クロストーク:キャリアオーナーシップを支援する意義の実証
司会:
ここからはクロストークです。まず、タナケン先生の感想からいただいてもよろしいでしょうか。
タナケン先生:
まず、3つの分科会の活動報告を伺いました。本当に素晴らしい白書にまとめ上げられたなと思いました。途中の段階を知っている我々としては、「一体どうなる?」と当時は思っていましたが、こうしてまとまりました。
各組織で事業フェーズ、会社規模、歴史、組織の特性、全部異なる中で、一つの答えに集約していく。長野さんの話にもありましたが、今の時代の組織の多様性をそのまま反映させる形で、結構複層的な知見が生み出されてきたことが、キャリアオーナーシップ経営では大切なんだなと私自身も感じました。
たとえば「企業文化ってのはこういうものなんだ」と、理念的に設定することも可能かもしれません。けれどそうではなく「企業文化の醸成・適合」のところで言うと、自律した・していないキャリアオーナーシップの調査では、参画した23社における平均勤続年数と、年齢別・入社勤続年数別のマップが導き出されたんですよね。こういう結果は各社の取り組みと、インタビューを通じないと出来上がってきません。そういう意味で、「はたらく未来白書 2023」はリッチな記述がなされているので、見ていただきたいなと思っています。
可視化のところは、先ほどキーノートでも触れましたが、元々の経営スコアをさらにブラッシュアップして調査をやってくださいました。面白いなと思ったのが、既存のデータ、とくにエンゲージメント指標の部分です。「キャリアの自律とエンゲージメント、キャリアオーナーシップと組織のエンゲージメントって一体どういう関係があるの?」という問いに、これまで答えはなかったんです。
定説に導くのならば、「キャリア自律するとエンゲージメントが下がる」、あるいは「キャリア自律を支援していくと、目の前の業務がおろそかになって本業のコミットメントが下がって他社に行ってしまう」みたいなことが言われているんですね。
「本当にその根拠はあるんですか?」という問いを掲げ、手元にあるエンゲージメントスコアと、今回取り組んだキャリアオーナーシップ経営スコアとの相関を見ると、キャリア自律とエンゲージメントでやや強い相関、そしてキャリア自律と中長期経営戦略との強い相関関係が出ました。
つまり、キャリアオーナーシップを支援していったほうが、経営陣にとっても意義があるわけです。大きな前進だと思いますね。今日メディア関係者の方もいらっしゃると思いますので、データから導き出されたキャリアオーナーシップのファクトを認識していただきたいです。我々も、これから組織のストーリーを語っていけたら、もっとキャリア自律を支援してけたらいいのでは。そんな知見をいただけたのではと思います。
「接続」というと、組織と組織の接続から考えてしまいますが、その先にいるのは人なんですよね。つまりキャリアオーナーシップを接続させるジャーニーマップは、人によって隣接していくんだという気づきがあります。そしてこの分科会では、ペルソナごとの解釈と、フェーズごとの行動アクションが、導き出されています。これが「キャリアオーナーシップ経営」を実現する上で、大きなヒントになりますね。
執行役員クラスは、どのように「キャリアオーナーシップ経営」を推進し、繋がっていくべきなのか。人事として取るべき施策は何か。たとえば執行役員クラスがキャリアオーナーシップについて知らない場合もあるし、知っている場合もある。全部、ワンアクションじゃない、ペルソナごとに異なるということです。
今回の「はたらく未来白書 2023」ではいくつかの選択肢の中から、個社のフェーズに合わせて施策を選べる道標になっているので、とても大きな意味があります。経営陣だけでなく、組織長、部長へのアプローチに関しても同じように道筋が書かれていますので、本当にアクションへ繋げていければと思いますね。
クロストーク:キャリアオーナーシップ経営の意義から得た学び
タナケン先生:
渡邊さん、他の2社の分科会のお話を聞いて、何か感想などありますか。
