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キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第1期)

第8回 キャリアオーナーシップ人材を「見える」「増やす」「つなぐ」ための一歩先の施策とは

2021.12.17

研究会

2021年11月16日、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の第8回 研究会が開催。第8回 研究会では、第7回に引き続き、コンソーシアムに参加する8社が①キャリアオーナーシップ人材の可視化をうながす「見える」方法、②キャリアオーナーシップ人材を効果的に「増やす」方法、③キャリアオーナーシップ人材を企業の持続的な成長に「つなぐ」方法を議論する3つの分グループに分かれて議論を行いました。
 
今回の議論では、第7回までの議論を「新人材戦略の全体像仮説」として、フェーズ、アクション、ジャーニーにプロットした図を用いて、個社ごとに事前に具体的アクションを深掘りした状態で優先施策の解像度をさらに高める議論を実施しました。

INDEX

    記事では、各分科会の発表内容のグラフィックレコーディングによるまとめと、発表内容の一部をご紹介します。

    「見える」グループによる発表~もっと解像度を上げたキャリアオーナーシップの可視化を~

    個人がキャリア自律をして成長にコミットすることで会社がどのような報酬や成長機会を与えていくのかの方針を、会社の戦略やビジョンの一部として経営が意思決定していくことが大事だと考えています。そうすることで、会社と従業員がより対等になる「イコールパートナー」としての関係性が生まれるだろうという議論になりました。

    どうトライアルして、どう定着していくのかが論点としてありましたが、ターゲットを分けたときに、それぞれのスタートラインをどう設定するかが大事だと考えています。

    例えば、もう既に自分自身がキャリアオーナーシップを発揮して、やりたいテーマがあるときに自ら手を挙げるようなイノベーター的な人材がターゲットであれば、最初に飛びついてきそうな人達から施策をスモールスタートして、定着に向けた事例を蓄積するというストーリーが成立します。

    一方でまだ能動的ではないマジョリティ層をターゲットにするには、社員と組織をつなぐ、マッチングを促す仕掛けが必要になってきて、背中を押すために何ができるかを試していく必要があると考えています。

    進めていくにあたっては、まずは経営アジェンダとしてキャリアオーナーシップの重要性を定義することが大事です。そしてトライアルを実施する上でも、何を成果として期待して、何を検証して、何をクリアしたら本格的に展開するか、その指標をきちんと設けていくことが大事だと考えました。そして、定着までは時間がかかるので、成果が出るまで一定時間待つ経営判断を促すことも大事だと言う話になりました。

    そして全社展開するにあたっては、キャリアオーナーシップをいかに指標化できるかが焦点になってきます。1つは従業員自身のキャリアオーナーシップを可視化すること、もう1つはキャリアオーナーシップを育てる側の状態を可視化すること、その両方の可視化が必要になると考えています。

    教育や育成、キャリア施策にいくら投資したのかとか、エンゲージメントが上がったのかサーベイで測るだけでは十分に可視化ができていないと考えていて、もっと解像度を上げる必要性を感じています。

    また、経営視点で仕組みについて考えるのはもちろんのこと、従業員がどう考えるかという視点も大事だという議論も出てきました。多くの施策が、経営や人事の目線でのみ考えられていて、従業員の目線がなかなか入ってこないという現状があります。この従業員の目線をどのように反映するかが、今後の取り組みへの課題として議論の中で出てきました。

    「増やす」グループによる発表~経営側と優先度を確認しながら進めていく~

    当コンソーシアムでずっと議論していますが「経営戦略」と「人材戦略」をいかに繋ぐかが重要という話になりました。

    経営のスタンスとして、社会課題の解決や、世の中への責任をいかに果たすのかという観点が重要視される中で、従業員に対するスタンスも変化していて、経営者側にも意識の変化が現れてきています。まずは経営者側と会話し、意識を確認した上で、施策に落としていくという最初のスタート設定が必要ではないかと思います。

    「増やす」施策のパターンとしては様々あると思いますので、いくつかのトライアル事例をこのコンソーシアムから社会に出すことができると良いのではないかという話も出てきました。

    またPDCA的なやり方で、まずは小さく始めて見て、違う課題が見えてきたら一度立ち戻り、施策を広げるのか地固めするのか検討していくことも大事だと考えています。PDCAを回しながら結果につなげていくことで、経営や従業員に分かりやすく重要性が伝わるのではないかと思います。

    例えば、議論の中では「副業」というキーワードが出てきました。全面解禁している会社もあれば、社内副業は制度化できているけれど、社外での副業の施策はまだできていない会社もあるなど、ステージは様々です。ただ、各社、できるところから始めているという現状があり、それはあらゆる施策において同様だと感じています。

    まずは優先度を検討する経営側との対話の中で、まずできることは何かを共通認識として握り、同時に長い目で対応する必要がある施策についても握る必要性を感じています。そして現状において必要なアクションの抜け漏れがないかを確認しながら進めていくと、経営者の目線と人事の目線が合ってきて、経営戦略と人材戦略の接続がより具体的になるのではと考えています。

    「つなぐ」グループによる発表~一貫性を持ってしっかりとそれぞれの施策や制度が機能する状態を目指す~

    第7回研究会でも、様々な施策や取り組みが出ていましたが、人材戦略と経営戦略をつなぐ上で鍵になるのは会社の経営方針とすり合わせて、人材戦略を経営戦略の中にどう組み込んでいくかが重要という話が出ました。

    何か1つ施策をやってみて、次はこれ、その次はこれ、というように流れ作業のようにやるのでは、結局部分最適の繰り返しになってしまい、経営との接続がうまくいかないのではないかと考えています。

    重要なのは、一貫性を持ってしっかりとそれぞれの施策や制度が機能する状態を目指すことです。

    場合によっては、制度の全てをつくり変えるフルモデルチェンジもあるでしょうし、あるいは今あるものをうまく微修正して、一貫性を持たせていくという取り組みもありうると考えています。

    社員のキャリア自律がどこまでできているかの効果検証も必要になってきます。1人1人の社員が仕事にやりがいを持って取り組めているか、達成感を持って日々取り組めているかどうかが、達成度合いを測る上での1つの基準になると思います。

    現在でも各社が実施されていますが、エンゲージメントサーベイなどを通じて今の仕事への充実度や達成度、この先も今の会社でやっていきたいと思っているかどうかなどしっかりと定点観測して課題が生まれているポイントで対策をうっていく、キャリア自律意識の健康診断のような取り組みが大切だと考えています。

    構成:河原あずさ・西舘聖哉(Potage)
    グラフィックレコーディング:くぼみ

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