第1分科会 キャリアオーナーシップ人材の採用課題と打ち手
~キャリアオーナーシップ人財獲得の為の「要件定義」~

私たちは、採用におけるキャリアオーナーシップ人材の要件定義について議論しました。採用においては、キャリアオーナーシップ人材の要件定義が十分にできていないため、採用、育成、定着の工程において非効率が生じているのではないでしょうか。
では、具体的にどうやって採用の状況を変えていくのかについてですが、1点目は「各社が求めている主要人材の言語化」です。2点目は「言語化した人材の条件」を採用・育成・定着に利用することです。

要件定義が明確で、コンピテンシー理念を含む複数の要素からキャリアオーナーシップ人材の要件定義がされている企業は、新入社員の定着率が高いことが見えてきました。特に多くの企業で、主体性・協働力・協調性が重視されていることがわかっています。
田中 研之輔先生(以下、タナケン先生):
いい研究ですね。さらに具体性がほしいです。例えば「主体性」「やる気」「成長意欲が高い」といった言葉ではなく、「業務の振り返りができる」「目の前の仕事に対して意味づけをできる」といった言語化です。要は態度ではなく、行動特性で見る。
みなさんの中でぜひやっていただきたいのが、主体性とか協働力といった言葉の、中身を深掘りすることです。もっと細かくする。たとえば主体性という言葉だけなら、他の企業の採用でも、同じこと見ていそうですよね。
キャリアオーナーシップ型人材を採用したい時に、よりインパクトがある深掘りがあったほうが望ましいかなと。問題は、キャリアオーナーシップ人材に対してメッセージが伝わっていなくて、応募してもらえない、入社しても定着しないといったことでしょうから。
挑戦的に、みなさんの中で徹底的に細かく作っていただきたいです。今までのコンソーシアムでは、そういう成果を出せていないはずですから。ありがとうございます。
第2分科会 AI活用による人事の変革課題と準備段階の整備

我々のテーマは「AI活用に備えて、人事はどう準備していくか」という話です。生成AIがこの世に出てきましたが、人事にどうやって活用したらいいのか。そして、今どういう立ち位置にいて、どういうステップでAIを活用していけばいいのか。さらに、キャリアオーナーシップ支援としてAIをいかに活用できるのか。
結論としては、効率化・最適化の基盤を固め、そして人事プロセスを体系化することが準備段階に必要であろうと考えています。そのためにも、AI活用に関しての基盤整備がどの程度進んでいるのか、さらにAI活用に向けた道筋として、どのような人事施策をポイントにして進めるべきかをまとめたい考えです。
議論においてはまず生成AIのDeep Research機能でたたき台を作り、それをもとに自分たちが手直ししたものを有識者にヒアリングしてさらに改善します。その中で意外なポイントとして挙がったのは、生成AI施策の推進において、人事が現場との信頼関係を持てないと、元となるデータを取れないという話です。

そこで、現時点でどういう人事のデータがあってどういう風に連携されているのかについて、システムの内容も含めて洗い出す。そして、AIを活用したらインパクトのあるところで小さく実験し、拡張を進める。というプロセスを考えました。
さらに、生成AIを業務の中でいかに織り込んでいくか、それを運用するための組織ケイパビリティも整えるための土台を作っていく……といったことを考えています。
AIの活用によってデータを取得する。そしてマネージャーがやっていた業務をAIが代替していく。そのうえで、ラストワンマイルだけは上司が関与するというやり方で業務効率も上がりますし、マネージャーの工数軽減にもなります。
こういう現場を実現させるためにも人事と現場の信頼関係が、今後非常に重要なポイントになるのではないかと思います。
タナケン先生:
ありがとうございます。ニーズがとてもある話ですね。いろんなデータをはじき出して分析してくださっています。それを検討してもらえれば、プロダクト化してもいいと思います。
第3-1分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(導入期)

私たちが自社のキャリアオーナーシップの推進状況を見ると、概念や施策はたくさんあるのですが、なかなか浸透しきれていない部分があるのではないかと考えています。そういう現状を念頭に置きながら、今一度キャリアオーナーシップ1周目に何が必要なのかというところを、過去のコンソーシアムの知見を活かしつつ研究を進めていった次第です。
私たちにとっての理想的な姿は「キャリアオーナーシップ支援制度が社員の行動に結びつき、企業風土がキャリアオーナーシップをステップアップさせ、かつそれを可視化できている」状態です。そのためにも、上司、人事制度、経営層からの強制力などさまざまなレイヤーで何を改善すればいいのかを考えました。
実践イメージとしましては、制度のところではキャリアの申告や、社内公募といった制度について、連動性を意識していけるのか。それから、浸透という点ではキャリアオーナーシップ経営を可視化してアピールできるか。風土面においては「キャリアオーナーシップ育成が社員と会社双方にとってメリットがある」との共通認識を定着できているか、が大切であると議論しています。

