キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第1期)
第12回 最終回:参画企業によるオンライン・オープンセッション 2022年3月15日、「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」の第12回 研究会が開催。第12回 研究会では、オンライン・オープンセッションとして、参画企業8社によるそれぞれの取り組みの紹介やディスカッション、来期のコンソーシアムに向けての振り返りを実施しました。 本記事では、当日行われたキーノートの抜粋と、各社の発表内容のグラフィックレコーディングによるまとめ、そして発表内容の一部をご紹介します。
コンソーシアム顧問/研究会ファシリテーターの田中研之輔教授によるキーノート 各社の発表に先立って、オープンセッションでは田中研之輔教授によるキーノートが行われました。当日の資料をぜひご覧ください。
参画社の取り組みの発表 第1部(パーソルキャリア、キリン、三井情報、LIFULL) ■パーソルキャリア
【見える施策】
年1回のエンゲージメントサーベイを実施しています。サーベイは、仕事へのエンゲージメントや組織へのエンゲージメントを測る設問を50問用意しています。
この結果をふまえてモニタリングしていくことが非常に重要だと考えています。整理した上で経営に持ち込み、ここからアクションを策定し、実行しているという流れになります。社内でサーベイ結果を分析したところ、キャリアオーナーシップとエンゲージメントには相関関係があるということも見えてきました。
この結果は、社長が年に1回、社内に展開しており、去年取り組んだテーマは伸びたのか変わらなかったのか、それをふまえて今期はどのようなことに注力するのかをトップが発信するという体制にしています。
自社内においてどのような成果指標でキャリアオーナーシップを測っていくかが課題です。これを明確にすることで社外への発信に繋がり、自信を持って活動を継続できる根拠にもなるので、チャレンジしていきたいところだと考えています。
【増やす施策】
年に1回、キャリア面談を実施しています。面談の結果も踏まえながら、様々な研修や、本人の能力開発の機会提供などを行っています。
【つなぐ施策】
半年に1回、個人を起点にした人材育成会議を行っています。能力開発計画を立てたり、本人のキャリア意向を捉えたりしながら、中長期的にどのようなことができるのかを自部門に閉じず話す取り組みです。
異動の際に、どうしてもポジション起点での異動になってしまうという課題があります。どう個人起点や組織起点を統合していくのかというのが今後大きなテーマになっていくと考えています。
■キリンホールディングス
【見える施策】
上司と社員とのキャリアコミュニケーションの強化をしています。特に昨年からは、さらにこの仕組みをブラッシュアップして取り組んでいます。
これまでは単にキャリア志向や異動先の確認に留まっていたものをもう一歩踏み込み、メンバーとリーダーの対話に軸足を置き、本人のwillを元に、将来像からバックキャストで現在の仕事やスキルの状況を捉え、その状況やGAPを見える化しようとしています。
この取り組みが、本人の現在の仕事へのコミットを高め、キャリア実現を推し進める効果を期待しており、一方でリーダー側も成長支援のコミットを高めるという効果も期待しています。
【増やす施策】
「手挙げ」の機会の増加に取り組んでいます。「各種人事施策は、原則手挙げによる参加であるべき」という発想で、機会は自ら取りに行く姿勢を徹底したいと考えています。手挙げのカルチャー形成からキャリアオーナーシップが高い人材が生まれてくると信じて、施策を進めています。
【つなぐ施策】
キリンの研究開発の中で生まれる技術のシーズを事業サイドのニーズと結び付けるという施策を行っています。関係部門の多くの社員が参画し、ここから生まれた事業も出てきています。
この取り組みは、「一個人の仕事」と「事業」、あるいは「本人のキャリア志向」と「未来の機会」のマッチングになっており、人事視点から見てもこれは非常に良い機会になっていると考え、今回、一例として挙げさせていただきました。
■三井情報
【見える施策・つなぐ施策】
