第1分科会 キャリアオーナーシップ人材の採用課題と打ち手
~キャリアオーナーシップ人財獲得の為の「要件定義」~

第1分科会では、キャリアオーナーシップ人材を採用するために必要な要件定義を明確化するための議論を深めました。私たちは「なんとなく」で人材を採用してしまった結果、定着率に課題が生じてしまっています。そこで採用の定義を明確化し、入社後のマッチング、定着率上昇を目指したいと考えました。

まずは、各企業の採用要件についてアンケートを実施し、入社後の定着にどの採用条件が絡んでいるかを可能な限り明らかにしてきました。今回はキャリアオーナーシップ診断をもとにしつつ、よりキャリアオーナーシップ要素が強い項目と、一般的に企業が重視しそうな項目を分けて計上しています。

さらに、アンケート結果も踏まえて2社にインタビューを実施しました。もともと2社の企業様は定着率が84.2%に上るため、定着率が高いと言えます。(※厚生労働省のデータでは3年定着率が平均6割強)いずれの2社も、トップダウンでキャリアオーナーシップの重要性を知らせるコミュニケーションが取られていることが大きい、とわかりました。
また、採用要件を言語化し、それを採用活動に反映するとともに、入社後の育成につながるオンボーディングを実施していることから、キャリアオーナーシップが推進されていると分析できています。
他のチームのコメント:
―発表をお聞きし、採用とキャリアオーナーシップに強い関係性があると実感できました。また、コンピテンシーまで落とし込んでいただけたため、他の分野に使える指標になっていると感じています。これまで採用でにおいてキャリアオーナーシップを意識していなかったので、今後は学生の話を聞く際に意識していきたいと考えています。
第2分科会 AI活用による人事の変革課題と準備段階の整備
〜キャリアオーナーシップマインドセットの醸成と
支援文化の定着〜

私たちは、分科会全体で唯一AIをテーマにしたグループとして議論しています。生成AIの活用については、目的ではなく活用する手段です。そのうえで、活用目的があいまいであるために、属人化した業務に活用する道筋が立てられない状態にあるかと思います。
また、データを集めるのが難しかったり、そもそもデータがなかったりするケースもあるでしょう。さらに、定型業務の中でAIを学ぶ時間がなかったという問題もあるはずです。
最後に、経営層を説得できないために生成AIを活用できないケースもあり得ます。そこで、まずは経営層と合意して生成AIを活用できるよう、業務の細分化や脱属人化を目指す必要があるだろうと定義しました。

そのうえで、生成AIを活用するためのステップをStep0からStep4の5段階に分けています。このプレゼン自体も生成AIをベースで使い、それをもとに有識者のインプットをいただいて作っています。
結論としては、Step0にあたる「経営戦略と人事改革が接続」する必要がある、というのが最も重要であると認識しました。どのような施策を実施するのであっても、経営インパクトに関わる人事指標を出し、経営と人事を接続する必要があるためです。

そのうえで、業務のデータを収集し、生成AIが分析できるような情報を集めることが大事であると考えています。AIは質的データも分析できるため、その点においても強みを発揮できるかと思います。

そして、生成AIを導入するうえで発生する5つの壁を明確にしました。

すでにキャリアオーナーシップが経営にとってインパクトがあることは明らかになっているうえで、日々の業務には追われている。そこでAIを活用することで業務負荷を減らし、キャリアオーナーシップを推進していくことが我々にとって急務であると考えています。
他のチームのコメント:
―私自身、AIに疎い人間ですがわかりやすく説明していただけて助かりました。生成AIとキャリアオーナーシップのつながりはどういうところにあるだろうかと考えていましたが、キャリアオーナーシップを実現するための手段として生成AIがあるのだと理解することができました。
第3-1分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(導入期)

当初はキャリアオーナーシップ推進に向けた一周目企業が直面する壁について取り扱う予定でしたが、その後、施策が回らない壁と、実装させるための対策を考える方向へテーマを変更いたしました。
多くの企業では実装ができておらず、キャリアオーナーシップ施策が形骸化していないでしょうか。その理由には、キャリアオーナーシップそのものへの関心の薄さ、自身の業務に追われること、やらされ感などが現状にあると考えています。そこで、目指す姿として「一過性の施策ではなく、日常業務としてキャリアオーナーシップ施策が現れ、経営層と人事が同じようにキャリアオーナーシップを語れる状態、そして社員がキャリアオーナーシップを日常業務として実行できる状態」を設定しました。

