キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第3期)

後編:研究会活動のオンライン報告会 詳細レポート

2024.04.16

研究会

2024年3月19日、1年を通して開催された「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム 第3期」の研究会を締めくくるオンライン報告会が開催されました。38社が集まった第3期の研究会活動では、人的資本を最大化する実践論「キャリアオーナーシップ経営」を導入・実践するための7つの実践課題に参画企業38社・団体が向き合い議論を行い、その内容を「はたらく未来白書2024」としてまとめました。このイベントでは、白書の公開を記念し、コンソーシアム顧問の田中 研之輔先生(タナケン先生)によるファシリテーションの下、各分科会の一年間の成果発表の様子を、詳細にレポートします。

INDEX

    成果報告

    ⑤C/O浸透の実践における課題と打ち手

    司会:
    それでは次の発表は「キャリアオーダーシップ浸透の実践における課題と打ち手」というテーマです。エーザイの三輪さん、発表お願いします。

    三輪:
    それでは第5分科会から発表させていただきます、エーザイの三輪と申します。よろしくお願いいたします。

    私たちのテーマですが、キャリアオーダーシップ浸透の実践における課題と打ち手ということでこの下の6社で取り組んでまいりました。私たちは組織全体を動かすために働きかけるターゲットはどこなのか、というところから議論をスタートいたしました。

    グループ内に、富士通のキャリアオーナーシップ診断を実施していらっしゃる企業さんが複数社いらっしゃいましたので、そこでキャリアオーナーシップを持っている人材がその社内にどのくらいいるのかを見ていただきました。

    その結果からわかったことが現状の停滞フェーズですね。アイデンティティ・アダプタビリティともに低い方がやはり6割、7割ぐらいを占めているとわかりました。

    この大多数を占める現状停滞フェーズ・岩盤層を動かすことが、この構造を変えるポイントではないかと考えて、その中身をさらに詳しく分析。その結果、停滞している背景というのは本当に人それぞれさまざまであることがわかりました。

    その現状停滞フェーズにいる人のキャリアオーダーシップ獲得にフォーカスして、さらに議論を深めていきました。年代ごとに停滞している背景は異なるのではないか、同じ年代でも停滞理由は異なるのではないかということで、ペルソナを設定する方向で考えていきました。

    また一方で企業側は、さまざまな打ち手・施策を打っていくと思われますが、その停滞理由に合わせた施策の整理ができていないのではないかという議論にもなりまして、それを整理する方向でも進めました。

    まず各企業の実態を持ち寄りました。その中には、パフォーマンスが高いものの、自身のキャリアは見出してない、成長するイメージが持てない、変化を怖がっているなどさまざまな背景があることが見出されたのです。

    やはり一律の施策ではなく、なるべく多くのペルソナを設定して施策検討をするという結論に達しました。

    ペルソナは、まず3つの世代に分類しました。そして、それぞれの年代が抱えやすい悩みや現状を4つ設定しました。

    その4つの中にはですね、育児や介護など年代特有の背景として仕事とプライベートというところがあるのではないかと、各年代層にその仕事とプライベートとを入れ込みました。つまりペルソナとして、3×4で12のペルソナを設定いたしました。

    加えて、キャリアオーナーシップの理解度で4つのステップに合わせて施策を落とし込むことにしました。会社が4つのステップに分けて機会を提供するという考え方です。4つのステップというのは、「キャリアオーナーシップを知る機会」「理解を深める機会」「さらに理解を深める機会」「実践をする・実践を支援する」という4つです。

    当初は、ジョブ型とメンバーシップ型を分けて検討していました。しかし、議論を進める中で最終的には、状況に応じてジョブ型の場合は第2ステップからスタートするケースもあるのでは、ということで1つの表としてまとめることにいたしました。

    各年代ごとの施策一覧となっております。

    各年代に一応名前がついていまして、20代から30代というのがキャリア黎明期、30代後半から40代がキャリア確立期、50代がキャリア再構築期となります。

    この施策表のベースにあるものとして、一番下に「上司とのキャリア1on1」があります。これは従業員に一番近いところにいる上司が、日常的にキャリアの状況を把握して最適なステップを提案する、その伴走をすることが目的です。

    例えばこの表の中の20代から30代前半の方の停滞理由としては4つあります。異動がなく成長イメージが湧かない、キャリアの方向性が定まらない、忙しくてキャリア形成に向き合う時間がない、などです。

    例えばこの3つ目、キャリアに向き合う時間がないというケースでは、まずステップ1で上司あるいは会社が向き合う時間がないから時間を作ってはどうか、ということで、その時間を捻出する支援をし、その時間でキャリアeラーニングなどを受講していただく。

    ステップ2では、キャリア1on1を通じて自己理解を促す。ステップ3でキャリアワークショップに参加してもらい、最後ステップ4でキャリアワークショップで定めた事務の行動を実践する、それを支援するという流れです。

    これはあくまでも一例で、いろんな組み合わせがあると思いますね。その個人個人によってどれを選択するかというのは、個人と相談しながらやればいいのではないかな、と考えております。こちらが30代5〜40代で、最後が50代ですね。

