各分科会の議論方針紹介(2、3、5、9分科会)
前半では、第2、3、5、9分科会がこれまでの議論の紹介を行いました。
残りの分科会は次回の研究会で発表の予定です。
第2分科会 マネジメント層のキャリアオーナーシップ意識改革
1班
私たちはキャリアオーナーシップに対する意識を変えるための課題と打ち手について議論しています。まずは課題を分解して、何が課題なのか、そして背景に何があるかを洗い出しているところです。
参画企業の中では2番目の「マネージャー自身のキャリア意識の向上とメンバーの成長支援」が最大の課題としてピックアップされており、ここに焦点を当てたいです。
第2分科会 マネジメント層のキャリアオーナーシップ意識改革
2班
私たちはマネジメント層のキャリア開発力の推進を議論しています。単なる提言にとどまらず、実践につながる施策を考えているところです。そのためにも、キャリア開発の現在地を知るべく、マネージャーへのキャリアオーナーシップ意識についてクロスインタビューやアンケートを実施します。
現在は手元にあるデータをもとに状況分析をしています。来月以降にインタビュー対象となる部署を選定し、企業を超えて共通アンケートを実施する見込みです。アンケートではキャリア開発の高低差と、進んでいないところでは何がネックになっているかをつかみたい考えです。最終的には提言を超えて、組織運営、事業運営、キャリア開発支援などへの実践へ導く流れを作りたいです。
第3分科会 キャリアオーナーシップ人材を活かせる
組織のつくり方 1班
私たちはキャリアオーナーシップが目覚めた、育った社員を活かす組織をいかに作っていくかについて議論しています。この論点については従業員の主観が一番大事だと考えておりますので、従業員主観調査の結果を踏まえたモデルを具体的に作っていければと考えています。
たとえば、同じ組織のなかにも、個人ベースでは多様な働きがい、やりがいがあるのではないかという仮説を立てています。というのも、私たちはキャリアオーナーシップ意識という言葉が、単一的な価値観が前提になっていないだろうかという課題感を抱いたからです。
そこで、個人のはたらく価値観を分類する7因子を使いつつ、よりメンバーの価値観に応じたキャリアオーナーシップ施策の設計と、組織風土づくりができればと考えたのです。
最終的には各従業員が幸せを感じる要素を見える化できれば、もっと違った観点でキャリアオーナーシップ施策をアップデートする道筋が見えるのではないかという狙いです。
第5分科会 リスキリングの「場」と「仕組み」のつくり方と実践
私たちは参画企業のみなさまにも調査をお願いさせていただき、リスキリングの場と仕組みづくりを研究していきたいと考えています。
作成したロードマップでは、今後調査対象を決め、コンソーシアム参加企業への調査依頼を行っていきます。その後、結果を集計・分析し、体系化していきます。
調査では(1)リスキリングの施策がある・ない(2)施策が浸透している・していない の2つのフェーズがリスキリングについてはあると考えており、それを体系的にまとめていければと思います。
第9分科会 キャリアオーナーシップ実践を阻む壁とその打ち手
-キャリアオーナーシップ非協力者の相互理解と共存アクション-
私たちはキャリアオーナーシップへの非協力層をどう押し上げていくかについて取り組んでいます。現時点ではキャリアオーナーシップに対する「非協力者・理解者・実践者」に層を分け、それぞれを定義しました。今後はみなさまへアンケートをお願いさせていただき、打ち手を出していければと思います。
各分科会によるタナケン先生との壁打ち
研究会後半は、各分科会に分かれて議論を再開し、タナケン先生が各分科会を訪問して質問に答えていく壁打ち会を実施しました。
第1分科会 キャリアオーナーシップと組織・事業貢献の見える化
タナケン先生:
前期から課題の難易度が高いチームですよね。いかがですか。
――昨年取れていなかったキャリアオーナーシップに関するデータが今年は取れたので、これからデータ分析ができそうです。
タナケン先生:
経営陣がどういう数値を求めているかをとらえたうえで、経営層に伝わる言語でアプローチしていきたいですよね。粒度をそろえるといいますか。「キャリアオーナーシップ診断」などの枠組みは進展していると思いますから。
ゼロからキャリアオーナーシップの尺度をつくってしまうと難しくなりますが、たとえばサクセッションプラン×キャリアオーナーシップとか、リスクマネジメント×キャリアオーナーシップは相関があるのか、女性活躍推進とキャリアオーナーシップ、といったデータを出すことならできるのではないかと。
