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キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第4期)

第1回 第4期(2024年度)のキックオフミーティングを開催しました。

2024.08.20

研究会

今から3年前にあたる2021年4月20日、「個人の主体的なキャリア形成が、企業の持続的な成長につながる」という考えに基づき、社や業界を超えて「はたらく個人と企業の新しい関係」を模索する企業8社が「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」を開催しました。そこから参画していただく企業が増え続け、第4期目となる2024年度は過去最大となる48社、200名を越える人事の皆さまが参加することとなりました。
 
本コンソーシアムでは、「個人の自律的なキャリア形成が、企業の持続的な成長につながる」という考えのもと、議論・実践・検証を行い、参画企業・団体、および社会に対して、普及させる方法を提言していきます。
 
第1期(2021年度)では、社員のキャリアオーナーシップ育成を、経営戦略の中に位置付け、キャリアオーナーシップ人材育成の制度を体系化する取り組みが始まりました。
第2期(2022年度)では、キャリアオーナーシップを育成するにあたり生まれた6つの課題を洗い出し、実際にキャリアオーナーシップを育成する取り組みを形作りました。
 
第3期(2023年度)では、キャリアオーナーシップを企業へ浸透させ、全員を巻き込んでいくためのステップを具体化しました。その成果は「はたらく未来白書2024」に掲載されています。
 
そして2024年7月16日、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム 第4期」がスタートしました。第4期は「これまでの期で培った資産を活用して、参画企業各社によるキャリアオーナーシップを発揮する社員と事業・組織の成長をつなぐキャリアオーナーシップ経営の先進実践事例を作る」べく、議論を重ねていく予定です。
 
コンソーシアムの日々の活動の様子を当ホームページで紹介していくほか、2025年3月には、第4期活動の成果を報告する公開イベントを実施、合わせて活動報告書「はたらく未来白書 2025」を発行する予定です。
 
記念すべき第4期キックオフの研究会は、オンライン・オフラインのハイブリッドで開催。本コンソーシアム顧問である法政大学キャリアデザイン学部教授の田中 研之輔先生(タナケン先生)がコンソーシアムの目的を共有しました。その後、企業数社ごとにワーキンググループを作り、第4期で議論したい自社の課題について話し合いました。

INDEX

    田中 研之輔先生(タナケン先生)からのご挨拶

    タナケン先生:
    今日お伝えしたいことをワンメッセージで言いますと、「キャリアのその先へ」ということです。単に自分探しをして、どう働きたいか見つかってよかったね、ということで終わらせず、キャリアオーナーシップが事業成長へ貢献していく流れを作っていきたいのです。

    この「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」は、伴走型です。年に1度集まって満足するのではなく、1年を通して参画企業さんの成長に添い遂げていく。日経平均株価が42,000円を超えるなかで、社員がひとりひとり躍動し、さらに伸びていくしかないよねと。

    これまで、7つの研究テーマをともに、知見を築いてまいりました。しかしながら、全国規模ではまだまだです。たとえば、日本の企業を対象にリサーチしたデータですと、CHROという役職は全体の20.0%にしかいません。これから導入する予定の企業をあわせても、3割程度です。

    人的資本経営と、戦略人事との結びつきができている企業も限られます。人事部門が戦略人事として機能しているかどうかという設問においても、売上がいい企業では戦略人事が機能していますが、市況よりも悪い企業では機能していません。業績が悪い企業では、人事部門が管理業務に追われていらっしゃる。

    今期の課題はこういった状況を踏まえ、いかにしてキャリアオーナーシップ人材を育て、業績に貢献していくかを考える機会としていただきたいと思います。

    何をすべきかはもう見えています。上の図は、1)しっかり自律したキャリアを歩みたいと思う人間を育てること。そして、 2)領域を超えてキャリア経験をさせること、が条件であると記されています。