私たちの会社では、2018年から2019年にかけて、グループ全体での人事制度の改定を先行して行っており、この流れの中で人材基本方針を策定しています。 どのような会社になっていきたいか、活躍する人材はこういう姿だということを可視化・明文化することで、これを起点に各種施策や評価指標を作成することができました。
これと並行して、会社のあり姿、自分達はどういう価値観を持っていたいかという風土を考える全社ワークショップを行い、グループ全体の共通言語づくりと、グループ会社毎に最適化した運用を実現することができました。
2020年からはエンゲージメントサーベイを導入しています。出てきた数値を各組織に持ち帰って職場内で意見交換を行い、グッドプラクティス(エンゲージメントを向上させるためのより良い組織内の取り組み事例)を全社で共有し、より良い風土づくりに取り組んでいます。
【増やす施策】
MKIキャリアフォーラムという施策を実施しています。キャリアとどういう風に向き合っていけばいいのかわからないという個人や組織の変化のきっかけになるように、手挙げで参加できる、外部の刺激が得られる機会として活用しています。 これが上手く化学反応を起こしており、自ら行動を起こす社員や、それを見て行動してみようと思う社員が、少しずつ増えてきているというのが現状になります。 今後のチャレンジとしては、多様な人材が活躍し、変化を起こす会社にしていきたいという想いがある一方で、より多くの社員がストレスなく各種施策に参加するためには、もっと様々な仕掛けが必要だと考えており、手挙げを軸に促進できないか議論を進めています。
■LIFULL
【見える施策】
「キャリアデザインシート」を通じて、自分のキャリアを棚卸しして、上司と共有する機会を半年に1度設けています。長期的な自分のキャリアビジョンを起点に、今の業務がどう繋がっているのかを本人が理解するためにも重要ですし、将来何に挑戦したいかということを上司に理解してもらう機会としても大事だと考えています。
【増やす施策】
「Switch」という新規事業の提案制度があります。こちらは新入社員や内定者も「こんなビジネスをやってみたい」と新規事業を提案できる制度になっており、小さいアイデアから提案可能な敷居の低い制度になっています。プロセスを通じて社員が世の中のニーズや提案について学ぶ機会としても機能しています。
アイデアは出るものの、どのように形にして実現していくか、スケールアウトしていくかというところが課題です。本人の力も必要ですが、会社全体としてもそれをどう支援していけるかを模索している状況です。
【つなぐ施策】
「キャリフル」という社内での兼業制度を進めています。業務時間を使って、自分の所属以外の業務を手伝ったり、挑戦できたりする制度になっています。
これを行って良かったのが、社内での異動を希望する前に他の業務を見たり経験したりしたいというニーズに応えることができていることです。並行して様々な経験を積むことで自分のキャリアを磨く支援にもなっています。
ただ、メンバーがキャリアをしっかり描くことができれば、チャンスを社内でどんどん見つけることができるのですが、なかなか描けなかったり、行き詰ってしまったりする時に、どう上司が支援できるかという課題があります。この辺りは、支援側になるマネジメントの育成が課題だと考えています。
第1部の4社が現在抱える課題感・来期のコンソーシアムで取り組みたいテーマの深掘り キャリアオーナーシップを推進することで出てくる課題にはどのようなものがありますか?
パーソルキャリア: ジョブポスティングを行っている企業は増えていますが、枠が決まっているので全ての社員の希望が叶うわけではありません。キャリアデザイン面談を行ってやりたいことを引き出しても、それが今機会提供できないことだと、マネジメント側も要望を叶えることができないということが起こりえます。そこにどう人事や経営が支援できるのかというのが、これからの大きな課題になると考えています。
LIFULL: 週に1度の1on1を行っているのですが、その中身の話の質を高めていく必要があると考えています。目の前の仕事の進捗などの話だけでなく、長期的なキャリアについて相談に乗れるマネージャーになれるかについては、力量に差があると認識しています。マネジメント側の育成を人事側としてどう取り組んでいくかが次の課題だと感じています。
ビジョンやミッションの浸透において、中途採用した人がフィットしていくうえで工夫していることはありますか?