チャレンジングではあると思いますが、突破できればコンソーシアムとして大きな成果が出せると思います。虚偽ではいけませんが、掛け合わせた指標をもとに新たな尺度をつくるくらいの気持ちで頑張ってください。
第2分科会 マネジメント層のキャリアオーナーシップ意識改革
1班
――先ほど自己紹介で申し上げたとおり「マネージャー自身のキャリア意識」について全員が興味を抱いているところではありますが、せっかくなのですべての項目について、いったんマップを作ろうと思っています。
タナケン先生:
いいですね。さらにやってほしいのが、「時間がない。月に1回、30分ごとしか時間がないとして、そこで何をやっていけるのか」という具体的な打ち手ですね。
「キャリアオーナーシップが必要という意識はありますよ。でも、どうすればいいんですか?」と、みんなが思っています。「15分でできるキャリアオーナーシップマネジメント」のような、自走できるプログラムを作ってあげる。キャリコンなどプロが常にいないと、キャリアオーナーシップは進展できないんです。マネジメント層は優秀な方で、会社の意向にもキャッチアップが早いですから。
たとえば最初の30分で何をして、次回は何をするか。
「ステップ1:キャリアオーナーシップを理解する動画を見る」みたいな、ワークアウトのメニューを作っていただきたいです。テーマを絞るのは良いと思いますよ。マネージャー陣は困っているからです。
――クイックアクションを作っていって、それをPDCA回しながら、キャリアオーナーシップを育てるためにこうやりましょう、というガイドを作ってあげるイメージですね。
タナケン先生:
その通りです。このチームはマップづくりを担当して、2班はガイドブックを作ってもいいですね。まるでふらっと立ち寄れるジムのchoキャリアオーナーシップZAP(チョコザップ)のように、できる環境を整えてあげてほしいです。無茶ぶりなのはわかりますが。
第2分科会 マネジメント層のキャリアオーナーシップ意識改革
2班
タナケン先生:
すでに質問はスライドにまとめてくださったかたちですね。アンケートは独自で作る予定でしょうか?
――そこも相談したいと思っていました。アンケート対象は人事部に限らず、各社の管理職とメンバーに実施したいと考えています。各社2-3組織で考えると、各社300名ずつでしょうか。
タナケン先生:
独自のアンケートにするなら、何年も使えるくらいのデータにしないと、この期にしか通用しないアンケートになってしまいますよね。参画企業はこれまでに最大4回のアンケートへ参加されているので、”アンケート疲れ”も起きています。またアンケートを実施するなら、「これから同じものを使い続けるので」と言わないといけない。そういった意味で、タフかもしれませんね。
たとえば、過去に私は「キャリア開発診断」を実施しました。アンケートの作り方についてはその履歴を参照していただけるかもしれません。レーダーチャートで6カテゴリーくらい作って、60問つくる。これなら10分くらいで実施できます。
これが100問になると、答える側も疲れてしまう。富士通さんの事例では16問まで絞りました。また、どんな質問がどんなキャリアオーナーシップのありようを評価できるのか、ディフェンスできるようにしておく必要があります。「なんでこれを聞くの?」という答えも必要です。このあたりを考えると、間に合うかな……?という課題があります。
アンケートはn=1,000くらいないと厳しい。そのあたりの設計も考えると、忙しい中で大変になりすぎるかもしれない。代替案として、定性的なデータでインタビューをもとに作っていくやり方がありますが……いかがでしょうか。
第3分科会 キャリアオーナーシップ人材を活かせる
組織のつくり方 1班
――キャリアオーナーシップ人材を活用できる組織のことですが、短期と中長期の観点や、仮設を構築していくのはいいとして経年変化もあるよね、という意識あわせが必要だなと議論しています。
まずは各社でやっている施策や課題感を集約し、見える化までは努力できている。ただ、今後は何を見ていこうかねと。
タナケン先生:
時間軸でいうなら、3年はほしいですね。5年、10年の未来は長すぎる。10年のジャーニーだと描きづらい。3年でここまでいく、最初の1年はこうする……といった目標です。