私たちの分析結果として、図の通り「4つの共通課題」が明らかになりました。

そのうえで、社員を一方的にくくって課題を語るのは難しいのではないかと考えました。そこで、社員を4職種に分類しています。

そして、4職種それぞれにアプローチする実装を提案いたしました。そして、仮説を検証するため、キャリアオーナーシップ推進において先進的な取り組みを行っている企業へのインタビューを実施いたしました。

そのうえで見つかった4つのポイントが図の通りです。この4つが対策として実行できると、キャリアオーナーシップ経営が推進されるのではないかと考えています。

特に4つのポイントを総括すると、経営・人事・現場の相互作用があって初めてキャリアオーナーシップ経営が実現できることが見えてきました。
他のチームのコメント:
―どの企業も抱えているであろう課題を共有していただけて助かりました。ありがとうございます。
第3-2分科会 キャリアオーナーシップ人材活用の実践課題
(定着期)

私たちは、キャリアオーナーシップ経営を数年続けて見えてくる2周目の課題に取り組んでまいりました。そこで得た確信が「キャリアオーナーシップは“個人の努力”だけでは生まれない」というものです。組織・上司・個人の3者がそろって初めて動ける経営インフラであるという、大きな学びを得ています。
そのうえで細かな部分を見ていくと、キャリアオーナーシップの定義~共創までの流れにおいて、最も大きな壁になるのが「行動を起こす」部分にあるとわかりました。

そこで、行動を促進している要因と、阻害している要因を定量・定性で分析しました。行動は個人の力だけでは生まれず、相互連携が必要であると考えました。

そのうえで、私たちは3者がそれぞれ行動を起こせるよう「アクション事例集」を作りました。



こちらが、その3者3様のアクション事例集です。さらに、阻害要因に対する打ち手も整理しています。

そのうえで、最後にキャリアオーナーシップの実践を推進する3つのステップをご案内します。組織の面では、まず会社のスタンスを明確に、キャリアオーナーシップの公式定義を示すこと。そして、上司の役割を決める方から「パートナー」へ定義すること。そして挑戦・越境・輩出を評価に反映すること。この順番で整えていけば、キャリアオーナーシップ経営への共感は行動に変わると考えています。
他のチームのコメント:
―とても分かりやすいプレゼンをありがとうございます。組織・上司・個人が相まって初めて行動が起きるというのは、非常にキャッチーであり、同時にその通りだと思いました。さらに分析だけでなく、どういったアクションを起こすべきかを明確にしていただけたので、「やらなくてはならない」から「どうすればいいか」が具体化されたかと思います。
第4-1分科会 キャリアオーナーシップ支援する
マネジメント人材育成課題
~キャリアオーナーシップマインドセットの醸成と
支援文化の定着~

今回、私たちはマネジメント層のキャリアオーナーシップ支援行動が可視化・支援されない状態をいかに打破するかについて議論しました。個人がキャリアオーナーシップを高めても、それが必ずしもメンバーのキャリアオーナーシップ支援につながらない、あるいはマネジメント層のキャリアオーナーシップ支援行動を測定・評価する仕組みがないといった課題を持つ企業が多くあったかと思います。

そこで、私たちは個人のキャリアオーナーシップ意識と支援行動の相関分析を実施しました。まずはマネジメント層のキャリアオーナーシップ支援行動を定量化する狙いです。上図が実際に行った9つの設問です。

結果としては、個人のキャリアオーナーシップ意識とキャリアオーナーシップ支援行動には正の相関がありました。特に、コーチングとフィードバックのカテゴリにおいて、マネジメント層はメンバーへキャリアオーナーシップ支援行動を行っていることが判明しています。

さらなる調査として、自認ではなく「何を何回していたら、”はい”と答えていいのか」といった回答のブレについてまだリサーチできる面があることが見えています。また、回数の評価だけでなく質の評価を行うのであれば、部下の満足度評価、部下の成果への調査も実施すべきかと考えます。
他のチームのコメント:
―私たちのチームでも、マネジメント層の役割が大きいことをよく議論しています。そのうえで、管理職の具体的な行動について、エビデンスをもって説明していただけたことが非常に参考になりました。ありがとうございました。
第4-2分科会 管理職のキャリアオーナーシップ意識改革と
現場への支援強化