    この表の中にベースで先ほど、上司によるキャリア1on1というお話をしましたが、このステップの中で1on1がいくつか入っております。

    それはそのステップに応じてテーマを決めて実施する1on1があるのではないかということで、それぞれの横にこのテーマでやってはどうかということを記載させていただいております。

    あと、青色の箇所に関しましては昨年の白書で公開されましたキャリアオーナーシップ経営の打ち手100の中からこちらにはめ込んでおりますので、詳細はそちらでご確認いただくことが可能です。

    最後にまとめに入りますが、各年代ごとにペルソナを設定し、会社がキャリア1on1を通して現状把握し、ステップを見極めて機会を提供する。合わせて伴走支援することで現状停滞ペースの人たちにキャリアオーナーシップの理解と目覚めを促し、各ステップを踏みながら、より良き未来に向かって前進してもらいたいと考えております。

    第5分科会の方からは以上です。ありがとうございました。

    司会:
    ありがとうございます。認知だけではなく、そこからどう浸透させていくのかというステップがあるかなと思います。タナケン先生、コメントお願いします。

    タナケン先生:
    ありがとうございます。白書をダウンロードしてもらわないと、全部見きれないぐらい細かく書かれていますので、ぜひ白書をゲットしてもらって詳しく大きくして見てもらえればと思います。

    私は今、お話を伺っていて、キャリア開発において一つの誤りがあると感じています。

    よく、社外でのイベントに招かれることがあります。例えばキャリアフェス、キャリアデイ、キャリア月間など、素晴らしい取り組みだと思います。そこでは予算が割かれ、社内外でさまざまな活動が行われていますが、ただ、これは1年に1回だけであり、それでは変化が起こりません。

    ですので、今日、みなさんが初めて分科会で話されたように、例えば診断をして停滞している人がいた場合、また来年になるまで何も解決されないという状況です。だからこそ、そのような問題に対して目をつぶるのではなく、伴走していくことが重要です。

    ちょっと見えてきたのは、この4つのステップが企業経営の中で何を指すのか、ということですが、おそらく四半期モデルなのです。つまり、1クールごとをおおよそ3ヶ月で回していくことになります。

    3ヶ月ごとに、知る機会を提供し、理解を深め、さらに実践を支援する。これは1週間で行う話ではなく、行動変容を伴走させながら、おおよそ3ヶ月ごとにこのフェーズをクリアしていくことになります。そして、4つのステップで具体的なアクションを実行していきます。これをサイクルで継続していくことで、キャリアオーナーシップ診断の中でも、企業さん全体で実施してほしいと思います。富士通さんにお声掛けいただきながら、私も監修に入っていますので、無償で提供いただけると思います。

    現状、停滞フェーズに入る人が多いのです。大体今の平均値で言うと、3万人から4万人ぐらいが診断を受けていますが、そのうち55%から63%ぐらいが現状停滞に入りやすい傾向にあります。その人たちを未来創造フェーズへと変えていきたい。

    この4つのアプローチの中の4つのフェーズで実行していくのですが、その中で4タイプの定性的なペルソナができ上がっており、多分当てはまらない人はほとんどいないと思います。

    20代から30代であれば、時間がないと感じる人もいますし、子育て中の若手でワンオペで奮闘している人もいるでしょう。そんな方々が、我々が目指しているようにキャリアに悩むのではなく、キャリアオーナーシップを実現していくためにキャリアを具体的に考えて設計し、行動に移していくことができるので、この素晴らしいマップを作成していただいたことに感謝しています。

    これを、4期以降、実際に企業現場の中で展開していく予定で、おそらくキャリアオーナーシップ診断なども導入していけたらいいと思いますね。

    そうすると、1年間を通してこの4つのフェーズを回してみて、その本人がどのように変化し、数字がどのように変わっていくのか、その変化を数字で追跡することでより具体的な効果を把握できるのではないかと思いました。ありがとうございました。

    ⑥C/Oと事業貢献の見える化

    司会:
    それでは残り2つの分科会の発表になりました。次の発表は「キャリアオーナーシップと事業貢献の見える化」というテーマです。サッポロビールの直江さん、発表お願いします。

    直江:
    では「キャリアオーナーシップの事業貢献の見える化」について発表させていただきます。第3分科会は、富士通さん、ポーラさん、電通デジタルさん、キリンホールディングスさん、そしてサッポロビールの5社で取り組ませていただきました。発表はサッポロビール人事部の直江がさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

    企業における人的資本経営の重要性は十分に理解されていると思いますが、一方で従業員の個人のキャリアオーナーシップはどの程度事業貢献に結びついているのか、そのことについて、当分科会では改めてこの疑問を真正面から受け止めました。

    このキャリアオーナーシップ度合いと事業貢献度の相関を分析し、繋がりを可視化できれば非常にいいと思っております。この検証で正の相関を導くことができれば、キャリアオーナーシップ推進に対して経営陣を納得させることができて、全社的な推進につながる重要なテーマであると考えます。