確かにいま、統合報告書や中長期経営計画に時間軸がないのが課題ですよね。トップとCHROがまずキャリアオーナーシップの重要性を発信します、次にマネジメント層が研修を受け、次に……といったスケジュールを3か月ずつずらしながら組んでみるのはいかがでしょうか。
コアは人事部ですから、みなさんの手でどこまでいけるのか。3か月×4の1年として、その3年分。つまり、12マスのアプローチステップを作っていただきたい。そうすると、現在地がわかるようになるはずです。すべての企業に当てはまらなくていいですから、ある程度成功確度が高いですよと言えたら、素晴らしいですよね。
第4分科会 キャリアオーナーシップ実践レベルをあげる
HR部門の新たな役割
――HR部門がどのようにキャリアオーナーシップ概念をかさ上げできるかを考えていきたいと考えており、第一歩目ではまず仮説を立てるところまでやってきました。キャリアオーナーシップ浸透の進捗は人事制度ごとに異なるのではないか。その制度自体のよしあしというより、やるべきことが人事制度ごとに整理できればという意図です。その違いを浮き彫りにすることで、具体的な打ち手を用意していきたいと考えています。
タナケン先生:
これは人事の話ですから、当事者のみなさんが集まれば、すぐ進められるはずです。そのうえで、HR部門の新たな役割としては、何があると思いますか。
――正直なところ、まだそこまでたどり着けていない状態です。
タナケン先生:
このチームにはもう少しアグレッシブに「ここから10年間必要なHR部門の役割はこれだ」くらいの宣言を出していただけるとありがたいです。コンソーシアムは研究ではないため、理想像を掲げて、そこへ向かっていくとインパクトが生まれやすい。
HRの新たな役割として、今後何を理解し、どういうモードで仕事を進めていくべきなのか。そのスイッチをみなさまに入れていただく役割を果たしていただきたいです。HRのかさ上げというものは、現場にあるものを寄せ集めてもできない。
未来のHR図を作るのは、みなさんが新たにやるべきことです。未来のみなさんが、「あのとき、キャリア開発の大転換のきっかけができたよね」と言える理想を言語化していく作業が求められているように思います。
第5分科会 リスキリングの「場」と「仕組み」のつくり方と実践
――各企業でリスキリングのデータはもう出ていると思いますので、どういうところで成果が出ているのかを調べたいと思っています。特に、社員のリスキリングに対する動機付けの部分ですね。どうしたら社員が継続的に学んでくれるのか。それを吸い上げて、体系化していきたいです。
であれば、私たちはどうやってその事例を収集していくとよいかを議論していました。たとえば、とある教育制度がリスキリングにうまく作用したとします。それはどういう企業に向いているのか、リスキリング全体についてもいえるのか、といった調査をしたいです。
タナケン先生:
たとえば、リスキリングがうまくいっている企業は、どこだと思いますか。
――まだ、何をもって「うまくいっている」と言えるか? の段階を議論しています。
タナケン先生:
感覚的にわかっているのは、リスキリングはe-ラーニングかオンサイト(現場)研修しかないですよね。自発的な読書は期待できない。そのような経緯で、リスキリングの場を用意しても、やっているのが2割弱。継続者はもっと少ないのが現状です。
リスキリングに成功している企業は、キャリコン斜め上の上司など、伴走する担当者を付けているか、アカデミー型にやっているかです。こういった成功例で挙がるのはマクドナルドさん、キリンさんなどですね。
たとえば、リスキリングがうまくいかない企業は、伴走する方がいませんと。理想像は、アカデミー型にして、さらに個人の並走者がいる。ゲーミフィケーション、ポイント還元、トークン化など、普段の我々が動機付けされる仕組みを使っていく。あるいは、リスキリングを昇進で評価基準にしてしまう。ある職位につくには、MBAを必須とする……といったアプローチですね。
いったん、社会の潮流としてリスキリングが必要だという旗が立ち上がったとは思いつつ、現場は動けていない。だからこそ、この分科会から動機付けの言語化をしてほしいですね。
第6分科会 越境活動の事業実装 -事業貢献の定量検証-
――まずは、どの企業が何をしたいか、をまとめました。そこで人気が突出していたのが社外の相互副業でした。
タナケン先生:
越境というと、社内外で分かれますが、社外は大きなチャレンジですよね。社内の越境はリーディングカンパニーなら聞きますが、社外越境は無理だよ、という代表がたくさんいらっしゃるのですね。まずは社内の越境経験を浸透させる、そして慣れてきた段階で、社外越境を準備する。最初から社外を準備しても、誰も手を挙げませんから。