    私はこれから、人的資本経営は上図のようになると思っています。ビジネス資本、社会関係資本、経済資本など目に見えない資本を積み上げて、キャリアを蓄積していく。

    たとえばこんな図のように、キャリアを年代で分けて、資産を積み上げていく。そうすると、キャリアオーナーシップ経営を実現できるわけです。

    まとめると、「組織内キャリアから、自律的なキャリアへ」を実現するために、経営層・CHROの対話促進や、キャリアAIデータの解析を軸にして、教育、研修といった手法に落とし込んでいただきます。また、そのプロセスをコンソーシアムで共有していただくことで、さらに改善していきたいと思います。

    第1期での頑張りもありますが、これだけの企業が集まってくださったということで、さらに大きな力が生まれます。実践の営み、理論的知見もどんどん発信できればと思いますので、みなさんとキャリアオーナーシップを軸に日本の未来を盛り上げていきたく、これから何卒よろしくお願い申し上げます。

    第4期コンソーシアム活動の全体像について

    続いて、コンソーシアム事務局の伊藤 剛(パーソルキャリア)から、今期のスケジュールとアクティビティの紹介がありました。

    伊藤 剛(事務局):
    まずは8月でみなさまのゴールやテーマについて、目線を合わせていただくことになります。そこで各社さんが抱えていらっしゃるところをすり合わせていただきます。その後、9月から分科会と全体会を繰り返しながら、問いに答えていただきます。

    2025年の2月までには、成果となる白書を制作いたします。分科会では、必ず全員がなにかの係を作っていただき、全員が能動的に参加していただいて運営していきたいと思います。全体会の一部は、リアル会場とオンライン会場のハイブリッド参加形式となります。対面で参加できる方には、ぜひお越しいただければと思います。

    さらに、今年から新しい取り組みとして「部活動」を設置いたします。
    部活動では分科会のテーマからあぶれてしまったけれども、2-3社で話し合いたいといった小テーマを独自に研究していただくものです。掲載したルールに沿っていただければ、自由にご参加いただけます。また、内容によっては、事務局も可能な限りサポートいたします。

    さらに新たな取り組みとして、人事部長のための勉強会の企画を検討しています。現場のみなさんが学んだことを実践・推進していただくためには、人事部長にも頑張っていただく必要があります。詳細が固まりましたらご案内いたしますので、少しお待ちください。

    そして、毎年実施している相互副業は今年も開催しますが、それに加えて、同職種で越境していただく「同職種のクロスメンタリング」、および「相互キャリア開発留学」を企画いたします。相互キャリア開発留学では、他社の「中長期キャリア開発研修」を受けていただくことにより、相互に学習していただくものです。人事以外の社員もお連れいただくことで、反応をみていただくことができます。興味がある参画企業の方は、ぜひご連絡ください。

    取り組みテーマ検討 in Working Group コンソーシアムを通じ
    具現化したいテーマの設定

    第1回では、事前アンケートで各社に提出してもらった「コンソーシアムで議論したいテーマ」を元に、近しいテーマの企業ごとのグループをつくり、テーマや自社課題の詳細を話し合っていただきました。今後のこの議論を通じて、正式なコンソーシアムの取り組むテーマと分科会が組織されます。

    1. キャリアオーナーシップと組織/事業貢献の見える化
    2. キャリアオーナーシップ経営を促進するマネジメント層のキャリアオーナーシップ
    3. キャリアオーナーシップ人材を活かせる組織のつくり方
    4. 自ら考え自律的に動く人事
    5. リスキリングの場づくり
    6. 越境(副業/兼業含む)活動の事業実験
    7. キャリアオーナーシップ意識の理解/浸透/検証アクションの検討① ―全社的な理解浸透―
    8. キャリアオーナーシップ意識の理解/浸透/検証アクションの検討② ―特定世代への課題や具体的な社内の人材流動化アクションの推進―