    まず最初に、こちらの新規サーベイを使って参加5社で調査を行うことも検討しました。

    ただ各社のキャリアオーナーシップの度合いの状況は各社ごとにかなり違いますので、キャリアオーナーシップ度合いは各社で定義付けをしていき、その中で可能な限り分析する際の共通事項を設定していくことになりました。

    その共通事項が右の表の下にある、成績やエンゲージメント、行動発揮など、9項目になります。各社ごとに検証は行い、共通項目は各社合わせて可能な限り同じ視点で検証ができるように工夫いたしました。

    気になる結果ですが、相関性はありました。キャリアオーナーシップが高い人ほど、パフォーマンスが高い傾向にあることにつながりました。この検証結果について簡単にご説明をいたします。

    まずは、左枠の分析1をご覧ください。こちらの分析は、キャリア状況に関する社内アンケート結果を取って導き出しました。アンケート結果より、キャリアオーナーシップを高い、中位、低いという3つのグループに仕分けをした上で、そのグループごとに事業貢献度を個人の業績評価を使って傾向を分析いたしました。

    結果は、キャリアオーナーシップの高いグループにおける事業貢献度が高い割合は4割ほどになり、中位、低位グループと比べて2倍以上大きく貢献していることが分かりました。

    一方で、右側の分析2をご覧ください。こちらの分析は、社内インターン、社内副業といった自発的なキャリア形成を実践していると考えられる行動を取った人をグループ化してそれ以外のグループと比較いたしました。結果は、「行動評」「やりがい」この2つの側面でそれ以外のグループを上回る結果となりました。

    実際はそれ以外にグルーピングしている中に、自発的なキャリア形成を持つメンバーはもちろんいるとは思いますが、実際に行動を取っているメンバーからそれが言えたということで良かったなと思います。

    それから、このグラフには載っていませんが、別の分析でキャリアオーナーシップ意識が高い層は自己理解および変化の適応力が高く、結果として事業貢献度も高いことも確認できました。

    今回、事業貢献に正の相関性があることがわかりましたが、この検証を進めていく中で、キャリアオーナーシップと事業貢献の関係性を測るポイントとして、対象者の職種や状況を考慮した分析が必要ということがわかりました。

    左枠の分析3をご覧ください。分析を進めていく中で、キャリアオーナーシップと事業貢献の関係性を探る際は、対象者の職種や状況を考慮する必要があることが見えてきます。

    グラフは各職種ごとのキャリアオーナーシップ意識を比較したものですが、営業やマーケティングといった比較的短期で成果が出やすい職種についてはキャリアオーナーシップが高い傾向が見えてきた一方で、研究職といった成果が出るので時間を要する職種に関しては中長期的にキャリアオーナーシップが変化する可能性があると推察できました。

    また、右枠の分析4をご覧ください。正の相関性があった一方、一時的な期間の調査では正の相関性につながらないこともあって、一時的な期間ではキャリアオーナーシップを正しく測れないことも分かりました。

    キャリアオーナーシップを測る際は、自己理解度や行動習慣を含めたパルスサーベイなどの実施や経年的な視点で分析を行う必要があると考えられます。これまでの分析結果を踏まえまして、従業員のキャリアオーナーシップと事業貢献度にはつながりがあるということが見えてきました。

    そこで当分科会は、新たに従業員のキャリアオーナーシップが向上すると個人成績とエンゲージメントが向上し、それにより事業貢献につながるという仮説を提唱したいと思います。

    ただ、現時点では因果関係までは落とし込むことはできておりません。この因果関係をさらに解き明かしていくためには、個人成績と事業貢献度の比較だけではなく、「従業員のキャリアオーナーシップ意識の変化を追いかける」「業務が成果に結びつくまでの間を考慮に入れる」「職種や機能別で分析する」といったさらなる分析が必要であり、第3分科会各社それぞれ今後さらなる分析を続けたいと思っております。

    その次の一手につきましては、5社それぞれ吹き出しに記載しております。各社の状況を踏まえながらも、研究会で得た知見を生かしてキャリアオーナーシップと事業貢献の相関性についてつながりを見つけ出していきたいと思います。以上で、第3分科会の発表を終わります。

    司会:
    直江さん、どうもありがとうございます。示唆深い調査結果も入っていて、非常に歯応えのある報告だと思いました。タナケン先生、コメントをお願いいたします。

    タナケン先生:
    一番の難所にチャレンジされたと思いますね。キャリアオーナーシップ経営はどうやら良さそうだ、ということはみんな気づいているものの、コンソーシアムに参画していない企業の方々も、それがどう事業に貢献するのか、結びつくのかということは経営会議などでいつも言われています。

    ですので、CHRや執行役付の方々、人事のトップの方々が回答しなければならないお題なのです。こちらに関して一定水準の回答を出したということにおいて、大変大きな意味があったと思います。

    興味深いのは、例えばコーポレートと研究開発部門の先ほどのページにもありましたが、キャリアオーナーシップ意識とタイムラグという話ですね。つまり、キャリアオーナーシップと単線的な矢印で事業貢献をつなげるかというと、なかなかすぐに結びつかない。ですので、おそらく2、3年というスパンがいいと思うのですが、その期間でそれぞれの職種ごとで見ていくと、明らかにポジティブな正の相関が見て取れる。