特に、ミドル層以上になるとジョブローテーションで社内越境を実現していますから、ベテランほど社外越境へ出したほうがいいのではないでしょうか。「社外越境をやっておいたほうがいいよ、みなし労働ではなく、本業8割、副業2割としてやっていいよ」と伝えてください。
「そのまま他社へ出ていってしまうのではないか」と、おびえる方もいらっしゃると思います。ただ、同じホールディングスで越境する手段もありますよね。
たとえば、みずほさんはみずほ銀行とみずほ証券で越境プログラムを組んでいます。そういうことなら、流出のリスクを大きく考えずにすみますし、経営陣を説得しやすいですね。最後に、世の中へのインパクトも考えてほしいです。よろしくお願いします。
第7分科会 事業成長とつながるキャリアオーナーシップ行動の
起こし方
――私たちは組織をいくつかのパターンに分けて検証したいと考えています。現場を持つ組織・専門家集団・その他……という分け方をしたうえで、それぞれのレイヤーに分けて提案をしていきたいです。現在停滞しているのは、この切り口をどうすべきかです。
タナケン先生:
主体的なキャリアオーナーシップは必要だね、中長期経営計画にも入れたいね、という経営層の理解があるから、みなさんはこのコンソーシアムに参加していると思います。しかし、マネージャー層と現場は別ですよね。この二者をどう巻き込んでいくかが、重要な課題となります。全社へのアプローチというと、むしろこの方々がボリュームゾーンになる。
キャリアオーナーシップ経営が盛り上がっている企業だと、私が訪問するだけで1,000から2,000人が来てくださる。社内のイントラで何度も発信していただいて、トップからも発信していただいて、それでも100人、200人しか来ないところと何が違うのか、ということです。
みなさんの中では全社理解の浸透度を明らかにすることへ注力されたいのか、それともどうやって浸透させるかの打ち手まで提示したいのか、どちらでしょうか。特に、最後まで参加しない層がいますよね。自主的な参加をうながしても、絶対にイベントへ来ない方々。そういう方へどうするのかは知りたいです。
カテゴリー分けだけではもったいないので、内定者研修や新人研修といった、階層の節目でこういった話がされないと、キャリアオーナーシップは徹底されませんよね。若手がキャリアオーナーシップを考えても、マネージャーがつぶしたら意味がない。ぜひ、そのあたりの浸透を検証していただきたいです。
――先生のお話を伺ってカテゴリー化に力を入れるよりも、どこかに絞って議論したほうが実りがあるだろうなと考えたのですが、経営層は理解している前提でしょうか。
タナケン先生:
「全社員にキャリアオーナーシップを浸透させる」取り組みは本コンソーシアムで今まで誰もやったことがないので、チャレンジする価値があると思います。ただ、みなさんがやりたいことを優先していただいて構いませんので、それであれば経営層の説得などに注力していただいても構いません。ただ、他の分科会と重なってしまうともったいないので、全社向けアプローチをおすすめさせていただきたいです。
第8分科会 自発的にキャリアオーナーシップを意識させる
実践的アプローチ -特定の不動層対応と具体的な打ち手- 1班
――私たちは不動層への打ち手を考えています。そこで、キャリアオーナーシップが進んでいる会社とそうでない会社でアンケートを取って、業種や業態での差を出していきたいです。そのモデルケースをまとめられたらと。
タナケン先生:
「不動層がなにをきっかけに変わっていくのか」をしっかり押さえたいですね。アンケートやヒアリングで丁寧にやるのはいいですが、対応策は3期までで目に見えています。何が効いているかに時間をかけないで、「どうしてその打ち手が効いたのか」を確認してほしい。
たとえば、通常のオペレーションをしているときに社内放送が流れてキャリアオーナーシップを浸透させられているのか、全員強制でキャリアオーナーシップ研修を受けさせているのか。キャリアオーナーシップのジレンマですが、自律するキャリアの話なのに、組織だから強制力が必要となるときがある。
みなさんのリテラシーが高いのは、みなさん論点を整理してからものごとを進めようとされるのですが、それだけで3か月かかってしまう。それよりも、「不動層に効いたのはAとBとCであり、効いた理由はこれだ」と明らかにしていくとスピーディーに進められてよいでしょう。
