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キャリアオーナーシップとはたらく未来研究会(第4期)

「キャリアオーナーシップ経営スコア」の
導入実証レポートを公開


キャリアオーナーシップ経営スコアで測る、人的資本の進化
─人材・環境・事業を接続する、新たなマネジメント指標の導入実証

2025.08.21

研究会

キャリアオーナーシップ経営に取り組むためのアクション内容を編纂したガイドコンテンツ「はたらく未来白書2025 別冊レポート:キャリアオーナーシップ経営スコアで測る、人的資本の進化 ─人材・環境・事業を接続する、新たなマネジメント指標の導入実証」を公開しました。

本レポートは、自社で「キャリアオーナーシップ人材」を事業・組織の推進力と結びつける進捗状況を評価する指標「キャリアオーナーシップ経営スコア(以下、C/O経営スコア)」の導入実証の結果報告に基づき、その活用方法を提案する実装ガイドです。

レポートのダウンロードはこちら [PDF:2.2MB]

導入実証の背景

コンソーシアムでは、2022年に、抽象論に陥りがちな“キャリアオーナーシップ醸成”を、運用可能な管理対象へと引き戻すことを目的として、キャリアオーナーシップ経営の推進状態を測定し、経営の意思決定を迅速化するツール「C/O経営スコア」の試作を開始し、その導入実証を進めてきました。2023年には、コンソーシアム参画企業の中から複数の企業と共に試作した調査項目や運用方法の改善を行いました。2024年には、10社の企業に協力いただき、改善した「C/O経営スコア」により、経営・人事・現場の目線をそろえ、年代/部署/職種/階層の差を具体的に可視化し、施策の優先順位と打ち手を磨くことの有効性について検証を行いました。本レポートは、この検証を踏まえ、「C/O経営スコア」の構造、導入・運用手順、読み方の要点、実証から得た示唆、活用テンプレートとしてまとめたものです。

「キャリアオーナーシップ経営スコア(C/O経営スコア)」とは

「C/O経営スコア」は、組織の現状を3つの視点で共通尺度化しています。3つの視点は、①社員のキャリアオーナーシップの主観的体現度(見える)、②体現を促す機会の提供(増やす)、③体現した人材を活かしきる基盤整備(つなぐ)で、それぞれの視点で3問ずつの設問があり、全部で9問の質問に、社員と人事・経営陣が回答します。

本スコアの特徴は、社員の内面や行動を定量的に把握するだけでなく、キャリア開発や越境体験などの機会提供が自身にとってアクセスしやすいかや、経営方針の共有がわかりやすいかなど、社員が制度を評価する点と、経営・人事の“制度・成果の自己評価”も同時に調査する点です。それらを突き合わせることで、社員の感じている”実際”と経営・人事の”認識“のギャップを可視化します。このギャップの可視化と合わせ、年代・部署・職種・階層や施策の有無による差分がどこに生じているかを素早く捉えることで、人事制度の改善・導入・廃止の意思決定を容易にし、次の一手につなげていく“運用前提の指標”となるように設計しています。運用は、年1回の定点実施を基本とし、「施策投入→スコア変化→打ち手再設計」のPDCAを回します。

「C/O経営スコア」の活用イメージ

「C/O経営スコア」は、次のような活用を想定しています。

  1. 経営議論の土台:全社平均だけでなく「年代×部署」「拠点×職種」のヒートマップでボトルネックを特定し、限られた資源を優先配分するための意思決定。
  2. 人事オペレーション:制度改定・配置・育成投資の根拠データとして用い、管理職には自組織のスコアと全社レンジを提示して具体的な改善課題に落とし込む。
  3. 現場での実装:研修や施策の受講率を見るだけでなく、日常業務に内省機会と承認設計(1on1、ふりかえり、挑戦行動の称賛)を組み込むためのチェックリストとして活用。
  4. 社内広報/IR:必要に応じて発信素材にも転用。

