第1分科会 キャリアオーナーシップ人材の採用課題と打ち手
~キャリアオーナーシップ人財獲得の為の「要件定義」~

私たちはキャリアオーナーシップ人材≒優秀人材をいかに採用で取りに行けるのかについて、議論を重ねました。

そこで、各社で採用基準の要件定義があるのかどうかを調査しています。選考基準の要件定義ができていないことから、人材の定着率が低い状態を避けたい狙いです。そのためにも、キャリアオーナーシップ人材を言語化し、採用の要件定義に落とし込んだうえで採用・育成・定着に活用される状態を目指したいと考えました。
まずは、インタビューに基づく分析結果を共有します。

こちらがアンケートの分析結果です。要件定義が明確な企業は、新卒の定着率が高いことがわかっています。そのためにも、人事と面接官で要件定義が共有されていること、そして新入社員に経営戦略を丁寧に伝えているかどうかが関係すると仮説を立てています。

そして、タナケン先生のアドバイスをもとに伝統的な採用を志す企業と、キャリアオーナーシップ人材を採用した企業の差を行動特性まで落とし込んで比較できるようにしたいと考えています。
永島さんのフィードバック
トイトイ合同会社代表 永島 寛之(以下、永島):
価値観よりも行動だよね、というのは他の分科会でも話題になりましたね。もう少し掘り下げるのであれば、具体的な行動事例も入れていただけるとわかりやすくなるかと思います。キャリアの話は抽象論になりやすいので、ここの具体化をしていただきたいです。
先日、別の企業でミッション・ビジョン・バリューの再定義を支援しました。ここで一番時間をかけるのがバリューなんですね。なぜなら、バリューは従業員のみなさんが行動指針にするものだからです。コンピテンシーを多く選びすぎると、身動きできなくなります。優先順位をつけて、キャリアオーナーシップ人材の要件定義もやっていただきたいと思います。そうすれば各社で使いやすいアウトプットになると思います。
―ありがとうございます。インタビューが残り2社残っていますので、ぜひ反映させたいと思います。主体性がたとえば採用基準にある企業は多いのですが、これがどういう行動特性を示すのかといったところまで、落とし込みたいです。
永島:
要件定義、あるいは言語化は非常に重要ですよね。価値観をひとつにあわせればいい時代は、暗黙知で回せる研修が多かった。けれども今はそうではありません。異なる価値観こそが付加価値の源泉であると考えます。だからこそ大事なのは、行動特性を合わせる行動コンピテンシーであり、この行動コンピテンシーをどのレベルまで言語化できるかです。
たとえば、内定承諾率が低いことに悩む会社さんがある。そうすると応募者だけ増やして、内定承諾率を放置する企業が結構あります。けれども、工数が増えるから疲れてしまうんですよね。ぜひこういう方にとっての答えになるような、どういう行動特性を持つ学生を採るべきかという要件定義をしていただきたいです。
第2分科会 AI活用による人事の変革課題と準備段階の整備

人事の業務が膨大になる一方でAIの活用法がまだ人事に浸透していない、プロセスが明確ではない状態でした。そこで、抽象度が高くてもいいので一度AIを人事で活用する方法を型にしたい、というのが私たちの取り組みです。

現状をまとめると、人事は生成AIの注目度が上がるなかで活用法がわからない。「どこからAIを使えばいいか」をわからない状態を打破したい、という悩みを抱えています。

生成AIを活用する手段について、作ったプロセスがこちらです。今回特に永島さんへ伺いたいのは、Step0にあたる「経営戦略と人事改革を接続させる」方法です。DXや生成AIの活用がうまくいっている企業では、そもそも人事がどうありたいかのゴール設定を経営層と握っていることが多く、この合意のあるなしで施策の推進力が大きく変わる認識です。
そのため、このStep0が最も重要であると思い、どう進めればいいかコメントをいただけますでしょうか。
永島さんのフィードバック
永島:
とても大事なポイントですね。人事としてAIに向き合うなら、重要なことは2つありますね。1) どうやって生成AIで付加価値を創るか、2) どういう導入の仕方をするか。そして今回はどちらかというと、1)の部分ですよね。
たとえば、メルカリさんは生成AIを人事に活用するとメッセージを出していますよね。人事も非常に動きやすいはずです。しかし、各社があのレベルに達するわけではないでしょう。生成AIの導入は、どういう人材ポートフォリオにするかに影響を及ぼしますから、そこは人事がやらないといけないことですね。
さらに、大事なのは労働生産性の話です。日本の会社は労働生産性が先進国でダントツに低い状態です。その理由は、1) はたらき方改革で労働量を減らすことで、生産性を上げてきたから、2) DXに失敗する会社が多かったからです。海外では人を減らしてDXしましたが、日本では人を減らさなかった。
生成AIは、DXと同様に労働量を減らして効率が良くなるはずです。ただ、それ以上に労働の拡張ができます。リスキリング、企業内大学といった言葉をさけびながらできなかった能力のさらなる活用が可能になります。今回、生成AIを導入するなら経営者はそれを人材の代替に使うのか、能力の拡張に使うのかを決めなくてはなりません。
それでもやっぱり、企業では「労働時間が30%削減できました」なんて話をしてばかりです。時間を減らすだけでなく、余った時間でどういう価値を生み出すまで考えないと意味がありませんよね。付加価値をどう生成AIで増やすのか。そこまで考えた施策を練るべきでしょう。新領域・新事業でもいい。その可能性を人事が経営層へ提示することが重要かと思います。
第3-1分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(導入期)