今回、6つの分科会がありましたけれども、それぞれの分科会の活動って繋がっていますよね。断絶してるわけじゃなく、連続性の中での分科会ですから。改めて、渡邊さんから見た、張さんや長野さんの発表について、何かご意見ありますか。
渡邊:
「いろんなものが繋がっているな」と思いました。さまざまな業界が混じり合って、それぞれ違う。バラバラですけれども、根っこのところで実は繋がっている。たとえば人事といっても、これからは経営戦略と人事戦略が繋がっていかなければならないという意味では、どの会社でも問題意識として繋がっている話だと思います。そういう共通項はコンソーシアムで話し合いながら、各企業で違うところは、自社でしっかりと何をすべきか考えていかなければならないと、改めて今回気づきました。
タナケン先生:
企業文化で言うと、一つ認識の転換が起きていると思います。それは何かというと、文化の位置付けです。企業のあり方について通常マトリックスで落とし込むと「文化」と上に書くことが多かったんですよ。ベースに行動があって、人がいて、集合性があって、それが継続してコミュニティができ、組織内行動が生み出されて、初めて文化が生まれる。ところが、「はたらく未来白書 2023」の14ページを見ていただくと、土台に文化があるんですよね。
キャリアオーナーシップ経営は、「文化を醸成」という言葉で表現されたとおり、作っていく、生み出していくという考えがベースにあります。そこから人事部門への着地や、メンバーへの周知、ゲートキーパーへのアクセスという話が出てくる。キャリアオーナーシップ経営とは、「誰もが自らのキャリアを語っていける、企業文化の創造をするという試み」ですよね。文化は変わらないものではないし、組織も生き物だと改めて認識した上で、だからこそキャリアオーナーシップ経営を土台にしながら、作り上げていくジャーニーになるのだなと思いますね。
張さんはいかがですか?
張:
「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」では、各分科会ごとの活動に加えて、その分科会を横断した活動も非常に多かった印象を受けています。実際私も渡邊さん、長野さん、それぞれとコミュニケーションしながら、ヤフーの事例もヒアリングをいただきながら……という形で横断し、いろいろお話をさせていただきました。
実際そこで、渡邊さんや長野さんにいろいろと問いかけをいただいて、何のためにキャリアオーナーシップを私達は推奨していくのか、土壌を作っていくのか、自分の中でも言語化できるようになったところがあります。それはこの分科会における、活動の大きな意義だったと捉えております。
加えて今回、キャリアオーナーシップ経営の定量化を担当し、気づいたことがあります。元々弊社が参画する時点では、各社で共通のサーベイをとり、自社が相対的にキャリアオーナーシップ度合いが高いのか、低いのかを把握することを狙いのひとつとして掲げていました。
ところが実際サーベイの蓋を開けてみて、各社での分析結果を見ると、スコアの傾向や違いから、各社の置かれている経営課題や、取り巻く外部環境の違いによってスコアが全然違うと出ていました。定量化していく過程で、単純にスコアを他社と比較して高い/低いを見ていくよりは、まずこのスコアを自社でどう活用していくのか。他スコアとの関連性をしっかり見ていきながら、自社の施策のドライブや、経営とのコミュニケーションからスタートすることが改めて大事だと気づきました。
各社で同様の調査を行ったからこそ、そしてその結果をお互い共有しあったからこそ得られた学びだったと捉えています。本当に参画をさせていただいく中で、私としても大きく学ばせていただきました。
タナケン先生:
ありがとうございます。人的資本情報開示が始まりますから、張さんがおっしゃったように、各企業の経年分析データがものすごく重要です。キャリアオーナーシップ経営でスタート時点において我々が誤解していたのは、「キャリアとは主観である」という通説でした。
だから、経営陣がKPIで測っているようなトークの中に、人事は入っていけなかったわけです。そこからキャリアを可視化しましょう、あるいは指標化しましょう、数値で捉えることも一旦定量で捉えることも重要ですよ、という話が始まった。