    それも中身でいうと、エンゲージメントと成績向上に結びつくであろう。これがドライビングフォースになって事業貢献に結びついていってるのです。もう少し矢印を伸ばすならば、この事業貢献が要は持続的成長のエンジンになるはずなのです。

    あるいはステークホルダー向けの、例えばIRや株主総会などで上場企業群の皆さんが発表されていく人的資本の情報開示の流れにこのキャリアオーナーシップ経営を引きつけて言うならば、この事業経験が、例えば売上にも結びついているとか事業貢献がというロジックは立ちます。

    さらにこの辺りを大きくしていきたいと思いながらも、まず持っている素材でこれだけクロスで分析をされたことに大きな意義があります。まずそれぞれ現場でまた持ち帰ってさらに検証、精緻化されると思いますが、大きな仮説の立証になったのかな、と思います。

    シンプルに言うと、キャリアオーナーシップは事業に貢献するといえます。キャリアオーナーシップが高ければやはりパフォーマンスが高いと明確に言えるため、もうこれでとりあえず経営層は、十分説得できるかなと思っています。

    私も社外の経営会議に入る機会が多いので、こういったファインディングスを手にしながらダイアログを進めたいな、と思っています。貴重な分析ありがとうございました。

    ⑦C/O推進における人事部門の変革アクション

    司会:
    それでは最後の発表「キャリアオーナーシップ推進における人事部門の変革アクション」です。内閣人事局の山内さん、発表お願いします。

    山内:
    内閣人事局の山内でございます。まず、人事部門が変わらなきゃいけないのかということについて、私はこの話題についてさまざまなところで議論していますので、特に新しい発見があるわけではありません。しかし、この議論に出会う前の自分を振り返ってみると、大きく変化しなければならなかったと感じます。

    例えば、一般的に人事部門には社員から恐れられるようなイメージがあり、自分のキャリアを考えることが許されないという雰囲気があるかもしれません。全ての人がそう思っているわけではないかもしれませんが、人事部門に対してそういったイメージを持ってしまうことがあります。

    自分のキャリアについて考える機会を提供するということは、従来の「考えさせない」姿勢から「自分で考えさせる」姿勢へと、ほぼ180度の大きな転換と言っていいと思います。したがって、もし今回の話から一点だけ覚えて帰るべきポイントがあるとすれば、それは人事部が「ルールに従う」から「自分で考える」へと変わることを促すことであり、これこそが人事部門における変革のアクションであると思います。

    具体的に説明します。検討プロセスとしては、まず第一に、キャリアオーナーシップ推進の施策についてです。去年までさまざまな議論をしてきましたが、根本的な疑問として「この施策はどのような人に、どのようなメカニズムで影響を与えているのだろう?」という点について、さまざまな仮説を立てて検証してみました。

    さらに、この内容について実際に実行している企業を訪問し、ヒアリングを行いました。ただ実行しているかどうかだけでなく、どのような点に気をつけているのか、どのような人々に聞いているのか、反応はどうか、実際に試してみて困ったことや微妙だった点があるのかなど、幅広い視点から情報を集めました。

    その後、収集した成果をもとに、どのような状況でこの施策が効果的なのか、どのような方法と組み合わせるとより良い結果が得られるのか、また、この施策を実施した後に別のアクションを取ることでさらに効果が高まるかもしれないなど、さまざまなアイデアをクリエイティブに考え出すワークショップを実施しました。

    最終的な重要な部分として、業種が異なるように配慮しながら、仮想の企業を作成しました。このプロジェクトでは、人事戦略に関して、施策のセットだけでなく、人事部門がどのような役割を果たし、どのように変化していくべきかという人事部門の変革プランを作成するよう求めました。

    自分の会社や業界に関する先入観が影響するのを防ぐため、意図的に異なる業種のチームを混ぜ合わせ、参加者に自分の業種とは全く異なるタイプの会社について考えてもらうようにしました。これにより、自分の持っている視点や思い込みを超えた新しいアイデアや戦略を考える機会を作りました。

    最初は、業種によって取り組むべきことが大きくばらけると思っていました。そして、その違いが明確になればそれで良いと考えていました。しかし、実際にさまざまな業種を想定してみると、意外なことに、例えば製造業で多くの工場を持つ企業や、コンサルティング会社、また小売業のチェーン店など、どの業種でも大きな違いはないことが分かりました。

    もちろん、会社の分野に応じていくつか調整する必要はありますが、重要なポイントについては、どの業種においても共通していることが分かりました。

    まず、必要なこととしては、メッセージをしっかりと打ち出すことが挙げられます。施策としてさまざまな研修を受けましょうと提案されることがありますが、「これを何のためにやっているのか」という目的が明確でないと、社員にとっては納得感が持てず、「しょうがないからやる」という消極的な姿勢になってしまいます。