私たちは、キャリアオーナーシップ人材活用における導入期の課題について話し合いました。単にキャリアオーナーシップを知ってもらうフェーズではなく、その次にある「共感・行動」へ移っていけるかについて議論したかたちです。具体的には、キャリアオーナーシップを支援する施策事態は知られているものの、周知不足や上司の支援スキル不足により、社員の行動変容にまで結びついていないケースですね。
たとえば、工場や営業所などを多く抱える企業では、マニュアルが優先されてキャリアオーナーシップ人材の重要性が行動にまで及ばないことが多々あります。また、キャリアオーナーシップ支援施策が個人に向けられすぎており、制度として運用・浸透できていないのではないかといった課題についても明らかとなりました。

特に今日の会でアドバイスをいただきたいのは、工場や営業所が多い分野において、どのようにキャリアオーナーシップを支援できるか、という施策です。また、現状で社員を図のような4象限に分けていますが、分け方についてもご相談できれば幸いです。
永島さんのフィードバック
永島:
ありがとうございます。大手企業の経営戦略・事業戦略と人事戦略をつなげるときに、どういう人材を増やしたり、減らしたりしたいかを描くときに、よく4象限に分けて話します。ですから、キャリアオーナーシップに関わる人材ポートフォリオを見るうえでは有用だと思います。
また、いまおっしゃったとおりキャリアオーナーシップというと、華々しいキャリアを描ける人が立派であるという思想が出てきますが、そんなことはありませんよね。その人の価値観と特性で描かれるキャリアは変わるはずです。「キャリアオーナーシップを持たせると転職しちゃうじゃないか」とおっしゃる方は、そういう誤解をしているケースが多い。コツコツ守るスペシャリストタイプも、キャリアオーナーシップを持つし目標を持っていいわけで。
ただ、成長と安定は真逆なのか? という疑問はあります。みんな成長はしますが、安定しながら成長したいのか、リスクを取りながら成長したいのかで分岐するのではないでしょうか。毎日同じ仕事をしていても、改善提案を出してくださる方は多くいますし、それが取り入れられて生産性が上がるケースもある。代わりに「領域を深めていくか、探索していくタイプなのか」という縦軸ならいかがでしょうか。
―ありがとうございます。さらに、今の4象限は感覚的に作っているところでして、何をもって根拠づければいいかも悩んでいます。
永島:
人材ポートフォリオの考え方ですと「5年後にどういう人材が必要になって、足りていない人材が誰か」を暴き出してから、採用するか育成するかを決めるものです。学習院大学教授 の守島基博先生によれば、人材ポートフォリオは育成の方向性を定めるものだとのことです。ですから、ユニークな4象限であっても良いのです。
―ありがとうございます。
第3-2分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(定着期)

私たちは、キャリアオーナーシップを数年推進した後「2周目の課題」に向き合って議論しました。いわゆる2:6:2のうち「6割の人を動かす」にはどうすればいいのか。その打ち手を各社で議論し、キャリアオーナーシップ経営を次のステージへ加速させたい狙いです。

まず「個人の壁」と「組織の壁」の2つがあり、この壁をブレイクスルーできた企業のヒアリングを実施しました。

そこでメンバーと上司の対話が大きな共感へのステップにつながっていることがわかりました。そこで、具体的にどのような対話があったかまで、収集したデータを整理しています。

