャリア関連の社内制度や取り組みをまとめた「キャリアデザイン ガイダンス」というページを新設し、社員が気軽にキャリアサポートが受けられるようにしました。このほか、キャリアサポートの代表的なものでは、複業制度、希望する仕事を短期間体験し、自律的な学びとキャリア選択のきっかけを得ることができる「ジョブトライアル」、社内求人サイトのようなデザインで希望の職種に応募ができる「キャリアチャレンジ」を制度化するなど、従業員の意思さえあればさまざまなチャレンジできるような仕組みを作っています。考えて終わるのではなく、部署異動が柔軟にできたり、複数の部署を兼務して「社内副業」的な働き方ができたりすることで、実践の機会を設けていることが特長です。

また、こうした仕組みをうまく活用してもらうために、社内の仕事を紹介するオンライン図鑑「お仕事図鑑」を作って社内に公開しています。どんな仕事があって、その仕事につくにはどんなスキルが必要で、どんなスキルが身につくのか、社内の職種について紹介しています。

従業員個々の可能性を引き出していくという考え方ですね。一方で、個人の可能性を組織力に変えるために、どのような施策を行っているのでしょうか。(河原)

峯尾:管理職に対して「社員のキャリアをサポートすることが大事な仕事だ」という価値観を浸透させています。キャリアオーナーシップ施策のしわ寄せは、中間管理職にまずくるんです。マネジャーが、メンバーのキャリアに向き合わないと「ウチのマネジャーは何を言っても通じない」など、社員から不満が出てきてしまいます。それができない管理職は存在意義を失う、そんな自覚を持つ必要があります。

そこで、マネジャーがキャリアサポート支援を重視するように、「i-design」という制度を導入しています。全社員を対象とした年1回の上司とのキャリア面談で、本人が大切にしたい価値観、強みや弱み、社内や部門に囚われない今後のキャリアビジョンなどを上司と対話し、1年後の状態目標を検討していきます。

キャリアオーナーシップの考えが社員全体に浸透するように、人事評価制度への落とし込みも始めています。例えば最近では「外向き」「自分ゴト化」「成長マインド」という弊社が大切にする価値観である3つのバリューを、コンピテンシーを評価する「VALUE体現度評価」として人事制度に落とし込み、その発揮度合いに応じて基本給が昇降給する仕組みに変更しました。これらのバリューは、キャリアオーナーシップを持つためにも必要な要素です。昨年から始めたばかりで調整しながらですが、徐々にうまく回ってきています。

村澤:評価制度に落とし込んだからこそ、組織内でキャリアオーナーシップに対する理解も一気に浸透している印象です。四半期ごとに、社員にミッションの理解度やバリューの体現度を調査しているのですが、当初は4割から5割だった理解度が、最近の調査では7割まで上がっており、その浸透を裏付けています。

従業員の方々の自立心を養い、流動性を上げる取り組みを社内で推進した結果、離職者が増えてしまうという懸念はなかったのでしょうか?(河原)

峯尾:正直に言えば、制度を取り入れた当初は、懸念はなくはありませんでした。しかし、会社にフィットせずに社員が離職してしまうのは、経営力の弱さの現れです。従業員に選ばれるためには、社員が力を発揮できる環境であり続けるよう常に経営側が努力し続けなければなりません。外部の人から選ばれる組織であるべきなのはもちろんのことですが、内部の人からも選び続けられる組織に発展し続けなければと考えています。

世の中でより多くの人がキャリアオーナーシップを発揮して活躍するためには「もっとこれが必要だ」と思うことはありますか?(河原)

峯尾:企業は社員のことを、もっと大人として見るべきだと考えています。経営側は良かれと思って、社員に対して「何かを手厚くサポートをしてあげなくてはならない」「管理してあげなくてはいけない」「導いてあげなければならない」と考えてしまいがちです。

例えば、今の時代でも直行直帰が認められない会社がまだまだたくさんあります。社員が仕事をサボるかもしれないという発想が、そこにはあるわけですよね。いわば、子ども扱いしているわけです。

しかし、経営を強くするためには社員のポテンシャルを引き出す必要があります。そのためには、もっと社員を大人として見て、責任も権限を与えればいい。その方が、自分で意思を持って自律的に行動し、成長し続けるのではないでしょうか。

コンソーシアムを各社の体験を通じて、お互いに学びあう場に

「多くの人がキャリアオーナーシップを発揮して活躍する社会」を実現するために、コンソーシアムに期待していることを教えて下さい。(河原)

村澤:弊社はキャリアオーナーシップについてさまざまな取り組みをしておりますが、一方で先ほどの質問にもあったように「キャリアオーナーシップを推進すると社員が辞めてしまうのではないか?」と不安を感じて、なかなか前に進めない、変化に及び腰な企業が、まだまだ大多数なのが実情です。積極的に取り組んでいる先進的な企業の皆様と一緒に、変化を起こしていきたいと考えています。

一部では、キャリアオーナーシップが「好きにやればいいと考えるわがままな個人を増やしていく」概念だと誤解をされているかもしれませんが、私たちも社内で取り組んでいく中で学んだのは「自分のキャリアを自分で決める」というのは、「好き放題にやっていい」という意味ではないということでした。

組織の中で一人ひとりがキャリアオーナーシップを持ったはたらき方を遂行するためには「やりたいこと」「できること」「求められていること」をベン図でバランスよく重ね合わせて共通項を見つけて言語化し、個人と企業が同じ認識に立つ必要があります。

私たちがコンソーシアムに期待するのは、世の中の価値観の変化のきっかけになることです。キャリア研修の実施、副業の解禁などの施策は広がっていますが、それだけでは不十分だと感じています。しかし、私たち自身も、答えを持っているわけではないのが実状です。

本質的な変化を促すには、もっとさまざまな実験を重ねていく必要があります。キャリアオーナーシップの取り組みに対して経験値のある他の参画企業様と一緒に試行錯誤しながら実験ができれば、1社だけで取り組んでいた時より、もっとたくさんの気づきを得られるでしょう。お互いの持っているノウハウを各社に共有していくことで、変化を促せるのではないかと考えています。

峯尾:私たちは、長期的に見たときに、キャリアオーナーシップを企業が推進していくことは日本に必要なことだと感じています。先ほど申し上げたとおり、取り組み自体が個人のポテンシャルを引き出すことにも繋がりますし、それが社会全体の生産性の向上につながります。これは、労働人口が減少する日本が成長していくためには、絶対に必要不可欠です。

自社でより一層推進していくためには何が必要なのかを社外からも積極的に学んでいく必要がありますし、コンソーシアムでは各社の体験を、お互いに学びあう場にしたいと考えています。キャリアオーナーシップは正解がない分野です。それぞれの企業が最適なあり方を探し続ける必要があるのです。お互いに学びを得て、さまざまな取り組みをご一緒しながら、良いインスピレーションを与え合えたらと考えています。

本日はどうもありがとうございました。(河原)

コラムパーソルキャリアが取り組むミッション経営

パーソルキャリアは-人々に「はたらく」を自分のものにする力を-をミッションとして掲げ、キャリアオーナーシップを持った人々を社会に溢れさせるべく、経営・事業・人事が一体となって、社外・社内でさまざまな活動を行っています。その一部をコーポレートサイトで公開していますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

パーソルキャリア:
ミッション推進に向けた取り組み新しいウィンドウで開きます

パーソルキャリアのミッションをイメージしたミューラルアート「Mission Wall」の前で撮影