    トップから明確にメッセージを打ち出すこと、その施策がそのメッセージと紐づいていることが大事だと思います。つまり、メッセージと施策が紐づいていないと、社員はなぜそれを行う必要があるのか腹落ちできないということです。

    そして、施策の具体的な内容については、部門対部門、または従業員との関係性の中で述べられていますが、何よりも人事部門は社員の味方であると認識される必要があるという点が強調されています。

    従業員に考える機会、希望を述べる機会、そしてそれが叶えられる機会を提供することによって、「じゃあ、考えてみよう」という気持ちになるだろうと思います。確かに、社員が納得感を持てるようにするためには、この程度の取り組みが必要だということが明らかになりました。そのため、人事の役割というのは、表題の通りということになるわけです。

    最後に、皆さんが共通して指摘した点をまとめて、こういう形で実施してみました。ポイントは5つありますが、1と2が特に大事だと思っております。

    1つ目は、キャリアオーナーシップが何を解決するのかについての認識と信念があることです。自分自身が実践していなければ、「やりましょう」と言っても「具体的に何をするのですか?本当に効果があるのですか?」という反応になりがちです。ですから、まずは自分自身がそのことを信じていることが重要だと思います。

    また、社員に納得してもらうためには、広報能力が求められます。これまではルールによって統制していたかもしれませんが、広報を通じて情報を伝え、積極的にフィードバックを受け取りながら、繰り返し情報を発信することが非常に重要だと考えています。

    自分には合わないと感じるようなことを言われると、私たちのことを考えていないな、と感じさせてしまいます。だから、多様なバックグラウンドを持つ人々が考えること、データに基づいて考えることが大切です。そして何よりも、これらの取り組みが会社の将来のために行われているということを、経営陣や従業員に理解してもらう必要があります。

    それによってこの施策は会社の将来のための施策なんだ、ということが分かってもらえると思います。

    力強く多くのことを述べましたが、自社の実情を見てみると、まだ取り組むべきことが多くあると感じています。このギャップを見つけ出し、そこから施策を組み立て実践していくことが、次の課題だと思っています。

    司会:
    山内さん、発表どうもありがとうございました。1と2が特に大事だと、すごく心に響くと思いながら聞いておりました。では、タナケン先生、コメントお願いいたします。

    タナケン先生:
    現在、人事の分野で働くことは非常にやりがいがあります。私たちは、これまでの日本型雇用から新しい形の日本型雇用への大きな歴史的転換期に直面しているのです。

    この転換期における中枢機関は、やはり人事部門です。皆さんの名刺でいうならば「人事部」「人材開発部」「キャリアオーナーシップ支援部」あるいは「管理部」など、人事に関わるすべての方々が、山内さんチームの分科会の7チームから出されたメッセージをどのように受け止め、それに基づいて行動していくかが鍵となります。

    特に印象的だと思ったのが、ルールで統制するのではなくて伝えていく、広報の必要性ですね。だからコラボレートしていかなきゃいけない。

    皆さんが個別にできることに加えて、社内の他のチームと連携し、リソースを共有しながら変化に対応していくことが重要です。すべてが一度に完結するわけではなく、継続的な努力が必要です。また、人事部門自体も変化していく必要がありますし、新しいメンバーも加わってくるでしょう。そのために、人事部門の変革アクションのOJT(On-the-Job Training)をしっかりと伝えていくことが大切です。

    仕組み化やナレッジ化を進めることで、俗人的な状態に戻ることを避けることができます。中途採用者や新たに異動してきた人も、人事部門に入ったらすぐに人的資本経営やキャリアオーナーシップ経営のメソッドや方向性を理解し、自信を持って取り組むことができればいいと思います。

    人事部門は従業員のキャリアに関するモチベーションを高め、その伴走をしていく重要な役割を担っています。

    確かに、人事部門の担当者が社員全員にキャリア形成をサポートすることは、大規模な組織では特に難しい課題です。現在、キャリアコンサルタントの数が6万人から7万人に増加している中で、これらの専門家と連携することは、社内外のリソースを効果的に活用する上で非常に重要です。人事部門がこのリソースの活用方法を適切に決定し、組織内でのキャリアサポート体系を構築することが求められています。

    予算や人材への投資の使い方、リソースの戦略的な設計も含め、これら全てが人事部門の仕事であり、その意味で非常にやりがいがあります。これらの5箇条を肝に銘じて、取り組んでいただきたいと思います。

    このように非常に明確なメッセージが出されていますので、人事の方々が迷ったときには、これらの5箇条に戻って確認し、再び現場へと戻っていくことをお勧めします。

    一人や少人数で取り組もうとしたときに、経営陣や部長から「そんなことはできない」と言われることもあるでしょう。そんな時でも、このメッセージを心に留めて、再び挑戦することを繰り返してもらいたいと思います。どうもありがとうございました。

    司会:
    どうもありがとうございます。ここまでの発表の中で、7つの提言すべての発表が完了いたしました。さらに詳細を知りたい方や、自社のケースについて深く考えたい方もいると思います。そんな方々にはぜひ「はたらく未来白書」をダウンロードしていただき、これからのガイドとして活用していただけると嬉しいです。