    今回は3つのグループに議論の途中経過を発表してもらいました。

    2グループ:キャリアオーナーシップ経営を推進する
    マネジメント層のキャリアオーナーシップ

    大きいポイントは3つで、まずは上司―部下の関係性、マネジメント層の意識、そして制度設計です。

    組織制度としては単年でがんばれ、がんばれと言いがちです。ですが、それを超えて上司―部下で語り合えているでしょうか。上意下達、年功序列もキーワードに出てきており、こういった文化ではキャリアオーナーシップを浸透させづらいかと思います。弊社ではそろそろ、浸透という言葉をやめ、キャリアオーナーシップにどう共感していこうか、と話しています。浸透そのものが、上意下達的だからです。

    目標設定面談にキャリアオーナーシップの話を入れるようなアプローチもしていきますが、それがまたキャリアオーナーシップと相反するところがないかも考える必要があります。王道といえる手法はないですね。

    タナケン先生からのフィードバック:
    日本は上司が多様ですよね。いいマネージャーにつけば、キャリアオーナーシップ型のフィードバックをしてもらえます。逆に、当事者意識が持てないマネージャーのもとにつくと、キャリアオーナーシップをないがしろにされてしまう。こういった、当事者意識を持てないマネージャーにどう共感し、語りかけていくかです。

    今のZ世代はみんなクリエーターで、SNSを通じて自主的にものを作ることに慣れています。その若手も活躍できる組織にしていくために、人口ボリュームとして多い私たちこそが変わっていく必要があります。

    また、キャリアオーナーシップ施策を入れていっても、四半期や1年では成果がでません。中長期経営計画に入れても、じわじわと後から成果が出るタイプの取り組みです。それを我慢ができるかどうかは、キャリアオーナーシップ経営の肝になると思います。「中経の3カ年を、2年後ろから追いかけますよ」とあらためて経営層に伝えていく必要があります。そうすると、5年後に大きな成果が出ます。

    3グループ:キャリアオーナーシップ人材を活かせる
    組織のつくり方

    私たちのチームでは「各社とも、キャリアオーナーシップを育てる仕組みはあるけれども、組織長の関心に委ねられている面がある」という話をいたしました。個人に頼らず、どう組織で育み、事業に反映するかを今後話し合っていきたいと思います。

    去年までですと、KPIが大事だという話がありましたが、今年は指標を定めつつも、5社でも異なる組織課題があると思いますので、具体的にどうすればキャリアオーナーシップがある個人を育てられるのか、という議論にしたい考えです。

    タナケン先生からのフィードバック:
    みなさんが共通認識を持ってほしいのは、日本組織は組織内キャリアです。多様性ではなくみんな一緒にやっていきましょうと。ただ、それではグローバルで存在感を出せなかったですよね。ですから、変わっていこうという取り組みです。

    若手はキャリアオーナーシップをしています、マネージャーはしていません。それでは徹底されないので、評価基準から変えていく。そういうことをどこまで同時に、アジャイル型で構わないのでできるかを、伴走していきたいと思います。

    7グループ:キャリアオーナーシップ意識の理解/浸透/
    検証アクションの検討① ―全社的な理解浸透―

    私たちはまず、キャリアオーナーシップと経営戦略の連動が必要ではないか、という話をしました。まずは1) キャリアオーナーシップの重要性に関する社内外の情報発信、2)キャリアオーナーシップの学びを得られる研修等の支援、そして3)さらにサポートを受ける仕組み……という、連続性のあるキャリアオーナーシップ支援が必要ではないかという話が出てきました。
    突然実践してもらってもキャリアオーナーシップが浸透しなかったり、想像よりも理解が進まなかったりしたという経験談が、参加チームから生まれたためです。今回は、そこまでの議論となりました。

    タナケン先生からのフィードバック:
    おっしゃるとおり、3年、5年スパンでのサイクルを考える必要がありますね。第1期から第3期のコンソーシアムでは、模索の時期もありました。しかしながら、走り抜いた企業を見ると、エンゲージメントも幸福度も上がる。それは見えてきています。キャリアオーナーシップを徹底するというと矛盾しているようですが、なるべく全社員に語りかけ続けていきたいですね。

    構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
    企画:伊藤 剛(キャリアオーナーシップ リビングラボ)
    グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)

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