LIFULL: 弊社は中途入社する人が比較的多めですが、世の中のキャリアについての考え方は近年さらに多様になってきています。多様な価値観を持つ人達に、LIFULLの中でどのようにキャリアを実現してもらうか、今の業務とどう紐づけてキャリアアップしていってもらうかが大事です。例えば、未来人材会議という施策を実施していますが、これまでのキャリアをふまえて次の挑戦をどう促すのが良いかを、各部門のマネージャーと一緒にディスカッションする機会を設けることで、より良いキャリアを提供できるように一緒に取り組んでいるのが現在の状況になります。
会社と個人とでキャリアオーナーシップの役割分担を考えた時、個人の役割や責任、会社あるいは人事側の役割や責任の分け方について、どのような課題感を感じていますか?
キリン: ますます個人と会社の関係性が対等になる時代の変化がある中で、キャリアオーナーシップを高める、自律した人材を増やすという視点で取り組みを行っていますが、実現しようとすると、そもそもキャリアオーナーシップを持っている人材に魅力的な会社だと思って頂く必要があります。会社に来てもらい、長くいていただくために会社が何をするべきかを常に考え、人事の仕事のあり方もどんどん変えていかなければいけないと日頃から考えています。
このコンソーシアムのように、外部と連携しながら社内を変える取り組みを推進する効果と、今後コンソーシアムで取り組みたいことについて教えて下さい。
三井情報: これからキャリアオーナーシップに取り組む企業は増える中でやり方は整備されていくと思いますが、それでもまだどこから始めれば良いのかわからないというケースは多いと思います。スムーズに導入していくためにも、このような新しい施策は他社と連携しながら進めていく必要があると感じています。 社内でも、社員一人一人やグループ会社それぞれに温度差は発生します。今後は、この温度差を乗り越えながら、いかに一つの方向性に整えていけるかについて議論できればと考えています。
個人で見た場合でも、組織やグループ会社間で見た場合でも、それぞれにや感度差、時間差があり、これが入り混じっている状態の中でどうやったら1つの方向性に整えていけるのかを研究していけると良いなと考えています。
参画社の取り組みの発表 第2部(KDDI、富士通、コクヨ、ヤフー) ■KDDI
【見える施策】
弊社は通信サービスを提供していますが、国内市場の縮小が見えているというビジネス環境の中で、ライフデザイン領域という新しい事業に取り組んでいます。そのような新しい事業を支える組織や人材の多様性が経営課題となっています。 キャリアオーナーシップを推進する目的は、社員の自律的なキャリア形成を支援することで新しいスキルの獲得や成長の加速を促し、多様な人材が関わることでイノベーションを創出に繋げることでワークエンゲージメントの高い魅力的な会社を目指すことです。
見える化の施策としては「人財レビュー」があります。ジョブディスクリプションをベースに、成果と挑戦、能力といった軸で評価制度を新たに構築したものです。個人の今の立ち位置を可視化し、これまでの上司からの一方的な評価ではなく360度評価をできるようにしたものになります。
【つなぐ施策】
「組織プロファイル」という施策を推進しています。これは、組織がどういった方向を目指しているのか、課題、どのような人材が活躍しているのか、などを明示して外部からその組織を目指しやすくするものです。
キャリアやスキルの可視化の推進や、組織プロファイルによる組織の方向性の言語化を実施する一方で「人財ポートフォリオ」という施策を一部部署でトライアル実施し、組織のニーズと個人の思いを繋げる取り組みを行っています。
今後は、事業単位や部門単位であるべき姿を描き、そこに近づくためのアクション策定を進めていきたいと考えています。また、各人事戦略のKPIを策定し、それをデータドリブンで検証し、効果的な人財ポートフォリオマネジメントとエンゲージメントの向上の実現を目指していきます。
来年度は、先行部門からこの取り組みを開始し、全組織に展開していきます。 また、データドリブンに進めていくために、HRテックの活用も進めていきます。 育成の面では、DXなど各専門領域の育成について数値目標を持って実施していこうと考えています。
■富士通
【増やす施策】
