タナケン教授の
キャリアオーナーシップ経営論⑤

キャリアオーナーシップ経営AWARD2023を終えて

2023.06.19

寄稿

2023年5月8日、キャリアオーナーシップ経営AWARD2023の表彰式が開催されました。社員一人ひとりの可能性を信じ、個人と組織の新たな関係性を構築し、持続的な成長に向けてキャリアオーナーシップ経営に取り組む企業が一堂に会することになりました。

厳正なる審査の結果、優秀賞、各部門の最優秀賞、そして栄えあるグランプリを受賞された企業関係者の皆様、おめでとうございます!

※受賞企業一覧は、こちらをご覧ください。

各企業でキャリアオーナーシップ経営に携わる方々の受賞コメントを聞きながら、あらためて感じたこと、そして、みなさんと共有していきたいことが明確になりました。

1)胎動―キャリアオーナーシップ経営が、「企業」を動かしつつある

受賞された企業いずれも、業界・業種を問わず、組織内キャリア型からキャリアオーナーシップ型への働き方の転換に取り組まれています。たとえば、グランプリを受賞したSOMPOホールディングス株式会社は、経営戦略や人材戦略の土台に、社員一人ひとりの「MYパーパス」を位置付け、社員のMYパーパスとSOMPOのパーパスと重ねあわせるために、ソフト(意識改革)・ハード(制度・仕組み)の両面からのキャリア開発支援に取り組まれています。

その取り組みがこれまでの日本型雇用への歴史的な挑戦であるのかは、次の資料で確認することができます。

働くことに対するパラダイムシフト
SOMPOホールディングス株式会社 
グランプリプレゼン投影資料より

ここで伝えられているのは、「会社の中の自分の人生」から「自分の人生の中の会社」へと社員一人ひとりの意識を変革させていくこということです。まさに、認識を変える、パラダイムのシフトなのだと。

タウンホールミーティングの場でグループCEOから次のような言葉が伝えられたとのことです。

まず大事なのは皆さん自身の人生のパーパスです。会社のトップである自分が言うのもなんだが、「たかが会社」なんです。会社は皆さん自身のパーパスを実現するための舞台、道具に過ぎないんだ。ぜひ使い倒して欲しい。

このメッセージに集約されるように、私たちはキャリアオーナーシップ経営をきっかけに、これまでの働き方への認識を抜本的に変えていくべきモーメントに直面しているのです。

主体的なキャリア形成に関する最新知見であるプロティアン・キャリア論においても、キャリアのオーナーになるためのシフトが重要なポイントです。

これまでのキャリアとプロティアン・キャリア

一人ひとりが自らのパーパスに向きあい、それぞれの人的資本を最大化させていくフィールドが企業なのです。企業が個人を管理するのではなく、個人の成長をプロデュースしていく時代の幕あけなのです。

受賞された企業の皆様は、キャリアオーナーシップ経営の重要性に気がつき、すでに具体的なアクションへと踏み出された方々です。

審査委員長である伊藤邦雄先生が「SOMPOホールディングス株式会社は、ルビコン川を渡った企業である」と評したことは、従来型の日本型経営から、キャリアオーナーシップ経営へと舵を振りきった覚悟とこれまでの持続的な取り組みへの最大級の賛辞でもあったのです。

2)挑戦―キャリアオーナーシップ経営が、いかに「社会」を動かしていくのか。

私たちの歩みをとめるわけにはいきません。今回、受賞された企業の皆様は、社員一人ひとりの可能性に向き合い、個人と組織の新たな関係を生み出していくチーム・プロデュサーでもあります。表彰式が閉会した際、企業をこえた対話が自然と生まれていました。キャリアオーナーシップ経営という羅針盤があるからこそ、企業内での課題や取り組みを、企業をこえて共有していくことができるのです。

この企業間をつなぐ対話は、この夏、3期目を迎える「キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム」でさらに深めていきます。

そして、その先です。正直なところ、キャリアオーナーシップって何?キャリアオーナーシップ経営とは? これらの問いかけもないままに、従来型の組織内キャリア型を維持し続けている企業も少なくありません。

今回の受賞企業をロールモデルにしながら、同時多発的かつ迅速に様々なチャネルを使って伝えていかなければならないと感じています。

というのも、キャリアオーナーシップ経営の「パーパス」とは、企業の主体的な取り組みを促進させることだけではなく、キャリアオーナーシップ企業を増やしていきながら、より良き社会と未来を創り出していくことにあるからです。

目の前には、企業の生産性と競争力、そして、働く一人ひとりの心理的幸福感をそれぞれに向上させていくための問題が山積しています。

大きな挑戦であることは間違いありません。
ただ、だからこそ、やりがいがあるのです。

キャリアオーナーシップが、社会を動かしている場面にこれから何度も立ち会えることが楽しみでなりません。

さあ、あなたの目の前には二つの扉があります。

一つは、現状維持の扉。これまでどおり、組織にキャリアを預け、目の前の業務をこなしてく働き方。

もう一つは、未来創造の扉。キャリアのオーナーとして、個人と組織の新たな関係性を構築していく働き方。

あなたが選択するのはどちらの扉ですか?

2023年5月8日は、忘れることのできない歴史的な1日となりました。
関わってくださった関係者の皆様に、心からの感謝を申し上げます。

キャリアオーナーシップ経営AWARD2023 実行委員長
キャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム 戦略顧問
田中研之輔

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