そして先ほどもお話しいただいたように、エンゲージメントスコアや、あるいは他の企業、企業内のスコアリングと対比させることが、本当に大きなスタート地点になりました。継続的にやっていただけるとデータ解釈がキャリア領域でも進みます。旗を振ってリードしてもらえればと思っています。
クロストーク:内閣人事局から見た「官と民」に通じるもの
タナケン先生:
長野さんはどのような印象を持ちましたか。
長野:
今回、内閣人事局という異質な組織が今回このコンソーシアムに参加させていただいて思ったことがあります。第1回目のときにタナケン先生から「民間の話を聞いてどう思いました?」という質問をいただきました。
その時、私は「いや、民も官も同じですね」とお答えしたんです。キャリアオーナーシップという比較的新しい概念を推進するにあたって、これまで人事も経験したことがなく、自分も受けたことがない施策を連鎖的にやらなくではいけない。そこに正解はない。みんな違ってみんないいよ、がキャリアオーナーシップなので。
キャリアオーナーシップを各社どうやって推進していきたいのか、コンソーシアムで悩み、不安を抱いている方が多かったなと思います。ですから「官で悩む私たちと、そんなに変わらないんだな」というのが、まず思ったことです。結局、人にフォーカスする話は民だろうが官だろうが、いつの時代でもそれほど変わらず、アメリカのホーソン実験の頃から同じで。ベーシックな部分は同じです。ただし、企業文化や事業の内容には差があり、個社の考え方について勉強させていただきました。
タナケン先生:
ありがとうございます。我々コンソーシアム一同も、内閣人事局がこれから人的資本の最大化をどうやっていくのか、非常に興味を抱いていると思います。今「民と官に、本質的な違いはない」という言葉から、すごく勇気をもらいました。内閣人事局の取り組みとして、どういうふうにアクションしていくかを継続的に追いかけさせていただければと思っています。
分科会報告④:人事の役割と必要なケイパビリティ
司会:
それでは後半に入ります。1つ目のテーマは「人事の役割と必要なケイパビリティ」と題しまして、KDDIのみなさん、お願いします。
美浦:
KDDIの美浦と申します。私から簡単にこの分科会のサマリーだけお話させていただき、次の方にバトンタッチできればと思っております。
概念的な話ですが、「キャリアオーナーシップ経営を支えていく人事は、戦略人事の先にある」とタイトルに書いてあります。戦略人事を意識される中で、課題感として「能力はあるけど戦略にフィットしない人材が、他社へ出ていってしまう」とか「思った力を発揮できていない人材が出てきてしまう」といった課題があると思っています。
キャリアオーナーシップ経営では、そういった課題をうまく解決していきながら、メンバー一人ひとりが活躍することを目指していく。戦略・変革も含めてやっていく必要がありますがも、まずは従業員にフォーカスして進めないといけないと、まず全体的なお話として記載しています。
次に、人事部門が持つ共通項として、先ほどの考えにのっとったときに、ミッション・組織体制、それを支える人事のケイパビリティを表で対比して見せています。また従来の人事とキャリアオーナーシップ経営人事で、対比をさせています。
こちらのスライドは人事組織の展開イメージです。今回、小田急電鉄さん、日本郵政さん、三菱ケミカルさん、KDDIの4社で話をしましたが、キャリアオーナーシップの推進の度合いや、組織規模の違いがあるので、そこを上手く分解しながら表に落とし込んでみました。
左から右にかけて見ていくと、左は発足期で見る今日のキャリアオーナーシップが進んでいる状態。縦軸が本社人事の社員に対するリーチ度合い。上に行けば行くほど組織サイズが大きくて、社員へリーチしにくいというイメージで見ていただくとよいかと思っています。