    基調講演

    司会:
    それではタナケン先生の基調講演です。

    タナケン先生:
    3期のミッションとして私なりに取り組んできたことは、今日のこの報告会に向けて書籍にするということです。私の役割として毎回のフィードバックがありますが、その他に何をやっていたかというと、結構頑張って2冊を書籍化しております。その辺りをお話ししていきます。

    我々はキャリアオーナーシップで社会を動かしたい。私は研究者でもあるので、キャリア開発の研究者としてこういうことをやってきまして、3月に書籍を出しました。一つの目標がこの活動報告会に間に合わせるということでした。

    今皆さんがご覧になっている右手にある一冊は、このコンソーシアムチームの第一期から参画いただいている富士通のチーム、特に平松さんをはじめとする皆さんが取り組んでいるキャリアオーナーシップに関する活動をまとめたものです。富士通では、人材開発の名称を「キャリアオーナーシップ」に変更するなど、それだけの覚悟と挑戦を続けています。「進化するキャリアオーナーシップ」と題して、その取り組みをまとめた本が出版されています。

    もう一冊は、私が単独で執筆した「実践するキャリアオーナーシップ」という本です。今日ここに来てくださった皆さんなら、内容を理解できると思いますが、人事に関する基礎リテラシーがない方にとっては、「何を言っているのだろう?」と感じるほど、思い切った内容で書いてみました。

    これは中央経済社から出版しており、非常に専門的な内容になっています。専門的な内容とは、通常、個人のキャリアに関する話と組織の変革や経営戦略についての話は違う本になるのです。そのため、書店では別々のコーナーに並べられてしまいます。

    しかし、それが嫌で仕方なくて、キャリアオーナーシップ経営を通じて、個人と組織を繋ぐことを目指しました。そのため、この本では個人と組織を繋ぐ試みを行っており、後半に向かって組織に関する話題へと展開しています。このアプローチがうまくいっているかどうかは、ぜひ皆さん自身で確かめていただければと思います。

    キャリアオーナーシップの未来について、私たちが話したいのは、「伝えていく」ことです。私たちだけが知識を持つのではなく、多くの人にその情報を広め、参加してもらいたいと考えています。そのためにコンソーシアムを立ち上げ、活動報告会を開催することにしました。ゲストを招待する方法では内容を詳しく掘り下げることが難しいため、報告会の形式を取ることにしました。

    さらに「深めていく」ということについてです。分科会で話された通り、各現場で数値化への取り組みを恐れないことです。人事部として、これまでデータが不足していたり、主観的あるいは俗人的だったとしても、経路依存の問題を考慮しつつ、データに基づく議論が可能であり、数字を用いて示すこともできます。経営戦略会議では、人材開発への投資のリターンや、人材に関するROE(投資収益率)のような指標を示すことに挑戦する時期だと考えています。このような取り組みが非常に重要であると思っています。

    例えば、分科会で取り上げられた相互副業に関するデータは、コンソーシアムのページで公開されています。このデータを紐解くと、相互副業を行うとどのような影響があるのか、資産がどう変化するのかが明確になりました。具体的には、相互副業をすることで、資産が左から右へと増加し、減少する項目がないことが分かります。この資産の増加がどれほどの効果をもたらすのかについては、リンダ・グラットンの「ライフシフト」とProtierの知見を基にした資産化シートを作成しました。これは「プロテア」と呼ばれており、キャリア資産を一度に資産化できる概念です。資産化シートでは、内側のオレンジ色が一般的な水準を示し、青色が相互副業をした人の状況を示しています。これにより、相互副業をするとポイントが増加するということが可視化されるわけです。

    例えば、コミュニケーションスキルが向上するというのも、一つの面白い現象です。同じ業務を続けている場合、コミュニケーションスキルは低下することはありませんが、上がりにくい。しかし、新しい出会いや新しいチャレンジを経験することで、コミュニケーションスキルは確実に向上します。パーパス(目的意識)も高まり、ネットワーク指標は若干低下する場合もありますが、コミュニティ感は強まります。そして、全体として平均して5ポイントもの向上が見られるのです。

    これらの成果を可視化することで、組織内でこれから実施するキャリアオーナーシップの施策がどの程度効果を発揮しているのか、また、どの部分に特に効いているのかということを皆さんにお伝えできるのではないかと考えています。

    全体を細かくご紹介することはできませんが、確認の意味でも、キャリアオーナーシップの進化についての取り組みが何であったかを簡潔に述べると、以下のような形になります。

    今日、さまざまなプロジェクトが進行していたので、皆さんの中で整理が進んでいると思います。これまでのキャリアに対する姿勢や取り組み方でいいのかと言ったら、キャリアオーナーシップはそのような姿勢を目指していません。

    キャリアオーナーシップは、今後のキャリアを共に築いていこうという姿勢であり、方向性や特定のアジェンダを持っています。したがって、オーナーシップを実現するために、何を実施していくかを確立していくことが重要です。