そこで出てきた結果をまとめたのが、上の図です。特に個人・上司・組織という3つのカテゴリでどのような行動ができるかをまとめました。成果発表に向けて、今後は「上司の役割変革をどううながすか」「これまでに動かなかった層をどう動かすか」「キャリアオーナーシップが浸透した組織・浸透していない組織の見える化」を目指したい狙いです。
永島さんのフィードバック
永島:
ありがとうございます。今後議論されるパートについて「キャリアを支援する」とはどういういう支援を指すでしょうか。たとえば、組織・人事は何をすべきかというと、上司が部下へ支援しやすい状況を作ることかと思います。タレントマネジメントシステムに入れてきた情報が、上司にとって引き出しやすい情報になっているかを確認したり、部下との話し方をお伝えしたりする。雑談はできるけれども、キャリアの話はできない。そこを乗り越える策を伝えてあげる必要がありますね。
また、キャリアオーナーシップへ動かない方には「優秀で動かない方」と「成果が出せていなくて動かない」方がいると思いますが、そこの分解はまだされていないのですね。キャリアオーナーシップという言葉を使う我々はその言葉のイメージが湧きますが、言語化されていないだけで普通に持っている方もいらっしゃるのだと思います。前期でも「不動層」と言ってきましたが、この方々がどういう方かはしっかり議論していただきたいです。
いずれにしても、人事の役割はこれから現場に向かっていきます。AIが人事のかなりの部分を代替できそうだとなっている。そうなると、われわれは現場のマネージャー支援が主な仕事になってくるはずです。これまで「自分でやりなさい」と放任され、育成の機会を持てなかったマネージャーも、これから支援できるようになる。「上司マニュアル」を作るチャンスですね。
第4-1分科会 キャリアオーナーシップ支援する
マネジメント人材育成課題
〜キャリアオーナーシップマインドセットの醸成と
支援文化の定着〜

マネージャーのキャリアオーナーシップ支援行動を測定し、事業成果へのスコアを可視化するのが目的です。現代のキャリアはプロティアンであり、ボーダーレスなことが主流です。しかし、マネージャー自身のキャリアオーナーシップ意識が高くても、メンバーの支援行動に必ずしもつながらない課題がありました。

その原因について、3つの要因を私たちグループでは考えています。以前のコンソーシアムで示されていた①と③は割愛し、「②支援行動が評価されにくい制度設計」について議論を深めました。

そこで、出した対策が「マネジメント向けキャリアオーナーシップ支援診断」です。この診断でマネージャーのキャリアオーナーシップレベルを定量把握し、改善点を明らかにすることで評価・能力開発につなげたい狙いです。
昨年度、コンソーシアム参画企業が発表した内容で9項目の診断を作ろうとしているところです。

現在は、タナケン先生のシートと、私たちが作ったシートを合わせて、各企業の管理職にご回答いただき、現在収集しています。

この図が、私たちが新しく作った項目です。タナケン先生からは項目数を増やすようフィードバックをいただきましたが、昨年の調査方法に則るため、9項目に限定しております。サンプル数の目標は100件ですが、現状その数字は達成できる見込みです。
永島さんのフィードバック
永島:
いくつか質問をさせていただきたいのですが、現時点で出ている結果はありますか?
―思ったよりも「支援行動ができている」という回答が多いと感じています。
永島:
もともと、できていないところを洗い出して、どう人事が支援するかを決めたいということですよね。
―そうです、管理職のキャリアオーナーシップが高ければ、メンバーのキャリアオーナーシップ支援はできるのかという相関が見たいですね。
永島:
そもそも、マネージャーのキャリアオーナーシップは高いのでしょうか。
―白書によれば、マネージャーのキャリアオーナーシップは高い傾向があると出ています。
永島:
管理職のキャリアオーナーシップ支援を人事制度にするとしたら、誰かがこれを評価するということですか?
―自己評価を制度に組み込めないか、と考えています。
永島:
マネージャーが部下のキャリアオーナーシップを支援できているかどうかは、自己判断ということですね。360度評価にするなど、周囲からの評価にすべきと思いますが、いかがでしょうか。
―本来であれば、メンバーのみなさんにキャリアオーナーシップ支援行動を見てもらったほうがいいのではないか? という議論もありました。しかし、現段階でその制度へ一足飛びに行くのは難しいのではないかと結論づけています。
永島:
部下からの評価があったほうが、望ましいは望ましいですよね。部下への支援の質を上げるためにも、マネージャーへのフィードバックもあることが望ましいと思いますので。日本ってフィードバック文化がないので、フィードバックが飛び交うような状態が作れると、よりいいのではないでしょうか。
具体的には、上司だけでなく「部下がフィードバックをする」行動を支援する研修が必要であろうと思います。上司だけにフィードバックが飛び交う文化を作らせようとするのは無理がありますから。
―ありがとうございます。
第4-2分科会 管理職のキャリアオーナーシップ意識改革と
現場への支援強化