まず大きな流れとしては、本社人事がキャリアオーナーシップを体現していく。それが浸透してからHRBP(HRビジネスパートナー)の方々に役割を持っていただき、実際に施策へ落とし込んでいく形で全社に推進する。最終的にスライド一番右の浸透期までたどり着いた方はそんなにいらっしゃらないと思いますが、施策のアクションは全て現場に移行させ、人事はそれをサポートしていく姿に変化していくのではないかと推測しています。
組織規模ごとに役割が変わっていくとお話ししましたが、人事部に必要なケイパビリティで、従来から必要だった人事業務プロセスや労務ルールは必須のままです。さらにキャリアオーナーシップ経営では、マインドセット、スキルセットの部分で大きく変わってくるところを、右側ピンク、白抜きになっているところに記載しています。
管理型から少し社員の能力を信じて調整し、考えさせていく、性善説にのっとったマインド。それに、縦割りや機能別で自分の業務をやっていくところに注力していたものから、キャリアオーナーシップを自ら実現していくマインドセットが必要です。
加えて、スキルセットとしては今まで取り組んでこなかった、従業員が活躍できる施策を企画しなければなりません。従業員の活躍のためには社員と対話し、どんな状況かを話していく必要があります。そういった対話力、理解力も必要になってきます。
そのケイパビリティを高めるためのオンボーディング・キャリアパスも必要です。人事メンバー自身のキャリアオーナーシップも含め、どう実現していくか。今まではオンボーディングのみでやってきたところから、ジョブディスクリプション型で管理職や、今も活躍されている方が、どういうキャリアを歩んできたかを分析していく。
人事もスキルを明確化し、キャリアオーナーシップを支えていく仕組みを作る。上司なり先輩なりが、社員のWILL(意思)に寄り添って、どういう形でキャリアを実現していくのか。そのためにはどういった施策があればいいのか。「キャリアパスの明確化・手挙げの仕組み化・能力開発の仕組み化」この3軸で考えていければと思っております。詳細の部分は「はたらく未来白書 2023」をダウンロードし、ご覧いただければと思っています。
分科会報告⑤:マネジメント層の役割と育成
司会:
どうもありがとうございました。続いて、マネジメント層の役割と育成をテーマに、電通デジタルの小倉さん、お願いしてもよろしいでしょうか?
小倉:
電通デジタルの小倉と申します。結論から申し上げますと「マネジメントの役割は、管理から対話へ」が、我々チームのメインメッセージです。
会社にキャリアオーナーシップ経営を浸透させるためには、その結節点となるマネジメントの役割を明確化し、役割を担っていただくための支援が非常に重要であると考えました。
これまでマネジメント側が行ってきた管理は、人や仕事の管理がメインでした。そこから、マネジメントが従業員の成長を促す存在になる、またその意識の変化と、実行するための対応力が必要不可欠であると考え、スライド1枚目にまとめております。
マネジメントに必要な知識とスキルを、整理いたしました。要素としては下記の3つです。
(1)キャリアについての知識
(2)キャリア支援に関する知識
(3)キャリア支援に必要な対話に関するスキル
(1)キャリアについての知識 (2)キャリア支援に関する知識 に関しては、たとえばキャリアオーナーシップ経営の必要性の理解、内発的動機に繋がるキャリアの重要性など、ぜひ押さえていただきたいものをピックアップしています。
一方、(3)キャリア支援に必要な対話に関するスキル に関しては、傾聴や質問スキルが特に重要だと考えています。多くのマネジメントの方々は、自身がキャリア教育、キャリアカウンセリング、コンサルティングを受けてこなかった世代であることに、難しさがあると思っております。ですから、会話力のスキルアップ支援、これが特に重要です。
弊社も新任管理職向けに約40時間、よく1on1コーチングのトレーニングを入れています。実践の中でマネジメントがスキルアップしていただくことが、非常に重要だと考えています。
4枚目はキャリア1on1の目的や意義をより理解いただくために、「1on1と評価面談の違い」をまとめています。キャリア1on1は部下が主役であり、上司は支援者、この協力関係の立場で実施することが重要です。
