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第5回 キャリアオーナーシップとはたらく未来 研究会を開催~参画各社と考える、事業成長と人事の戦略をつなげるための2つのポイント~後編

2021.09.17

研究会

2021年8月17日、4月より発足した「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の第5回 研究会が開催。第5回 研究会では、第4回に引き続き参画各社の『現場の声』を集約するべく、コンソーシアムが独自制作した「事業の変化と人事活動を同期するための棚卸しシート」を用いて、残り4社による「事業・組織・人事の戦略と同期方法」の報告を行いました。なお、こちらのシートのフォーマットは、皆様に活用いただけるよう、研究会の成果の1つとして公開しています。
事業の変化と人事活動を同期するための棚卸しシート

INDEX

LIFULL、富士通、三井情報、コクヨが語る「事業・組織・人事の戦略と同期方法」

第5回 研究会では、パーソルキャリア株式会社、ヤフー株式会社、キリンホールディングス株式会社、KDDI株式会社の4社が発表をした前回に引き続き、株式会社LIFULL(ライフル)、富士通株式会社、三井情報株式会社、コクヨ株式会社の4社がプレゼンテーションを行いました。第4回に引き続き、具体的な話が数多く飛び出し、活発な議論が展開しました。

研究会の議論の内容は、こちらのグラフィックレコーディングにまとめられ、その内容を元に、ファシリテーターの法政大学・田中研之輔教授による整理が行われました。他の参加企業も交えて特に話しあわれたのが、下記のポイントです。

4社のプレゼンから見えた2つのポイント

1 新規事業創出との関連性

従業員ひとり一人の新しいチャレンジを促す環境づくりや、内発的動機づけに基づく新規事業の創出を目的にキャリアオーナーシップを推進しているという話が各社のプレゼンを通じて出てきました。

各社の課題意識として共通しているのは、チャレンジを促進する施策をすすめているものの、結果として多くのアウトプットが生み出されていない点です。中には全社員がそれぞれの内発的動機づけに基づいて事業提案する新規事業プログラムを仕組みとして導入している会社もありますが、結果として事業が期待するスピード感ではなかなか生まれていないのが現状です。古くからある事業に頼らざるを得ない現状もあり、どのように次の柱となる事業の創出まで持っていけるかが課題となっています。

各社は、企業文化づくりや新規事業提案の仕組みづくり、新卒や中途採用方針の見直し、経営理念の刷新、プロフェッショナル人材の育成、従業員のリスキリング、「存在意義(パーパス)」を意識した動機づけ、社内副業制度、組織間乗り入れの推進など、いくつかの施策を組みあわせることで、事業拡大につながる人材戦略のあり方を模索していました。

②変化のスピードの速さについていけない従来型社員

市場環境が変化する中で、人事制度を大きく変えて全社的な改革を進めている会社も出てきている一方で、まだまだ企業文化の変化が追いついていないという話が各社から出てきました。特に従来型の大企業文化で育ってきた社員と、変化に適応できる社員の間の浸透スピードのギャップが課題となっています。

例えば「キャリアオーナーシップの考え方に比較的前向きに適応する若手層に対して、社員の多くを占めるミドルシニア層への浸透が進んでいない」「全社推進に欠かせない中間管理職の意識変革がまだまだ追いついていない」「外から採用した人材と、プロパーの人材の間に意識の乖離が見られる」などの課題意識が各社共通しています。また、一部には「求められる事業の変化スピードに対して、戦略や制度が追いついていない」という課題意識も見られました。

議論を踏まえた田中研之輔教授によるラップアップ

議論後、ファシリテーターの田中研之輔教授より下記のようなこれまでの研究会のまとめがありました。この仮説に基づき、更に議論をブラッシュアップし「はたらく未来」への提言を形にしていきます。

キャリアオーナーシップや自律型組織の推進については、組織にマイナスの影響があると考える企業が全体の8割程度を占めると言われています。それを踏まえて各社のプレゼンを見ると、今回参画している企業は実は本当にレアで、先進的なチャレンジをしている企業であると言えるでしょう。

企業の生産性や競争力を高めていきたいという時に、何が原動力になるかというと、突き詰めて言えば、ひとり一人がパフォーマンスを高めることに尽きるのではないかと考えています。キャリアオーナーシップは個々の施策を見ると特に難しいことをやっているわけではなく、極めてシンプルです。例えばアスリートがシンプルな練習しながら型を身に着けてパフォーマンスを発揮するのと同じように、やっていくうちにどんどん個々人が伸びていくものではないでしょうか。

一方で、パフォーマンスが発揮できない要因が大企業には見られます。意思決定のタイムラグや、従業員個々人の潜在能力を生かしきれないようなブレーキになる事象は、どうしても発生しているわけです。

そうだとすれば、ブレーキをどうやって外していって、従業員が潜在能力を発揮できる組織へと組み立て直すかだと思います。

前回と今回で、各社のそれぞれの課題を共通フォーマットの中で落とし込んでいただいたので、いろんなことが見えてきました。

これらのプレゼンテーションを元に改めて考えると、従業員ひとり一人の内発的な動機づけを軸にしつつ、求められる事業成長のペースに合わせて指標を可視化することが重要ではないかと考えています。その変化量、行動量を可視化するために、事業の主要指標に加えて、キャリアオーナーシップや、従業員エンゲージメントをはかるための離職率や従業員満足度のような指標づくりも必要になるでしょう。

指標化することで、外から見てこの会社で働いている人が、キャリアオーナーシップの資質を持っているかどうか、先駆的な働き方をしているかどうか、多様な働き方をしているかどうかが見えてきます。

そして成熟しているキャリア自律した従業員に、事業のペースに合わせて次のチャレンジの機会を提供できるかどうかが、企業の成長と個人の成長とが密接に関係しているのだということが、皆様のお話から見えてきました。そのチャレンジの体験とキャリアオーナーシップの関係性を結びつけて発信していくことが、実は分かりやすいのではないでしょうか。

構成:河原あずさ・西舘聖哉(Potage)

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