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キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第2期)

第1回 参画企業20社が語り合う『人材は「足りない」から「活かす」時代へ』

2022.08.23

研究会

2022年7月19日、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム 第2期」の第1回 研究会が開催されました。第2期は新たに12社以上が参加。第1期から継続参加する8社と合わせて、20社以上が集まりました。
 
記念すべき2期・第1回目(キックオフ)の研究会は、第1期から継続参加しているコクヨ株式会社が運営する「働く・暮らす」の実験場「THE CAMPUS」で開催。オンライン・オフラインのハイブリッドで実施しました。
 
事務局挨拶のち、本コンソーシアム顧問である法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔先生から、”人材不足は「足りない」から人材活用「活かす」を考える時代になりました”と「なぜいま、キャリアコンソーシアムが必要なのか」を再定義するキーノートが行われました。その後、企業数社ごとにワーキンググループを作り、第2期で議論したい自社の課題について話し合いました。
 
なお、第2期 研究会はテーマごとにグループを作って議論する分科会方式を採用しており、第1回、第2回の研究会で2022年度に議論するテーマを複数決定する予定です。
 
こちらの記事では、第1回 研究会でどんな話が繰り広げられたのか、今回は田中先生のキーノートの内容を中心にご紹介します。

INDEX

    田中研之輔先生が語る「キャリアオーナーシップ経営の目指す姿」

    昨年、はたらく未来白書2022を出せたことは、非常に大きな成果であると考えています。それを踏まえて、今回のキャリアコンソーシアムの目的は、3つあります。

    • 企業のキャリア課題を解決するまで、アクションし続ける
    • 企業をこえて、つながるコンソーシアムから、社会発信
    • 企業の生産性・競争力向上にフルコミット

    この3つを叶えることで、仕事と学びの好循環を作りたい……例えるなら「Society 5.0 for SDGs」として、新しい時代に対応する働き方、雇用制度を考えていきたいと考えています。コロナが、組織内キャリアから自律型キャリアへ転換していく、パンドラの箱を開けたのです。

    特に第二期においては、以下の分野について踏み込んで対話を進めていければと思います。

    • 投資対効果の把握
    • 人材ポートフォリオの定義
    • 必要な人材の要件定義
    • 適時適量な配置・獲得
    • 投資家との対話
    • 取締役会の役割の明確化
    • 経営人材育成の監督

    社員もキャリア自律への関心はあります。ただし、自律とは誤解されやすい言葉でもあります。「キャリア自律」とは本人のやりたいこと「だけ」をやるわけではありません。
    社員の自律は重視するけれども、会社主導であるキャリア。そういった個人のキャリア自律を支援していく、そのために外部との連携による育成が望ましいと考えています。

    では、業界的にはどこでキャリア自律が強まっているでしょうか。情報通信業では、現在キャリア自律が強まっていることがわかっています。部門別に見ると、総務、人事、広告宣伝、研究開発、情報システム、営業、社長室、経営企画、経営者・役員に大きな成果が出ています。

    さらに別のデータを見ると、生産性、活力、変身資産の3点において「複業・副業実施」を行ったグループには大きな成果が出ています。

    これらのデータはアカデミックなものですが、皆様と「現場は何に困っていて、何をしなくてはならないか」を明らかにし、キャリアコンソーシアムを通じて支援していきたいと考えています。アカデミックなデータを背景としつつ、企業とコラボレーションを形成できればと思っています。

    また、キャリアオーナーシップ経営においては

    • 人的資源から人的資本への転換
    • 人的資本の最大化:総合的かつ戦略的なキャリア開発
    • 人的資本の情報開示:ISO(30414)11項目の検討

    を指針としてこれからのキャリア形成について話を深めていきたいと考えています。

    令和の時代は「個人の関係を紡ぎ直す」ことがキーワードになります。
    2つのX=DX(Digital Transformation)とCX(Career Transformation)が柱となっていくことでしょう。HRM(人的資源管理)から、HCM(人的資本管理)へ変えていくことが大切です。

    続いて、2025年問題についてお話していきましょう。2025年には、団塊世代の800万人が75歳になります。激化する人材不足を踏まえ、「足りない」人材から「活かす」人材を考える時代になりました。そのために経営戦略とキャリア戦略を結びつけていく必要があります。

    そのためにも、人事部門がエースたる、グロースユニットになり、経営層に近いところで自律型キャリアへのCXを進めていきましょう。

    さて、キャリア開発をしていく上で、課題は6つ挙げられます。

    • 経営者の関心・理解が低い
    • 人員・スキルの不足
    • 社内の理解・関心が低い
    • 時間・コストの問題
    • 組織風土の問題
    • その他(支援後の離職等)

    みなさんの企業では、これらの課題は少ないものと思います。ですが、私が伺う企業ではこの課題を抱えている方が多くいらっしゃいます。

    参加企業によるキャリア支援の具体的施策はいくつも実施されていますが、今一度「形式的になっていないか」「変化がなくても『やった』ことに満足していないか」を見つめ直して、効果が出るようにやり抜くことが大切です。

    さらに、社員1人ひとりに、キャリアオーナーシップを伝えていくことも必要です。一期は「こんな課題感がある」とクリアにしていきました。コンソーシアム二期では「どんな課題があるか」しっかり出してもらい、アクションへつなげていきたいです。1on1でのキャリアミーティングやワークシートを活用しながら、キャリアを考えていただければと思います。

    こうして、「組織型キャリア」から「自律型キャリア」へ、社内を変えていきましょう。
    私も現場の方々に寄り添って、コンソーシアムを通じて企業の未来を作っていきたいと思っています。

    第二期コンソーシアムの研究会について

    第2期では、人的資本開示を見据え、キャリアオーナーシップ人材や自社のキャリアオーナーシップ人材を育む環境を可視化する試みやキャリアオーナーシップ人材を増やし、事業の成長へ繋げていくための課題や施策単位で議論する複数の分科会に各企業が分かれて議論していきます。

    そこで第1回研究会では、事前に提出してもらった各社の課題感や議論したいテーマから、似た課題感を持った企業同士で5つのワーキンググループを作り、分科会で取り扱いたいテーマについて議論しました。

    第2回までに何度か各ワーキングループで議論を行い、2022年度に議論したい分科会テーマを決定。その後、各社が参加したい分科会に所属し、活発な議論を進めていきます。そして、2023年3月には、第2期の研究会成果を報告する公開イベントを実施、合わせて第2期の活動報告書「はたらく未来白書2023」を発行する予定です。

    キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアムでは、日本を代表するチームとして、キャリアオーナーシップを経営に反映していくため、参画企業の課題にとどまらない議論をしていければと思っています。これから1年弱、よろしくお願い致します。

    企画編集:伊藤 剛(事務局/キャリアオーナーシップ・リビングラボ責任者)
    構成・ライター:伊藤ナナ(PAX株式会社)、田中夏奈
    グラフィックレコーディング:松田 海(株式会社グラフィックレコーディング)

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