部下のポテンシャルを最大限引き出し、中長期視点での対応が重要ですが、どうしてもつい、評価面談のようにやってしまう方も多くいます。そうすると、1on1が逆効果になりかねません。キャリア1on1の時間は部下が自身で考え、気づきを得るための時間なのです。
キャリア1on1のポイントですが、面談の場だけではなく、事前準備とフォローアップも大事だと整理しています。特に大事なのは、この事前準備の中で、普段から部下と上司でキャリアに取り組む意義をお互いに理解しておくことです。また、マネジメントは普段から部下のキャリアコンディションの把握に努めることが大事だと思っています。
キャリア1on1は決して面談の場だけで完結するものではないということが、大切だと思います。キャリア1on1の進め方について、ある程度シナリオがないとイメージがつきづらいかと思い、あくまで参考として載せております。
キャリア1on1のステップは6つありますが、特に「対話スキルを用いて部下の考え気づきを引き出す」、「アクションを明確にする」が特に重要かと思いますので、ぜひ「はたらく未来白書 2023」をダウンロードいただいてご参考になさってください。
最後に、世代別、若手のライフスタイルの変化を迎える世代と、ポストオフ世代のよくある悩みや支援の方向性をまとめています。あくまで一律に関わるのではなく、部下が語る悩みやキャリアストーリーに耳を傾けることが大事と思っていますので、ぜひご参考になさってください。
分科会報告⑥:非連続な環境の設定
司会:
ありがとうございました。それでは「非連続な環境の設定」をテーマに、竹内さんお願いいたします。
竹内:
竹内と申します、よろしくお願いします。我々は「非連続な環境の設定」をテーマに、5社の方々と議論を進めてきました。経営視点・個人視点でいかにキャリアオーナーシップを高められる施策を、何とか提供できるようなことをチャレンジできないか議論してきました。
越境体験にフォーカスして、いろいろな種類のチャレンジの方法があると議論になりました。結論はカジュアルな越境体験と、組織や経営に資する越境体験の2つが必要だろうことです。それぞれ目的に合った越境体験を考えることが、今後必要になってくるのではないかと議論を進めてきました。
その切り口を、7×3種に分類しています。ゆるく進められる越境から、経営の課題に資するようなカチッとした越境体験まで考えられる。このグラデーションを受け入れる側の選択として、7つのグループを作り出しました。これに対して、50以上の施策案を出し、分類したのがこの図になっています。
7×3のプロットで、それぞれどれにどの効果がありそうか、今回実験をし始めようと思っています。スモールサクセス、検証結果を積み重ねて世の中にフィードバックしていくようなチャレンジをやってみたいと思っています。
今やろうとしているのは、ミドルシニア層向けの社外越境メンタリングと、越境キャリア面談を「ゆる施策」でやってみようと考えています。メンタリング、キャリア面談で抱える悩みがそれぞれ個人のキャリアフェーズや経験によって違うことがわかってきています。越境体験を通じて、事前・事後のキャリアオーナーシップ度合いが変わったかまで共有できるよう、今後進めていきたいと思っています。
クロストーク:この1年でコンソーシアムが得た知見
司会:
ではここから、クロストークです。
タナケン先生:
本当に具体的でいろんな成果に繋がるのではないかと思っています。たとえばケイパビリティのところでも、従来の人事と何が違うのか、イメージも描かれていました。
また、「キャリア1on1」っていい言葉ですね。私が自然と使っていたのは「1on1キャリア相談」だったのですが、これからキャリア1on1を使おうと思いました。「管理から対話へ」というテーマも良かったです。そして今回、第2期のアクションとしては一番具体的な「ゆるカチ越境体験」ですね。第1期でも相互副業の話は出ましたが、具体案としてゆるい体験とカチッとした体験をやろうと。今後も継続されていきますので、スモールサクセスと検証を続けていく。
小倉さん、やってみてどうでしたか?