    今日のお話でも触れられていたように、キャリアオーナーシップ経営と人的資本経営は車の両輪のように相互補完関係にあります。したがって、人的資本経営の観点からステークホルダーに対して、例えば海外の投資家向けに説明責任を果たす経営層の取り組みと、一度公開した数値は説明責任を果たす必要があるため、次の公開までに向上させていく必要があります。

    女性管理職員比率やキャリア自立度尺度、プロダクティビティやサクセッションプランもそうですけど、やはり公開したデータを向上させていかないといけないのです。

    組織は自動的にその数値を向上させるわけではないので、誰がどのタイミングでそれを向上させていくか、という問題になります。この点において、人事部門の方々がグロースユニットとしてその役割を果たしていくことが、一つの方向性として共有されるべきだと思います。

    したがって、人的資本を最大化するために行うことは、個人や組織が意識すべきことであり、キャリアオーナーシップ経営は、本当に多様なキャリアや持続的なキャリアを支援していくことです。

    例えば、老老介護の問題や若手のワンオペの問題、または時短勤務など、さまざまなキャリアがありますよね。そうしたさまざまなキャリアを応援していくテクノロジカルプラットフォームが登場しています。どこからでも働けるようになり、時短の人がチャンスを奪われない働き方も可能になりました。また、キャリア停滞に陥っている人であっても、何歳であろうと新しいチャレンジをする機会がいつでもあることを示しています。これがキャリアオーナーシップです。

    一言で言うならば、やっぱりせっかく社内にいるのであれば、一人ひとりの可能性を最大限に引き出すことがキャリアオーナーシップにおいて非常に重要だと思います。ちょっと専門的にということで「進化するキャリアオーナーシップ」を書いたのですが、「実践するキャリアオーナーシップ」のほうは皆さんに覚えていただきたいなと思って。

    CO2=二酸化炭素でこれで覚えてもらえると思って、「実践するキャリアオーナーシップ」の副題に「CO20」って入れたのです。けれど、待ったがかかって「20の行動指針」に落ち着いて、20の施策が書いてあります。

    やっていることを要約すると、個人と組織を軸にして4つに分けて、これらは連動しています。さらに、6つのシートに分かれたCO20に関連しており、思考、行動、人事、経営の各フェーズで実践してきた内容が書いてあるのです。

    ただ、これだけではなく、プロジェクトがゼロではなかったことを理解してほしい。実は、ASQで活躍しているパーソナルキャリアのチームが、キャリアオーナーシップの概念をまとめたり、共有したりしてきました。そして、キャリアオーナーシップのC1から5までの段階はすでに知見として共有されていたということです。

    ただ、そのウェブページにたどり着くのがなかなか難しかったかもしれませんね。こちらのページでは、28ページから29ページに中心概念があります。それをCOの中で落とし込んでいって、個人として何をすべきか、行動として何をすべきか、組織として何をすべきか、人事経営として何をすべきかを示しています。後半は少し難しい部分もありますが、時間が許す限り最後まで読んでいただくか、途中で止めてもらってもかまいません。実践する際に、キャリアオーナーシップの全体像が理解できると思います。

    この本と今回の2024の白書、それにこれまで出版されている2つの白書、これらがおそらく4つの神器となるでしょう。4つの資料のそれぞれが、人事部門の活動の虎の巻になればいいなと思います。ただし、これからの未来を築きたいので、働き方をより良くしていきたいと考えています。

    ただ、私たちのコンソーシアムの取り組みはここで終わるつもりはありません。私たちが取り組んでいるのは、伊藤先生たちが行っている人事における経営データを分析することです。例えば、日揮ホールディングス様が行っているような活動を読み込んでいます。

    これらの活動は、私たちのキャリアオーナーシップに近いものです。つまり、短期的なアクション、中期的な戦略、将来の計画を考えています。このようなプログラムは、戦略と人事部門、人材開発部門に分布しています。また、個人と組織があり、制度があることで、取り組みが分布しています。

    私たちの取り組みは、日揮ホールディングス様などの企業の取り組みと同様です。45社程度がリストされています。このURLから参照できますので、皆さんの取り組みやキャリアオーナーシップ経営に関心を持っていただければ幸いです。

    やはり今日からできることはまず我々個人の行動だと思います。一つ言えるのは皆さん自身がキャリア資本をためていくこと。これからもためていきましょう。

    今日来ていただいきいろいろな知見がたまったと思います。皆さんに行動してもらって新しいネットワークを紡いで、アクションしていけば、実は誰が大きなリターンを得るかというと、もちろん経営層もリターンを得るのですが、やはり行動した我々自身が大きなリターンを得るわけですね。

    ですので、実はキャリアオーナーシップ経営をやっていって、当事者化して我々が動くと、おそらくそれをやるまでの皆さんと、やり始めた皆さんというのは全く違うフェーズにいると思います。

    人的資本経営やキャリアオーナーシップ経営は、今後のキャリア形成において重要な役割を果たすと考えています。経団連や経済産業省などの関係者と連携し、キャリアオーナーシップの理念を広める取り組みを行っています。さらに、ベンチャー企業の方々を支援するためのリソースを割り当て、取り組みを推進しています。