私たちは、第4期で提唱された9つのクイックリファレンスの効果検証と、管理職からメンバーへキャリアオーナーシップ意識を波及させるための会社からの支援を考えています。

しかし、タナケン先生とのやりとりも含め、9つすべてを検証するのは難しいのではないか、という話になりました。そこで、マネージャーが自身のキャリアについて考える施策を中心に考えていくはこびとなりました。


具体的には、昨年度の参画企業である三井情報さんのお力をいただき、ヒアリング調査を実施しています。そして、打ち手のうちの2つにある「管理職向けキャリア形成ワークショップ」「キャリアについて話し合う機会の設定」をロート製薬株式会社さんで実施していただき、効果検証を行っていく流れです。

タナケン先生からも「管理職自身が自分のことを振り返る機会は大事なのに、なぜなされてこなかったのだろうか」とコメントをいただいており、このあたりのご示唆をいただければと思います。
永島さんのフィードバック
永島:
管理職って、実際に役職についているかたですか。それとも「管理職クラス」の方も含めますか?
―今回は、明確に管理職として部下を持つ方を念頭に置いています。ただ、部下がいない方も対象にはいらっしゃる可能性があります。
永島:
もし、キャリアオーナーシップが醸成されて「言われた通りにやるだけ」の管理職から脱却し、付加価値を増やしていく管理職が求められるのであれば、カルチャーとして直す部分がありますね。今の自分が完璧じゃない前提で話さないといけない。
そのためにも、トップから順に自己開示するのが望ましいと思います。それが心理的安全性ですよね。「できないことが、許される」状態にしないといけませんね。
―ありがとうございます。今回、各社からアンケートとしては出ていませんが、弊社のメンバーと話してみると、「管理職同士で話す機会ってないよね」と話題になりました。他社さんと話す機会がもらえたこともあり、自社の方を気にせずふらっと話せたのがよかったですね。
第5-1分科会 キャリアオーナーシップを“自分ごと”にするための意識醸成と行動変容の仕掛け
〜キャリアオーナーシップ理解と行動変容の壁を超える〜

私たちは、キャリアオーナーシップをするために必要な内発的動機と、外発的動機を満たすために何ができるかを議論しています。特に、キャリアオーナーシップに対して受け身となりうる6割の層を引き上げ、行動変容を導きたいと考えています。
現状ではインタビューを実施しています。対象者は「6割の人材を上位2割に引き上げた」事例を持つ方を対象に、数社で実施しています。ご本人のキャリアストーリー、キャリアオーナーシップが生まれたきっかけなどをヒアリングすることで、成功事例に学ぶ方法を考えています。
ヒアリングをしながらも、今後はどんな切り口でさらに質問を深めればよりよい知見が得られるかを探っているところです。
永島さんのフィードバック
永島:
ありがとうございます。内発的動機と、外発的動機はどのように整理されていますか?
―最初は、WILLと危機感で分けていました。ただ、タナケン先生からのアドバイスで言葉の粒度をそろえるため、言い方を変更しています。
永島:
キャリアオーナーシップの場合は当然、内発的動機があるべきだとは思いますよね。「仕事が面白いか?」というシンプルな問いでもあります。内発的動機がある状態とは、過去にやってきたことと、この先にある仕事が想像できて、成長実感を抱けている状態です。
しかし、そのためには外発的動機も必要になります。この2つはセットですよね。会社から与えられた業務にどんな価値があるかを考えていくのは、他者との対話でも決まっていきますから。これらには、相互関係があります。
組織って、仲がいい・悪いではなくてお互いの価値観にどう共感し、何を一緒にやっていくかに合意できていればいいんです。仲が良い必然性はない。たとえば仲が悪いけれども、面白い漫才師がいたとして、共通の目的のために一緒に頑張れるならそれでもいい。このあたりも踏まえると、仮説の解像度が上がるのではないでしょうか。
そこで、かつての研修では「価値観を合わせにいこう」とすることが多かった。しかし、今の研修では「価値観はバラバラでもいい。ただ、行動は会社のバリューに合わせていこう。そうして結果を出そう」に変化しています。だからこそ、この仮説で行動変容をうながすという部分が良いですよね。
第5-2分科会 キャリアオーナーシップを体現する人材と
風土の再構築による組織変革
第5-3分科会 会社員の想いと組織の方向性を重ねる
キャリアオーナーシップ共鳴設計

本日、永島さんからフィードバックをいただきたいのは、キャリアオーナーシップを体現する人材を輩出するうえで、どのような可視化モデルが作れるかについてです。現在、キャリアオーナーシップ先進企業にどのような文化を持っているか、制度があるかをヒアリングしています。しかし、それをどう可視化するかについては議論している段階であり、アドバイスをいただきたい考えです。