小倉:
忙しいマネジメントへ、いかに優先順位を上げて対応いただくか、経営戦略と合わせた目的の腹落ちがすごく大事だと思いました。
タナケン先生:
「はたらく未来白書 2023」の43ページは、有料級だと思っています。1on1における、声かけの例示まで書いてしまいましたから。これをみなさんがやってくだされば、キャリア1on1のやり方がわからないという声がなくなる。まずはこれをひな形にして、やっていただけるといいのではと思います。美浦さんはどうですか。
美浦:
人事の役割というと、とても幅広くて。今回のテーマについてもどういう風に取り扱うか悩んだ部分もありました。他の分科会のみなさんの議論で、進捗を聞きながら取り組めたというのは非常に大きいと思っています。たとえば1on1、マネジメントへの働きかけ、経営への働きかけを含めて議論できたのは非常に有意義な時間でした。
タナケン先生:
そうですね。結果的に見ても、役割がロールで終わらずに、ケイパビリティに入っていたところが、本当に良かったですよね。ケイパビリティのマインドセット、スキルセットのナレッジも具体例が出ていました。丁寧なヒアリングをされたからこそ、この転換イメージまで出てきたと思うんです。本当に進捗が早かった。
最後に竹内さん、第2期は全体的にいかがでしたか?
竹内:
1年前と比べると、タナケン先生もそうですが、世の中も変わってきていますね。我々人事の役割で期待されることに対して、アウトプットをいかに出せるのかが、自社だけでは難しくなってきている感覚があります。
今回検証するための実験となるような体験を作ろうと思ってやっているんですけれど、私だけでは考えきれなかったところが多くありました。私の中で閉じてやっていても結果はあまり出ず、他社と一緒にさせていただくことで、視座も高く考えられると感じました。このような機会を踏まえて、いろいろ取り組んでいきたいと改めて感じました。
タナケン先生:
振り返ると、第2期は、コクヨさんの素敵なオフィスでリアルで、とはいえ慎重に会食はなしという形でスタートしました。1回はリアルで会ってから、オンラインで1年間取り組んだので、本当にあの機会も貴重でしたね。
司会:
どういう形で「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の成果を生かしていきたいかという話を聞きたいと思っているのですが、どうでしょう。
タナケン先生:
嬉しいピッチですね。小倉さんどうですか。
小倉:
マネジメントの支援をテーマとして扱ってみて、キャリアオーナーシップが成長戦略に繋がっているのかに立ち返りながら、人事からの視点だけではなく、経営、マネジメント、メンバー、人事という視点を行ったり来たりしながらやっていくことが大事だと思っています。
タナケン先生:
今電通グループの中で、電通デジタルさんはキャリアオーナーシップをリードしていますので、ぜひ波及効果まで期待できればと思っています。
長野さんはどうでしょうか。
長野:
6つの分科会で、貴重な内容をいただけたと思っています。ここから自社に落とし込んでいくとき、各企業さんが実際どう泥臭くやられているのかも、参考にさせていただきながら進めていきたいです。今回のご縁を、大事にさせていただきながら進めていきたいなと思っています。
タナケン先生:
ありがとうございます。それぞれの現場に戻りながら、また困ったらこの白書に戻ってもらったらいくつかのヒントがありますからね。試行錯誤を楽しみながらやっていただければと思います。
それでは竹内さん、どうでしょうか?
竹内:
人生100年時代で、生きがい、働きがいの世の中になっていくと思いますが、キャリアオーナーシップは一個の核となる実感があります。あまり会社内に閉じず、世の中や社会に資する人事をどういう形で作っていくのか、みなさんと一緒に引き続き議論したいなと思いました。
タナケン先生:
ありがとうございます。私もキャリアオーナーシップについて、編集会議まで行きながら本を書けていないので、頑張って書きます。
司会:
はい、みなさん頑張っていきましょう。ここまで、ありがとうございました。
第2期活動を終えて
第2期の活動は、さまざまなアウトプットと試行錯誤の経過共有となりました。まず、みなさんの現場で何ができるのか、アクションのヒントとして、今回の白書や報告会の内容を参考にしていただければと思っています。
この活動は、第3期へと続いていきます。おそらくさらに拡大し、参画企業も増えていくのではないかと思っています。今後の「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の活動にご期待ください。引き続き応援の程、よろしくお願いいたします。
企画編集:伊藤 剛(事務局 広報・啓発 責任者/キャリアオーナーシップ・リビングラボ責任者)
構成・ライター:伊藤 ナナ(PAX株式会社)、杉本 友美(ライティングファーム紡)
グラフィックレコーディング:松田 海(株式会社グラフィックレコーディング)