打ち手って平面じゃないから、戦略的に施策を打っていくことになります。たとえば、「不動層はこういう場所に多くいて、その方へのアプローチはこうである」と。
――強制力を最初だけ使っても、あとから強制力を外していく。そうして、徐々にキャリアオーナーシップをはぐくんでいただく。年次ごとや階層別研修を使うことになりますね。
タナケン先生:
不動層がセミ不動層になったら、研修に来ると思いますが、不動層はそういったものに一切関心を示しません。僕らは彼らに高い関心があるけれど、一番会えない層でもある。だからこそ、全員が通過する研修へ、効果的な施策を打つ。では、その効果的な施策は何か。第3期までに整理できていることの裏付けは止めて、インタビューを数社に実施するなどして、考えてほしいですね。
第8分科会 自発的にキャリアオーナーシップを意識させる
実践的アプローチ -特定の不動層対応と具体的な打ち手- 2班
――最初はクラスター分けを考えていて、ある程度整理できる部分があるかなと。不動層をわれわれがどうとらえていくのかが、まずは課題かなと。不動層がいるという課題はわかっていても、「なんで不動層のままなのか」が不明瞭です。そこで、各社の情報を持ち寄ってやりたいなと。そのうえで、今後各社でやっていく施策をまとめたいと思っています。
タナケン先生:
まず、みなさんの定義する不動層とはなんでしょうか。キャリアオーナーシップ診断の点数でもいいですし、自発研修に来ない人、でもいいでしょう。他にも過去10年出世なさっていない方、といった切り分け方もできますね。
不動層を定義するうえで「クラスター」という言葉はよいキーワードです。全部を見るのは難しいので「不動層になりやすいキャリアステージ」を決めるといいと思います。入社〇年後とか、ある一定の年次を超えても、管理職になれなかった方とか。
また、コンソーシアムでは、打ち手が欲しい。ですから、この方々に効くアプローチを調べていただきたいのです。私のような外部の人間が来る研修では、キャリアオーナーシップがある人しか来ないんですね。全員研修であれば会えますが、だとしたらそこで何をするのか。その実例が聞きたいです。
一般的な不動層へのアプローチとしては、アカデミーとして運営したり、1on1をやったりするのが代表的な手法ですが、不動層だとアカデミーにも来ないし、1on1も形式化する。それをどうやって活性化するかを出していただきたいです。
――おっしゃるとおり、不動層の定義が不明瞭だよねという議論になりつつも、そこを定義するアンケートから始めると有意義ではない。仮説ベースで動けるなら、ありがたいです。
タナケン先生:
新卒、キャリア入社ともに最初はみんな不動層ではないんです。ですが、どこかで不動層になる。プライベートではアクティブだったりするわけですよ。そこで不動層になるきっかけがあったわけですよ。それを把握してほしい。全体を把握するよりも、深く掘っていただきたいですね。
第9分科会 キャリアオーナーシップ実践を阻む壁とその打ち手
-キャリアオーナーシップ非協力者の相互理解と共存アクション-
――私たちは非協力層への打ち手を考えています。そこで、非協力者を明確にしていきたいと思っています。何か足りない目線や論点はあるでしょうか。
タナケン先生:
先ほども別チームにお伝えしたのですが、入社時に非協力的な方っていないんですよ。ところが、どこかで非協力的になっていく。上司に評価してもらえない、降格人事を受けた、仕事に慣れて飽きてしまったなど……。その原因究明に力を割いていただきたいのです。そして、非協力的な方が協力的になるのは、どういう施策があるのか。社内インターン、抜擢人事など、解決策を導き出していただきたいのです。
「非協力的な人」なのではなく「非協力的なアプローチを選ぶ状態にある方」なのです。同僚が先に出世した、希望部署とまったく違うところに飛ばされてしまったなど、事情はさまざまです。それを掘り起こしていただきたいです。
各分科会は今後も議論を続け、2024年12月にプレ発表、2025年1月に内容をまとめ、3月に「はたらく未来白書2025」として公開の予定です。
構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
企画:伊藤 剛(キャリアオーナーシップ リビングラボ)
グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)