昨年、FUJITSU Career Ownership Programというキャリアオーナーシップに絞った支援プログラムを展開しました。その中で、これまで行っていたキャリア教育を大きく変更し、これまでのシニア層中心の2日間の研修ではなく、世代ごとに集まって従来の4分の1の半日で行う、対話中心のキャリアCafeに変更しました。無理やりやらされるのではなく、オーナーシップへの気づきや自分のキャリアを考えるきっかけになるように、設計しています。
また「パーパスカーヴィング」という、各個人のパーパスを言語化するためのプログラムを実施しています。個人として社会の中で何を実現したいのか、自分がどんな価値を生み出したいかといったことを、社長をはじめとした全社員を対象に、2時間×2回のプログラムで実施しています。このプログラムを通じて自分を振り返り、本当にやりたいことを見出し、行動に繋げるという取り組みを行っています。
【つなぐ施策】
「ポスティング」施策を強化しています、元々社内募集の制度はありましたが、昨年から導入しているジョブ型人事制度に合わせて、自分のキャリアは自分で選び作っていけるように、大幅に枠を増やし、空いていれば全てのポストに応募できるようにしています。
本部長のポジションの募集もあり、社内では驚きと共に進められていましたが、だいぶ施策として定着してきたと思っております。
これ以外にも、社内インターンや社内副業を今年の冬から開始しています。社員の選択肢を増やす機会を作り、社員も会社も成長していけるような施策に結び付けていきたいと考えています。
各施策を実行する中で課題となってくるのがマネジメントです。現在は評価制度を変えている真っ最中で、上司とのコミュニケーションが、キャリアを考えるきっかけになるような制度にしていきたいということで、新しい職場マネジメントに向けての研修などを実施しているところになります。
■コクヨ
【つなぐ施策】
昨年、2030年長期ビジョンとそれに基づく第3次中期経営計画を発表しました。今の百十数年続いている企業の形態から、多様な事業の集合体へと変化することを目指しています。実現のためには、人を成長させるだけではなく、事業を成長させられる組織・人材づくりにチャレンジする必要があると考えています。
今進めているのが「仕事と人材の可視化」です。人事制度改定も含めて、自己成長の自律化を2017年頃から進めていますが、人に仕事をつけるのではなく、ポジションに人をつけるという考え方を徹底しています。そうすることで、仕事を明確にする力がコクヨの中で培われていっていると考えています。
【増やす施策】
キャリアオーナーシップ人材を増やす施策として「コクヨマーケティング大学」という取り組みを始めています。これは、2017年から若手社員に向けて、手挙げ制で希望者を募り、8か月間のプログラムを通じて顧客起点で未充足ニーズを捉えるマーケティングスキルを高めるためのプログラムです。 ここで自律的に成長して能力を伸ばしていくと、キャリアも自律的に考えて、新たなチャレンジをしたいという人材が増えてきているという実感があります。一方で、このような人材に対してどう機会を提供して仕事とマッチングさせていくかを課題に感じています。
また、2020年より「社内複業“20%チャレンジ”」という就業時間の20%を他部署の仕事に振り向けられる施策を始めています。各部門が公募をして、人事がマッチングするのですが、各部門には仕事をいかにわかりやすく課題ベースで提示ができるか、そして社員には、どうしてそこに取り組みたいか、それを解決することでどう成長したいのかをそれぞれ問いかけて、組織側も社員側も自身について考える機会になるように工夫しています。
ここに手をあげるのは若手が多いと予想していたのですが、やってみると中堅やシニアに近い社員も多く応募してくれました。そういった成長意欲が高い人材がコクヨの中にいるということに気づくことができたのが収穫でしたし、そういった人達を継続的に支援していきたいと考えています。
■ヤフー
【見える施策】
2012年から「人財開発カルテ」という施策を行っています。これまでのキャリアの棚卸し、自分の強みや課題、今後チャレンジしたいことなどを記入し、自分の今後のキャリアについて考える機会にすることで、キャリアオーナーシップで一番大切な自己理解を深めることに繋げています。
【増やす施策】
人財開発カルテを元に上司と1on1を定期的に行っています。上長と部下でキャリアについてしっかりと会話をすることで、カルテを書くだけでは気づかなかったたくさんの要素に会話の中で気づき、本人が考えるきっかけにするための取り組みになっています。
【つなぐ施策】
