各分科会の運用方針発表
第1分科会 キャリアオーナーシップと組織・事業貢献の見える化
我々は第3期でもやっていたテーマの続きをやります。今は去年の振り返りをしていましたので、これから積み重ねでどうなるかを検証していきたいという話になりました。
タナケン先生からのフィードバック
第3期で一番苦労したテーマでもありましたね。経営層はここに一番注目していると思います。キャリアオーナーシップはどう事業貢献に影響があるか、ぜひ見ていっていただきたいです。頑張ってください。
第2分科会 マネジメント層のキャリアオーナーシップ意識改革
チームビルディングと役割分担に時間を割いたので現状で大きなアウトプットはお出しできていませんが、マネジメントの意識について各社の「ここがしんどいです」というところを集約し、解像度を上げていきたいと考えています。
タナケン先生からのフィードバック
部下という言葉を撲滅させたいですね。マネージャーとメンバーだけでいい。そうすることで、マネジメント層の意識は変わっていくと信じています。上意下達で「うちの部下が……」と言われるようでは、本音と建前があるわけで、そこはちゃんと、ラスト・ワンマイルを進めていただきたいです。実践しながら、経験を集約していただきたいです。よろしくお願いします。
第3分科会 キャリアオーナーシップ人材を活かせる
組織のつくり方
我々は2チームに分かれて議論し、以下のアウトプットを出したいと話しました。
- キャリアオーナーシップを育てるにはどんな施策がいいのか。動かない層(不動層)への新たなアプローチを考えたい
- キャリアオーナーシップ経営スコアというコンソーシアムの知見を活かしつつ、個人の働く価値観に根差した施策の分析、見えるかができていない課題を乗り越えたい
最終的にはキャリアオーナーシップ経営を実施するなら、事業に対しての成果、個人のキャリアオーナーシップへの定性的成果、両方を出していければと思います。
タナケン先生からのフィードバック
さて、主観をどう見える化させましょうか。定性的にやるのか、それともスコアで出すのか。
――パーソル総研さんで7つの因子でデータをクラスタに分けるという分析ツールを持っていますので、定性データではありますが、それを定量でも見られる形にしていければと思います。
今までキャリア開発はすべて定性で、属人的でした。今キャリアオーナーシップに関して求められているのは、担当者が変わっても継承できる定量的なデータです。これがあると部署でもブレイクスルーになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
第4分科会 キャリアオーナーシップ実践レベルをあげる
HR部門の新たな役割
キャリアオーナーシップの概念は蓄積してきたと思いつつ、HR部門内でのかさ上げが必要ですよね。また、グループ会社の組織をまたいだ展開が必要です。HR部門が「何を・いかに」動くと、このかさ上げができるかが議論の焦点になっていました。
タナケン先生からのフィードバック
みなさんは、ここに来てくださっているので、まずはHR部門へ浸透させていただきたいです。かさ上げの先には経営陣とステークホルダーがいるわけです。HRはバックオフィスではなく経営主体であるということを、まずHRに伝達して、部門内のリテラシー向上へ取り組んでいただきたいです。
第5分科会 リスキリングの「場」と「仕組み」のつくり方と実践
各社の課題の中心にありそうなのが、動機付けです。最終的には各社の社員が自律的に継続学習をしていただきたい。その障壁と、打ち手のなかで有効なものは何かをアウトプットに出せたらいいよね、という話をしました。
参画企業さんにご協力いただき、意欲があっても行動できない方を含めた調査をしつつ、調査だけで終わらせたくはありません。仮説の検証までできれば面白い取り組みになるのではないか、と考えています。
タナケン先生からのフィードバック
この48社のなかで、どの企業において一番リスキリングがうまくいっているかは調べていただきたいですね。3社くらいが見えてきたときに、どうしてうまくいっているのか。せっかくこのコンソーシアムで集まっているので、調査していただく価値があると思います。
たとえばプログリット(PROGRIT)やライザップ(RIZAP)など、英会話やダイエットのようにモチベーション維持がうまくいっているプログラムと比べて、何がキャリアオーナーシップは違うのかを明確にしていただきたいです。「e-ラーニングは導入していても、誰もやっていません」といったときに、なぜそうなっているのか、どうしたら変わるかを調べてみてください。
第6分科会 越境活動の事業実装 -事業貢献の定量検証-