前提としてキャリアオーナーシップを体現している状況を定義するため、4象限の図にして明確にしました。そのうえで、自分でもキャリアオーナーシップを体現していると感じており、さらにキャリアに関する行動が多い方を対象としています。

最終的には、先進企業から得られたキャリアオーナーシップを持つ文化・制度のモデルをもとに、他社に適用できる仮説を作りたいと思います。個々の人材がどうすべきというよりは、組織として何ができるかを示唆づけたい狙いです。
永島さんのフィードバック
永島:
オーナーシップというと、個人への働きかけと思われがちですが、組織としてどういう環境があるか……という話ですよね。人事にとって使いやすいデータになると思います。
一方、キャリアオーナーシップが高い文化の企業で「愛社精神が強い」という結果が出たとします。しかし、若手はえてしてこういう愛社精神を「気持ち悪い」ととらえるのですね。一方、会社という場で成長できることに満足を感じたりする。インタビューの中でこうした解像度を上げていけるといいですね。
特に感銘を受けたのは、以下のスライドですね。

タイプで分けて分析するのもいいですが、YES/NOで答えられる問いを作って、診断できるといいかもしれませんね。「言うは易し」かもしれませんが。キーポイントを5つくらい見つけられれば、アウトプットの形は変えられると思いますので、まずはインタビューを通じて、キャリアオーナーシップを醸成する文化の鍵になるものがいくつか取り出せるといいですね。
第5-4分科会 団体・企業活動の経営戦略と
キャリアオーナーシップの接続


私たちは、キャリアオーナーシップが個人の成長としてとらえられる一方、経営戦略・組織設計との接続が弱いことから、経営者が投資判断に至るストーリーに落とし込めていないのが課題ととらえています。

そこで、事業戦略上キャリアオーナーシップが必要であると考えていただくために、「思想としては共感できるが、ROIが見えない」問題を突破したいと考えました。過去のコンソーシアムで業績の向上と個人のキャリアオーナーシップの関連性は証明されているのですが、離職率といった数字にも反映されるかを知るべきであろう、という取り組みです。

人的資本経営を進めるうえでのKPIで最も重要なのは退職率であろうと考え、キャリアオーナーシップとの連動性を見ていきたいと考えています。キャリアオーナーシップの指標としては、エンゲージメントサーベイの中のキャリアオーナーシップに関する項目を抽出しました。検証結果としては、エンゲージメントサーベイのキャリアオーナーシップに関するスコアと、退職率には負の相関があることがわかっています。

エンゲージメントサーベイが下がると、退職率が上がる、といった負の相関を表したのがこの図解です。

さらに、キャリアオーナーシップが高い方が顧客満足度と個人業績が高いことがわかりました。これらの結果を踏まえ、次のステップとしては「なぜそうなったのか」について、確認したいと考えています。
永島さんのフィードバック
永島:
キャリアオーナーシップって個人の中にあるものだとされていて、それは会社がやるものじゃないだろう、と経営層も思っているケースが多いようですね。現場でどんなに熱く語っても、上がダメでした……という事例がある。だからこそ、退職率や業績とキャリアオーナーシップがいかに連動するかを示す必要がありますね。
―そこが難しいですね。キャリアオーナーシップが最も低い人は辞めません。キャリアオーナーシップがやや低い方と、中間層が離職する傾向にあります。
永島:
そこがまた、新しい難しさですね。会社としてどの人材に辞めてほしくないのか。キャリアオーナーシップが低くて残っている人の業績がどの状態なのかも興味があることです。「静かな退職」と言われる状態なのであれば、別の課題も見えてくるはずです。
単純にキャリアオーナーシップを上げるというだけでなく、新たな問題提起に分科会の活動がつながればと思います。ぜひ、役員をうならせてください。
永島さんによる全体コメント
永島:
本日の総括として、非常に成熟した議論を拝聴することができました。一つ目は、生成AIなど行動変容、行動評価にまつわる視点の議論が増えたことですね。これまで「動く人、動かない人」といった人のジャンルに目線が言っていましたが、より行動特性という細かいレイヤーに話が動いたと思います。そのおかげで、議論が深化したと思われます。
このコンソーシアムで出した結果を見ながら、他社さんも参考にできるデータが出てくるだろうなと。特に難しいテーマですから、5年やってようやく成熟したフェーズに一段上がったと思います。引き続き頑張っていっていただきたいですね。
構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
企画:伊藤 剛・藤本 亜美(コンソーシアム事務局 パーソルキャリア株式会社)
グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)