ヤフーは、ホールディングス化をして以降「AIテックカンパニー」を目指しています。ホールディングス全体として、優秀な人材に選んでもらえる会社になるのが経営上の直近の課題となっており、会社全体としてキャリアオーナーシップを実現できる場所になることが非常に重要なことだと考えて、様々な取り組みを行っています。
人財開発会議は、対象社員の関係者で集まって、これまで話してきた人財開発カルテの内容をベースに、今後その人が会社においてどんな経験をしてもらうと本人の成長と会社の成長を両方実現できるのかを議論する場になっています。
参加者は役員からメンバーまで幅広く、議論した内容をしっかりと本人にもフィードバックすることで、本人のキャリアの考え方が広がることに繋げ、会社の事業の成長と本人の成長を繋ぐという役割を持って運営されています。
第2部の4社が現在抱える課題感・来期のコンソーシアムで取り組みたいテーマの深掘り 従業員のキャリアオーナーシップを高めるために、なぜ個社に閉じない仕組みの検討をする必要があるのでしょうか。
ヤフー: 社員のキャリアオーナーシップを高めると、離職するのではないか、という懸念が多くの方から聞かれます。この事実が証明する通り、一個人として色々なキャリアを描いたとしても、機会が一個社に閉じてしまうとどうしても限定的にならざるを得ないと考えています。
会社として支援する枠組みを整えるのはもちろん大事ですが、自社だけに閉じた取り組みではどうしても限界はくると思っています。そのため、弊社でも進めている副業の取り組みと接続して、会員企業さんの社員の方を受け入れたり、逆に弊社の社員の方を受け入れてもらう実証実験を行っています。ホールディングス全体で考えて機会を創出するのももちろん大事ですが、個社に閉じない仕組みというのをもっと日本の企業全体で並行して考えられると良いのかなと考えています。
キャリアオーナーシップ施策の効果をどうとらえていますか。また効果を測る上で課題になっていることはありますか。
KDDI: 社内副業制度を始めて丸2年経ちましたが、徐々に参加する人も増えてきており、参加することで新しいスキルを身につけたり、部署間のコラボレーションが起きたりしたという話がでてきています。また、副業で関わった仕事に組織ごと異動し、次のキャリアに進むことができたという事例も出てきています。 ただ、やはり効果としてはまだ全社で見ると一部にとどまっており、いかに全社員まで施策を広げていけるかは、課題だと認識しています。
ヤフー: 前提として、人事の施策はKPIを測りにくく、本当に効いたのかがわかりにくいという背景があります。 これまでの管理型だったらそれで良かったのかもしれないのですが、人的資本を最大化していきたい現状で言うと、経営としては、事業のモニタリングと同様に、人材のモニタリングも必要になってきます。そうなると数字の必要性も増してくるので、うまく可視化できないかと考えているところです。
富士通: キャリアオーナーシップを持っている人が会社にとってプラスなのかという話はどうしても出てきます。そのため、キャリア自律している人材は、仕事の成果も上げられるという実績がないと、なかなか納得する人は増えないと考えています。
成果が上がると、会社の中で貢献して成長するキャリアオーナーシップ人材の姿が、周りにも影響を与えるでしょう。単に個人が成長するだけではなく、周囲にどう影響を与えているかという点も追っていくことが大事ですし、そして周囲への影響が発揮できる状態をいかに強化していけるかが今後の課題だと考えています。
社外の方を巻き込んでいくために、注意していることを教えてください。
コクヨ: 社外の人の受け入れは、社内の取り組みと全く別のものだと考えています。社外で兼業・副業をしたときは、それを知見として社内に持って帰ってきてもらって、その知見を実践いただくことで社内の人材が多様化するというスパイラルだと考えています。
そのスパイラルをどううまく回していくか、仕組み化して実績を積み上げていくかは、まだこれからの議論になりますが、まずはこの「社外からの知見を受け取る」という実験を続けていくのが大事だと考えています。
コンソーシアム 第2期に向けて 第2期は、7月に研究会の開始を予定しています。詳しくはコンソーシアムのホームページをご確認ください。また、4月にはキャリアオーナーシップ経営診断のベータ版もローンチ予定です。こちらも合わせてご確認ください。
構成:河原あずさ・西舘聖哉(Potage) グラフィックレコーディング:くぼみ 企画:伊藤剛(キャリアオーナーシップ リビングラボ)