これまでのコンソーシアムにも「ゆる・カチ」に分けた越境体験など多数の実践記録がありました。しかし、越境活動が実際にどれほど事業貢献に通じているのか。たとえば、越境活動はできているけれども、やった方の変化について確認できていない、受け入れた側、送り出した側にとって事業貢献はあったのかが分からないといえます。そこが見えてくると経営層や関係者へも価値がある施策になるのかな、と考えております。どのように効果検証するかということが1番のポイントになってくると思うので、その辺りも今後議論を進めていきたいと思っています。
タナケン先生からのフィードバック
もう見えていることはありますね。同一業務を同じメンバーでやっていると、停滞することはわかっています。この国のキャリア成長を生み出すには、本業プラスアルファが必要である。社内研修でもいいのですが、ミドル層になると研修にも慣れてしまう。だから、越境が手段となってくるわけです。
しかし、「行っている人がいいよね」だけで終わらせず、社員が行ったり来たりしながら効果検証していってほしいですね。第2期、第3期の成果もふまえつつ、越境に参加した個人の変化と組織の売上などですと、個と全体で議論がぶれるので、個人とチームで粒度を揃えた関係性をとらえられるといいですね。いろいろ工夫してみてください。
第7分科会 事業成長とつながるキャリアオーナーシップ行動の
起こし方
2チームに分かれていたので、まだ各社の課題感の共有にとどまっているのが率直なところです。キャリアオーナーシップが大事だという認識はあれど、何がネックになっているかを考えると……組織的構造、社員の年齢構成、現場社員の比率の高さ、戦略との連動、個人の意識などがあるよねと。
これほどまでに多数のボトルネックを抱えたうえで、では会社組織として何を提案していくべきなのかを議論しています。しかし、そのエコシステムを作っていくのも難しい。社員にキャリアオーナーシップの重要度を理解させるような学びの浸透など、各社さんとのディスカッションをしていきたいと思います。
タナケン先生からのフィードバック
貢献と成長、どちらが難しいかを考えると、成長のほうが難しいですよね。未来にむけて定量で分析することはできません。しかし、成長している組織に入っていって、「そこはどういう要因で成長しているのか」を分析することは可能です。
たとえば、優れた成果を出したチームに取材をしていくと、ものすごくキャリアオーナーシップ型の組織なんですね。ですが、キャリアオーナーシップ型の人材集団だから成長したのか、逆に組織がキャリアオーナーシップ型の組織を作って人材を当て込んだからうまくいったのか。こういった分析はできます。新規の事業成長を担わなくてはいけない部署において、どういうアプローチがうまくいくかのアウトプットはこのほうが見えやすいのではないでしょうか。
第8分科会 自発的にキャリアオーナーシップを意識させる
実践的アプローチ -特定の不動層対応と具体的な打ち手-
我々も2チームに分かれて議論しました。
- 打ち手を実践したうえで、どの組織にどういう手が効くのかを分析したい。まずは打ち手を実施していない企業へ実践してみて、さまざまな組織ごとの差を出す
- キャリアオーナーシップの重要度は理解しており、さまざまな打ち手を実施したが、従業員のキャリアオーナーシップに対する意識が高まっているかというと、その手触りがない。それはなぜなのか、より実効性がある打ち手は何か、というアプローチをしたい
また、HRがどう音頭をとっても、現場で変わらなければキャリアオーナーシップは育たないので、現場へ響く方法を考えたいです。
タナケン先生からのフィードバック
キャリアオーナーシップに対して不動層といわれる方でも、たとえばワークライフバランスを重視して週末楽しんでいるなど、オーナーシップを持っていないわけではないのですよね。キャリアオーナーシップのスコアが低いからダメ、という一面だけではない分析をお願いさせてください。
第9分科会 キャリアオーナーシップ実践を阻む壁とその打ち手
-キャリアオーナーシップ非協力者の相互理解と共存アクション-
キャリアオーナーシップの実践を阻む壁とその打ち手ということで、今日は課題感の共有から始めました。不動層を能動的に動くレベルまで引き上げるのは難しいかもしれませんが、やる気のある方を応援していただく、やる気の芽をつまないようにしていただく、というところまで変えるのが我々のイメージです。
まずは過去の実践を共有しつつ、まだあいまいな不動層の内実を詳しく理解し、打ち手を考えたいです。
タナケン先生からのフィードバック
分科会の8と9は本質的につながっているように感じますね。キャリアオーナーシップをやっている人と、やっていない人で分断を生まないことが重要ですから、「キャリアオーナーシップ型ではないからダメな人材だ」と思わせないような施策を考えていただきたいです。頑張ってください。
構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
企画:伊藤 剛(キャリアオーナーシップ リビングラボ)
グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)