    キャリアオーナーシップでこれからのキャリアを一緒に作り出していきましょう。皆さんが個人と組織の関係性を紡ぎ出しながら、終身成長できるよう、これからも取り組んでいきたいと思います。

    今日のこのような機会や活動報告会は、みんなでこれを共有してダイアローグして私や他の方々も含めて、皆さん、例えばX(旧Twitter)で発信もしているので、そういうところでまたお会いしていただけたらと思います。どんどん交流を続けてもらえればいいと思いますし、皆さん同士もそういう風にしてほしい。キャリアオーナーシップで社会を動かしていくという使命を持って、これまでの活動や方針を緩めるのではなく、むしろさらなる成長フェーズに進んでいこうという決意を新たにしています。

    どうもありがとうございました。

    司会:
    熱量のあるプレゼン、ありがとうございました。伝えるということはすごく大事だという話がありましたけど、伝わったなと思います。

    クロージングトーク

    司会:
    ではタナケン先生、本当にこの1年間白書を形にするために皆さんと走ってきたと思いますが、この1年間走ってきての感想や、ここから皆さんが実践されていく中でのエールがあれば、最後にいただけると嬉しいです。

    タナケン先生:
    目指したのは、「はたらく未来アクション2024」の完成と、私個人としては2冊の本を出しましたのでミッションコンプリートなんですけども、やはり現場ではなかなかそれがうまく浸透しない。

    しかし、皆さんがそれぞれ日々取り組まれていることの成果の方がよっぽど大きな社会的インパクトになります。ぜひこの辺りを参考にしていただきながら、現場でそれぞれの皆さんのキャリアオーナーシップ経営をやっていっていただきたい、と思っています。

    やはり3期を振り返ると、38社、それもいろんな企業の方々、あるいは内閣の方々も集まっていただいて、横断的な、まさにこれが越境のコミュニティだったのです。

    部会によっては、パナソニックコネクトさんやパナソニックインダストリーさんなどの工場をみんなで見学しに行ったり、自発的な動きの中で、研究部会内でそういう活動が生まれたり。我々が想定した以上に参画されていた企業の皆さんにコミットしていただいたので、我々が自信を持って皆さんのところにお届けできる成果物が集まりました。参画いただいた方々の取り組みの成果に感謝いたします。

    その企業群を集めると、168万人の社員の方がいらっしゃるのです。ですので、おそらく今日あたりからダウンロードのサイトがパンクすると思いますね。

    私はよく本を書いていて思うのですが、書き手が書いて終わった、満足したでは、何にも変わらない。やはり届けていく、伝えていくことがすごい大事な話なのです。

    今日ご参加いただいた方々は、皆さんの人事部門あるいは経営層、ボードメンバーあるいは支店長や部長、課長級のマネージャーの方々、そして現場の若手や中堅、それぞれの社員の方々に、どうやってこの知見を届けていくのかを練り込んでもらって。それも3ヶ月でお願いしますという話ではなく、3年ぐらいでストーリーを組んでもらってキャリアオーナーシップジャーニーを作ってもらうといいと思います。

    ちょうど年度末になりますので、新年度になって4月から、例えば四半期でどれぐらいのところまで持っていくのか。まずはどういうキャリア知見を増やすのか。アクションをするのか、診断をとって検証していくのか、いろんなアプローチがあると思います。

    やはり点ではなくて、面とか立体的な戦略設計をしていただいて練り込むこと自体がやりがいもありますし、面白いと思います。そして動いている企業の社員の方々を見ていると、やっぱり変わっていきます。だから先ほどの話にあったように解き放たれたというのは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、本当に我々が輝ける、躍動できる本質的な働き方のところまでは私は掴めると思っています。

    それを実現できると思っていて、近い将来、そのエンジンとなるのがキャリアオーナーシップ経営だと思います。こういったコンソーシアムもチームのメンバーがいて、ここまで来れたこと自体が一つの成果で嬉しくは思うのですが、まだどうでしょう?

    得能さんからしてどうですか?富士山に登っているとすると今は何合目でしょう?

    司会:
    そうですね。全体で考えるとまだ2合目ぐらい。

    タナケン先生:
    2合目?ちょっと厳しい。登山口まで来てるぞ、ここから一緒に登っていくぞ、ということで、富士山登山に我々が伴走していくから、富士山と言わず、また高い山々をみんなで登っていければと思っています。

    これにて3期の活動報告会を終わりたいと思います。皆さんご参加ありがとうございました。

    司会:
    はい皆さん、どうもありがとうございました。一人一人のアクションがうねりを生んでいくところを心に思いながら、この研究会を終わります。皆さんお忙しい中ご参加いただきまして本当にどうもありがとうございました。

    タナケン先生:
    また第4期でもお会いしましょう。

    企画編集:伊藤 剛(事務局 広報・啓発 責任者/キャリアオーナーシップ・リビングラボ責任者)
    構成・ライター:伊藤 ナナ(PAX株式会社)、杉本 友美(ライティングファーム紡)
    グラフィックレコーディング:松田 海(株式会社グラフィックレコーディング)

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