私たちは、マネジメント層が自分のキャリアについて考える時間がない問題について、前期で議論になった9つのクイックリファレンス(打ち手)を検証・深掘りする観点で議論しました。

各社調査を実施したところ、クイックリファレンスにおいてもメンバーへはキャリアオーナーシップ支援をしていても、マネジメント層へはアプローチできていないことが共通項として挙げられました。そのうえで、9つ示されたクイックリファレンスの中でも「マネージャー向けのワークショップ」「キャリアについて話し合う機会を設ける」という2つの施策を実施しました。

実施前後でアンケートを実施したところ、「自分のキャリアを自分の意思で描けるようにになった」方が8割を超えました。また「キャリアを考えるきっかけが増えた」と回答した方も96%に上りました。
さらに「他社さんとの交流が視野の広がりにつながった」「ライフラインチャートを作ったところ、キャリアが可視化された」といった声もありました。特に、管理職は周囲から「完璧さ」を求められがちですが、完璧さから解放された自由に話せる場を作ることが重要であると考えています。
一方、具体的なきっかけ作り、方向性を見つける部分については模索中の方も半数程度おり、他の分科会のみなさまが発表された内容と重複するデータとなりました。
他のチームのコメント:
―「管理職になったとたんに、放っておかれた感覚になる」という観点が、多くの企業に見られると感じました。今後大事になるポイントとして、「キャリアオーナーシップへの意識は上がったが、行動が伴わない」部分について、今後どのように行動を促進するかについて考えていきたいと思いました。
第5-1分科会 キャリアオーナーシップを“自分ごと”にするための意識醸成と行動変容の仕掛け
キャリアオーナーシップ理解と行動変容の壁を超える

どの企業も2:6:2に分かれた層の中で、中間層の6割に届かない、動いてくれないという悩みに取り組んだのが私たちの分科会です。キャリア自律を促すトリガーとしては、内発的動機付け・外発的動機付けの2つがあるだろうと分解し、その2つがそろえばキャリアオーナーシップを持つだろうと考えて議論を進めています。

私たちは最初「WILL」と「危機感」で分けていました。ワクワク感を持っている方はキャリア自律していますし、危機感を抱いている方もキャリアオーナーシップを持つ。対極の2つを持つ方が、キャリアオーナーシップを持てているのではないかと議論したのです。このいずれを持っている場合であっても、組織には貢献してくださるわけですが、WILLと危機感、どちらも持たなくてはいけないのか、どういった関係性にあるのかについて模索していました。
そこでトップ2割の層にフォーカスし、研究を進めました。結果、言葉の定義をやり直して「内発的動機・外発的動機」というフレーズに収束したわけです。そのうえで、どういった因果関係が双方にあるのか、インタビューを通じて深掘りしていきました。

4名へのインタビューを通じて判明した「キャリア自律できている人」の共通点は、上図にまとめた7つが見つかりました。これらをご覧いただくことで、ご自身の組織で強い部分や、さらに強化できる部分を見ていただき、テーマごとに施策を展開していくことができるのではないか、というのが我々の提案です。
他のチームのコメント:
―2:6:2の6割を上に連れていく、というのはどの企業も関心があるのではないかと思い、関心を持って伺いました。キャリアが多様で正解がないことが改めて明らかになってきましたし、その共通項についてインタビューを通して見つけていただけたことに、私たち分科会と似た部分を見つけて共鳴しました。
第5-2分科会 キャリアオーナーシップを体現する人材と
風土の再構築による組織変革
第5-3分科会 社員の想いと組織の方向性を重ねる
キャリアオーナーシップ共鳴設計

私たちは、別々の分科会であったところを合同で研究することになりました。5-2は組織風土・文化を、5-3ははたらき方・仕掛けについて研究しています。私たちの共通課題として、キャリア制度はあっても、キャリアオーナーシップ人材の輩出ができていないというものがありました。
そのうえで「キャリアオーナーシップを醸成する文化がないのではないか」と「画一化されたアプローチに終始しており、個々人に分けたアプローチができていないのではないか」という仮説を立てて研究を進めました。