導入実証を行った企業からは、調査・分析結果の活用も示唆されました。
例えば、ある企業では、若年層では機会提供が進む一方で、30代でスコアが落ち込みやすい傾向がありました。そこで、特に30代を対象とした、専門性の棚卸しと次の役割機会を示す中期キャリアパスを描くプログラムの導入の検討を始めました。
また、他の企業では、生産部門や保守運用部門では、人手逼迫や求められている役割の違いなどにより学習を活かす挑戦の余白が乏しく、スコアが伸び悩む傾向がありました。そこで、ローテーションや多能工化、ローカル採用の強化など、業務そのものの再設計が鍵になるのではないかという仮説を立て、事業サイドとの意見交換を行っています。

このほかにも、協力企業にC/O経営スコアを踏まえた自社の課題やチャンスの仮説設計や今後の社内での活用方法をアンケートし、その結果をまとめています。
「C/O経営スコア」が、多くの企業にとって、人的資本投資を実践する意思決定の質を一段引き上げる共通座標となり、キャリアオーナーシップ経営の実践を前進へと導く一助となれば幸いです。

参考:「C/O経営スコア」の3視点・9質問(社員向け)

導入実証では、10社の企業において、2つ以上の組織の社員を対象に、以下の9つの項目を7段階(全く当てはまらない₋とても当てはまる)で調査しました。なお、実際の調査では、人事施策を享受する側(社員)と提供する側(人事・経営陣)の立場に合わせて、質問票の表現を調整しています。

C/O人材体現度スコア(見える)

  1. 私は、仕事やはたらく人生において、自分の得意なことや目指したいことがわかっている(自己の客観的把握)
  2. 私は、自分なりに創意工夫して仕事に取り組んでいる(主体的な選択・行動)
  3. 私は、ともに働く人や環境が変わってもうまくやっていける(組織への適応力)

C/O醸成機会提供スコア(増やす)

  1. 会社は、私がこれからの仕事やはたらく人生を考える機会を用意している(キャリアを考える内省機会の提供)
  2. 会社は、私がこれからの仕事やはたらく人生に役立つ学びの機会を用意している(キャリアを育てる学習機会の提供)
  3. 会社は、私がこれからの仕事やはたらく人生に役立つ業務の機会を用意している(キャリアを育てる業務機会の提供)

C/O人材活用基盤スコア(つなぐ)

  1. 会社は、私が会社の方針や日々の経営をしている人たちの考えを理解するための機会をつくってくれている(会社の経営方針の理解促進)
  2. 会社は、私の部署や仕事が会社の方針に沿っていると定期的に確認できるしくみや場をつくってくれている(会社の経営方針と社員の業務の関連付け)
  3. 会社は、私が会社の方針に沿った行動をした際に認めてくれるしくみや場をつくっている(意識行動に対する適切な承認制度)

参考:「C/O経営スコア」の3視点・9質問(人事・経営陣向け)

導入実証では、10社の企業において、人事部門及び経営陣の一部を対象に、以下の9つの項目を7段階(全く当てはまらない₋とても当てはまる)で調査しました。なお、実際の調査では、人事施策を享受する側(社員)と提供する側(人事・経営陣)の立場に合わせて、質問票の表現を調整しています。

C/O人材体現度スコア(見える)

  1. 社員は、仕事やはたらく人生において、自分の得意なことや目指したいことがわかっている(自己の客観的把握)
  2. 社員は、自分なりに創意工夫して仕事に取り組んでいる(主体的な選択・行動)
  3. 社員は、ともに働く人や環境が変わってもうまくやっていける(組織への適応力)

C/O醸成機会提供スコア(増やす)

  1. 会社は、社員がこれからの仕事やはたらく人生を考える機会を用意している(キャリアを考える内省機会の提供)
  2. 会社は、社員がこれからの仕事やはたらく人生に役立つ学びの機会を用意している(キャリアを育てる学習機会の提供)
  3. 会社は、社員がこれからの仕事やはたらく人生に役立つ業務の機会を用意している(キャリアを育てる業務機会の提供)

C/O人材活用基盤スコア(つなぐ)

  1. 会社は、社員が会社の方針や日々の経営をしている人たちの考えを理解するための機会をつくってくれている(会社の経営方針の理解促進)
  2. 会社は、社員の部署や仕事が会社の方針に沿っていると定期的に確認できるしくみや場をつくってくれている(会社の経営方針と社員の業務の関連付け)
  3. 会社は、社員が会社の方針に沿った行動をした際に認めてくれるしくみや場をつくっている(意識行動に対する適切な承認制度)

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