そこで社員を4象限に分けて、それぞれのポジションに適したコミュニケーションやガイドラインを型として作っていけないか、と取り組んでいます。

タナケン先生:
4象限についての対処法のページは、順番を変えるといいかもしれませんね。スペシャリストタイプを左において、次を起業家にして……と、4象限の図と合致させる。こういったことは最終発表までにさっとやっておくと良いでしょう。ありがとうございます。
第3-2分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(定着期)

私たちは、キャリアオーナーシップ経営を推進して2周目の課題となる、2:6:2で分かれる人材の「6」にあたる層をいかに自発的に動けるための整備環境を作るか? というテーマで動きました。具体的には、さきほど分科会3-1で提案されたステップで「認知・理解」がありましたが、私たちは「共感・行動」をいかに起こすかを各社に伺っているかたちとなります。

定着期の壁に対する課題と、理想の状態を表したのがこの図です。そのうえで、どのような要素があればいいかを外的要因・内的要因に分解し、説明しているのが現段階となります。2:6:2の人材のうち「6」の層が具体的にどういうところでキャリアオーナーシップを抱く行動をとったかを調査しています。
特に、「個人・組織/会社・上司」の3視点に分けて収集しており、さらにポジティブ vs ネガティブのアプローチで、それぞれどのようなことがあったかを解明しています。
最終的には、
- 上司の役割変革をどう実現するのか
- これまでキャリアオーナーシップへ動かなかった層をどう動かすか
- キャリアオーナーシップの見える化をいかに解明していくか
これらを示す最終発表にしたいと思います。
タナケン先生:
とても進んでいますね。その上で、最後の落としどころは意外と難しいのかなと思っています。改革案を出す部分が課題になりますね。それから「不動層」と呼ぶ、2:6:2でいうと最後の2割に対するアプローチですね。キャリアオーナーシップ推進に反発はしなくても、自分は動かない人たち。その2割は組織にとってブレーキになっているのかもしれないのですが、一方で一定の役割を果たしている人材です。
その方々へ、我々はどう向き合うのか。そこを分科会で考えていただけるといいですね。「どう動かすのか」は、すなわち「どう関わるのか」でもあります。かれらにも動かない理由がやっぱりあるわけです。それが、2周目の課題ですよね。
第4-1分科会 キャリアオーナーシップ支援する
マネジメント人材育成課題
~キャリアオーナーシップマインドセットの醸成と
支援文化の定着~

私たちはマネージャー層のキャリアオーナーシップ支援行動を定量化しようとしています。マネージャーの努力を共通化する物差しを作りたい考えです。「マネージャーのキャリアオーナーシップ意識が高くても、部下へのキャリアオーナーシップ浸透ができているとは限らない」ということが、過去のコンソーシアムでは明らかになっていました。では、なぜそうなってしまうのか? を深掘りしていきました。
そこで洗い出した課題が、以下の3つです。
- キャリアオーナーシップ支援行動を促す知識・スキル・経験の不足
- 支援を自己成長と捉えられないマインド
- 支援行動が評価されにくい制度設計
課題としては、キャリアオーナーシップ支援行動を測るような指標がない点が挙げられます。評価が曖昧なために、なかなか能力開発につなげていきにくい。我々が目指している姿は、マネージャー層の取るべき支援行動が明確になり、能力開発、組織活性に連動する状態です。
各社30件ずつほど、合計100件ぐらいのデータを集め、タナケン先生のキャリアオーナーシップ経営診断とあわせて新しい診断を作成しています。

現在はデータを回収、分析していますので、これから相関分析や施策への反映案作りを進めていきたいと思っています。自社にどれくらいキャリアオーナーシップ支援ができるマネージャーがいるかを査定できる診断にできるよう、尽力しています。
タナケン先生:
ありがとうございます。進んでいて素晴らしいですね。私のキャリアオーナーシップ診断を作っているものと一緒に「キャリアオーナーシップ診断(マネージャー編)」として並べていただけるとありがたいです。できれば15問ほど作って、キャリアオーナーシップ診断本体とのバランスがとれるといいですね。監修に入らせていただくことで問題を調整してもよいと考えています。
なお、診断では「私は」という表記を外します。なぜなら回答者はすでに「私」という個人だからです。そのほうがよりスタイリッシュになり、自然になるので。報告書段階では一緒に作っていきましょう。頑張ってください。
第4-2分科会 管理職のキャリアオーナーシップ意識改革と
現場への支援強化