そのうえで、まずはキャリアオーナーシップが体現できている企業を定義し、先進企業へインタビューしてから可視化できるモデルを構築しようと考えました。

こちらが、キャリアオーナーシップを体現している状態を表すための4象限です。この図の右上の状態が、キャリアオーナーシップを持っている企業がキャリアオーナーシップ先進企業であると考えて動きました。
さらに、キャリアオーナーシップ先進企業も2種類あると想定してインタビューを8社・17名様に実施し、お話を伺いました。
タイプ1:オーナー企業や創業者の精神など確固たる企業理念や文化があり、キャリアオーナーシップが体現されている企業
実施されている施策の例
- キャリア意識を高める制度(JD、社内イントラの活用などのキャリア情報)
- 創業精神や企業理念を従業員に・浸透させる働きかけ(創業精神の育成方針への反映)
タイプ2:1のような理念や文化はなかったが、自分たちでキャリアオーナーシップを築き、キャリアオーナーシップが体現される組織へと変わった企業
実施されている施策の例
- 社長からジョブ型導入の説明(経営層の巻き込み)
- キャリア行動を可能にする制度(例:社内公募)
- 全社員で企業理念の策定

結論として、企業文化が根付いているところは暗黙知となっている理念を言語化しようと試みており、その結果としてキャリアオーナーシップを育んでいることが分かりました。逆に、創始者の強い思いがない企業では、社員全員で「自社文化とは何だろう」と話し合うプロセスなどを経て、キャリアオーナーシップを推進していることが分かりました。
そのうえで、新たな文化をいかに築くかは企業ごとに自社状況を分析して決めていく必要がある、というのがチームの考えです。
他のチームのコメント:
―これまでの他の分科会が考えていた「キャリアオーナーシップは個人の力だけではどうにもならず、組織・上司の支えが必要である」という意見についてのみならず、企業文化・理念の部分に着目していただいたのが面白いと感じました。「自分がそもそもどういう会社に勤めていて、どういう会社で、何を実現していきたいのか」という思想につながる部分でもありますし、制度設計だけでも、文化だけでも不足しているのだと知ることができました。
第5-4分科会 団体・企業活動の経営戦略と
キャリアオーナーシップの接続

私たちは、経営層が「キャリアオーナーシップを事業戦略上必要だ」と納得できるストーリーに落とし込めていない、という課題について議論しました。なんとなくよさそうだけれども、経営判断の重要指標には置きづらいというキャリアオーナーシップの位置づけについて深掘りしています。
キャリアオーナーシップが上がると個人のエンゲージメントにつながり、結果として個人の事業貢献にはつながると前期までに明らかになっていましたが、さらなるデータが必要だろうと考えました。特に、人的資本経営のKPIとの相関性を見出していくことが目的です。

各企業でKPIが異なるため、今回はそれぞれの会社でデータを見ています。たとえば「退職率・エンゲージメントサーベイ」の相関を見た企業では、エンゲージメントサーベイのスコアが上がれば、退職率が下がることを見出しています。
また「健康経営リスク・エンゲージメントサーベイ/ストレスチェック」の関係を見た企業では、キャリアオーナーシップが高いと健康リスクを下げられることが分かりました。さらに「業績・顧客満足度・退職・手挙げ異動・昇格任用」においても調査したところ、キャリアオーナーシップが高いと業績や顧客満足度が下がることも調査できています。

まとめとしては、各社でキャリアオーナーシップを再定義し、経営との結びつきを検証するのが重要であると確認できました。
他のチームのコメント:
―個人の努力だけでなく、組織が絡んでくる。そのうえで経営のKPIとキャリアオーナーシップを絡めるのは大きなテーマだったのではないかと思いました。自社で同じことをしようと考えると、データの下準備がおそらく大切であろうと思われます。
さらに、相関には多数の変数が絡むため、定期的にエンゲージメントサーベイなどを実施し、経営陣を説得できるデータを分析する必要があるのではないかと考えます。
なお、KPIでキャリアオーナーシップと関係がなかったものはありましたでしょうか。
「相関がなかったと言うよりも、顧客満足度と言ってもデータを取れる部署と取れない部署がある、といった課題が出たケースはありました。また、データの回収について課題がある部署もあり、こういった壁を乗り越えることが最初の課題かと思います」
構成:伊藤 ナナ・杉本 友美(PAX)
企画:伊藤 剛・藤本 亜美(コンソーシアム事務局 パーソルキャリア株式会社)
グラフィックレコーディング:松田 海(ビズスクリブル株式会社)