私たちは4期で検討しておりました、9つのクイックリファレンスの効果検証と、社員に対してキャリアオーナーシップ意識を普及させるために取れる施策の模索でした。これまでのご助言を踏まえ、9つ全てを査定するのではなく「マネジメント層が自身のキャリアについて考えるための施策」を最優先としました。
マネージャー層でキャリアオーナーシップ意識が浸透していない。そのために、部下のキャリアオーナーシップ育成にも影響が出ていると考えています。そこで、検証のために4期にクイックリファレンスを作成された企業にヒアリングを実施いたしました。
さらに、これまでコンソーシアムで提案された各社の施策を振り返っても、マネージャー層にアプローチする施策があまり見られないことも踏まえ「マネージャー自身がキャリアについて考える機会を提供する」ことがさらなる社内のキャリアオーナーシップ醸成においても重要ではないかと考えています。
具体的には「マネージャー層のキャリア形成ワークショップを開催し、キャリアについて話し合う機会を設ける」ことに取り組みたいと考え、参画企業のマネージャー層が越境して、ワークショップを開催しました。現在はその結果どのような変化が生じたかを査定しているところです。
精査しているところではありますが、素朴な疑問として「マネージャー層のキャリアオーナーシップ情勢は重要だと多くの企業がわかっているはずなのになぜ阻害されてしまっているのだろうか」という部分は議論になりました。
タナケン先生:
いいですね。おそらく、ご自身のキャリアを考えながら、メンバーのキャリアオーナーシップを醸成している方もいっぱいいらっしゃると思いますから、そこから学べるとよいですね。特に今は、マネージャーになりたくないと考える文化が浸透してしまっている中で、そんなことはないよ、というメッセージになるといいですね。
第5-1分科会 キャリアオーナーシップを“自分ごと”にするための意識醸成と行動変容の仕掛け
キャリアオーナーシップ理解と行動変容の壁を超える

私たちは、キャリア自律のトリガーについて仮説を立てています。キャリア自立を促すトリガーを内発的動機と外発的動機に分け、図解の要素を持っている場合は、キャリア自律できている可能性が高いという仮説です。
特に、はたらいている方の上位2割の行動トリガーを導き、さらに中間層の6割を引き上げていきたい、という狙いです。そこで4社にご協力いただいて、上位2割の人材にインタビューを行っています。ヒアリングを通じて内発的動機と外発的動機が満たされれば、会社への貢献度もより上がるのではないか、と期待しています。
現時点で明らかになっているのは、みなさんが主体的に行動しているという点、そして上司の影響がある、ということです。上司の影響はポジティブなものに限定されず、反面教師としての影響も含まれます。さらに、上位2割の方は仕事をしながら、その業務にご自身の中で意味付けをしながら取り組まれている。これらを共通項として見出しています。
タナケン先生:
現時点で、上位2割のハイパフォーマー層に年代や性別の分布はわかりますでしょうか。
―現時点ではその分析をできておりません。
ありがとうございます。そこを整理していただけると、よりわかりやすい資料になると思います。
次に、外発的動機についてですが、やはり人事評価がわかりやすいですね。たとえば、自律的に働いても昇進しない、キャリアオーナーシップに値する行動をしていても認めてくれない、そういう現場ではキャリアオーナーシップが育たない。
逆に、360°評価でキャリアオーナーシップの度合いを見てもらえると、キャリアオーナーシップが育つのか。このあたりをAIで分析するのもよいと思います。ヒアリングの言語データを5人ほど聞いたら、10万文字くらいになるはずです。その共通項をAIにキーワードで抽出してもらい、分析することもできます。人とAIの両方でやっていただければと思いました。発表、ありがとうございました。
第5-2/5-3分科会 キャリアオーナーシップを体現する人材と
風土の再構築による組織変革・社員の想いと
組織の方向性を重ねるキャリアオーナーシップ共鳴設計

※C/O=キャリアオーナーシップ

私たちは、キャリアオーナーシップを体現する社員が活躍できる場を「組織風土・カルチャー」からアプローチするかたちで明らかにします。課題意識として、今さまざまな企業がキャリアに関する制度や仕組みの導入を進めつつあると理解しています。しかし、実際にそこからキャリアオーナーシップを体現する人材がなかなか思うように輩出できていないのではないでしょうか。
そして、今は他の象限にある企業風土を、いかに「キャリア行動高い×自己認識高い」グループに移行できるかについて議論を進めました。そして、先進企業においてはどんな特徴があるのか、そしてどういった特筆すべき取り組みをしているのかを見える化していきます。
まずは、キャリアオーナーシップを育む組織・風土の特長に「個人の希望も満たしながら、企業も目的を達成できる」状態を示しました。

そのうえで、キャリアオーナーシップ先進企業の定義を我々の分科会の中でも言語をそろえるために、定義しようと考えました。そのうえで「自分の価値観・強み・目標を理解し、それに向かって積極的に行動できる」人材がキャリア自律的である、と考えています。
そして、今は他の象限にある企業風土を、いかに「キャリア行動高い×自己認識高い」グループに移行できるかについて議論を進めました。そして、先進企業においてはどんな特徴があるのか、そしてどういった特筆すべき取り組みをしているのかを見える化していきます。
タナケン先生:
ありがとうございます。たとえば A社という法人があるとします。A社の中では組織風土は〇〇です、制度はXXです、働きかけは△△です、と3つの軸で見るのでしょうか。アウトプットでどう導き出すかを、どんな風に意識されていますか。
―どういうふうな形でまとめていくかは、今考えているところです。
今想像しうるのは矢印で示す絵姿ですけれども、それじゃあ多分つまらなくなってしまう。こういう時にやるのは、相関を示すケースですね。2つのプロジェクトをひとつにして今進めてはいるけど、ヒアリングではどちらかというと、個人の行動を明らかにしようとされている。
企業風土と個人の動き、ここを住み分けて分析していった方がいいですね。
ゼロからモデルを構築するアプローチというよりは、「発掘型」と呼ばれる、現場の声からモデルを浮かび上がらせるイメージにするとまとまるのかなと。なかなかシャープなイメージができずもどかしいのですが。
また、キャリアオーナーシップを育む施策についても、例えば「ミドル社員は、社外兼業や副業をしていいよ」といった制度を作るとしましょう。そうすれば、ミドル世代が動き出してキャリアオーナーシップ度が高くなっていく……といった物語になると、イメージしやすいですよね。頑張ってください。
第5-4分科会 団体・企業活動の経営戦略と
キャリアオーナーシップの接続


私たちは「キャリアオーナーシップをあの経営層にどうご理解いただくか」を、今回テーマに置いております。「そもそも、キャリアオーナーシップ経営へ投資する意味は何?」という経営層の疑問に答えなくてはいけない。ここにどう立ち向かっていくか、研究を進めています。
そこで、会社として大事にしている人的資本経営と、キャリアオーナーシップの相関性を見い出しにいきました。たとえば、チームの1社は「人材の定着」に着目しました。退職率をひとつ大きなKPIとして設定し、キャリアオーナーシップとの連動性を見い出そうとしています。
もう1社でも、顧客満足度や個人の生産性、手上げによる異動、退職とエンゲージメントを調べています。調査を進める中で、キャリアオーナーシップが高い場では、社員の業績も高いという傾向は出ています。現時点では、タナケン先生のご指導のもと、さらにDE&Iとの相関なども調べているところです。
タナケン先生:
いいですね。さらに「何が・どう効くか」を説明できるとよいですね。例えば、2千5百人という母集団を調査されたとのことですが、そのなかで「何が」効いているかというところを説明しうると、経営者が納得しやすいでしょう。「費用投資効果ってあるの?」という部分から、経営層は疑問視しているケースもあるでしょうから。
ぜひ、分科会に入られている他の企業さんが持っているデータも持ち寄ってもらい、データを戦略と実行で突き合わせて紐解いていってもらえると、すごく面白いですね。
進捗でいうとすごく進んでいると思います。ですから、我々がまだ着手できていなかった伊藤邦雄先生の人的資本経営と、我々がこの5年間やってきたキャリアオーナーシップ経営にはどのような関係性にあるのか。ここまで切り込めるとよいですね。
構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
企画:伊藤 剛・藤本 亜美(コンソーシアム事務局 パーソルキャリア株式会社)
グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)





