イベントレポート
キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2023表彰式
人的資本を最大化する実践論として「キャリアオーナーシップ経営」を目指す企業を広く募集し、その活動を称え、特に世の中に広めたい優れたアウトプットや成果を出している企業を表彰する「キャリアオーナーシップ経営 AWARD 2023 表彰式」を、2023年5月8日(木)に、東京ミッドタウン八重洲カンファレンス(東京都中央区)で開催しました。
当日は、本アワードのグランプリにSOMPOホールディングス株式会社、企業文化の変革 最優秀賞にパナソニック インダストリー株式会社と株式会社丸井グループ、マネジメントの変革 最優秀賞に株式会社 日立製作所とヤフー株式会社、キャリアの変革 最優秀賞にアサヒグループジャパン株式会社と三井住友海上火災保険株式会社、人事/HRの変革 最優秀賞に株式会社カインズと富士通株式会社が決定したことが発表されました。
このほか審査員奨励賞(2社)と優秀賞(12社)の受賞企業も登壇し、受賞した企業計23社の各代表者に表彰状やトロフィーが贈呈されました。
本アワードの審査委員長を務める伊藤 邦雄 一橋大学 CFO教育研究センター長は、総評で「会社から異動を言い渡す人事のあり方から、自らキャリアを形成していくキャリアオーナーシップへ変化する中で、今回のアワードは大変意味深いものである」と述べました。
そして、人的資本経営コンソーシアムや三位一体労働市場改革分科会の設立といった、官民におけるはたらき方の変革の潮流にも触れ、「これを単なるムーブメントではなく、本当の地殻変動に変えていきたいと思っている。キャリアオーナーシップを通して社員の皆さんがライフオーナーシップに向かい、ウェルビーイングを獲得されることを、ぜひ皆さんと確認したいと思う」と話しました。
グランプリ・各最優秀賞発表 & 表彰式
2023年5月8日(月) 10:00〜12:00、グランプリ・各最優秀賞の発表と表彰式を行いました。
表彰式の様子
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キャリアオーナーシップ経営を目指す企業を表彰するアワードを開催
「キャリアオーナーシップ経営」とは、「はたらく個人の力を最大化させ、社会の力に変えていくために、企業が経営戦略、事業戦略、人材戦略をダイナミックに連携させた新人材戦略の策定と実施を通じて、キャリアや仕事を主体的に捉え、自律・自走しながら周囲と共創する人材を増やし、活かすことで、個人と組織が対等な新たな関係性を構築・再構築し、個人と組織の持続的な成長を共に実現していく経営」を意味します。
本アワードは、人的資本を最大化する実践論としてキャリアオーナーシップ経営を目指す企業を広く募集し、その活動を称え、特に世の中に広めたい優れたアウトプットや成果を出している企業を表彰するものです。表彰式の冒頭挨拶では、本アワードの審査委員で、実行委員長を務めた田中 研之輔 法政大学 キャリアデザイン学部・大学院教授が登壇し、「はたらく人が心理的幸福感を感じながら持続的に躍動する未来を実現するため、キャリア自律と企業側からのエンゲージメントをつなぐアプローチとしてキャリアオーナーシップ経営という言葉を皆さまともに育てていきたい」と述べました。そして、「キャリアオーナーシップが社会を動かしていくと考えている。これまでの取り組みを持続させ連携していただければと思う」と期待の言葉を述べました。
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「優秀賞」と「優秀賞(中小企業の部)」、「審査員奨励賞」を発表・表彰
「優秀賞」の受賞企業(8社)として、株式会社エクサ、コクヨ株式会社、千代田化工建設株式会社、株式会社電通デジタル、株式会社NTTドコモ、株式会社マクニカ、三井情報株式会社、株式会社USEN-NEXT HOLDINGS、「優秀賞 [中小企業の部]」の受賞企業(6社)としてHRガバナンス・リーダーズ株式会社、株式会社スタメン、株式会社ZENKIGEN、トゥモローゲート株式会社、RELATIONS株式会社、株式会社WakuWorksが発表され、各社の代表者が登壇し、表彰状が贈呈されました。
続いて、優秀賞の中から、特にタフな状況のなかでも「キャリアオーナーシップ経営」を推進していると審査員が評価した「審査員奨励賞」の受賞企業(2社)として、千代田化工建設株式会社と株式会社電通デジタルが発表され、各社の代表者に田中実行委員長からトロフィーが贈呈されました。
田中実行委員長は、千代田化工建設株式会社について「キャリアを軸とした企業変革に取り組み、「セルフチェンジ、セルフコミット」という言葉を大切にして人材アセットを掘り起こし、自立自走する組織ができあがったことを称したい」、株式会社電通デジタルについて「会社設立の早期から全方位において取り組みを行い、「シャインアッププログラム」をはじめとする“輝かせる”という言葉を大切にした活動を展開し、組織診断の経年のスコアも上昇している」と実績を評価しました。
千代田化工建設株式会社 次世代 DIGGING LAB. 事務局 内田 正颯 氏は「今回は、有志活動「次世代DIGGING LAB.」を評価していただいた。これを励みにして今後の活動にもつなげていきたい」、株式会社電通デジタル 副社長 石川 圭介 氏は「当社は人がどれぐらい伸びるかによってビジネスが大きく変わっていく事業モデルになっている。これからも社員が成長できるように全社一丸となって頑張っていきたい」と、喜びの声を伝えました。 -
「企業文化の変革部門」「マネジメントの変革部門」「キャリアの変革部門」
「人事/HRの変革部門」の最優秀賞を発表・表彰続いて4つの部門の最優秀賞を受賞した企業(計8社)が発表されました。
企業文化の変革部門
キャリアオーナーシップを土台とした、新たな企業文化・風土を生み出すための取り組みをしている企業を表彰する「企業文化の変革部門 最優秀賞」の受賞企業(2社)として、パナソニック インダストリー株式会社と株式会社丸井グループが発表されました。
審査委員のキャリアオーナーシップとはたらく未来コンソーシアム 事務局長、村澤 典知 氏は、パナソニック インダストリー株式会社について「トップが「経営の真ん中に人を据え、一人ひとりが主役の会社になる」 ことを宣言し、人財資産をコアバリューとして異動・昇格は公募を原則にするなど大規模な企業変革を行った」、株式会社丸井グループについて「「人の成長=企業の成長」という経営理念から「手挙げの文化」「対話のルール」を策定し、人事評価で「人の成長」を追加。手挙げをした有志による新規事業が収益化するなど成果が見られる」と評価しました。
パナソニック インダストリー株式会社 常務執行役員 CHRO 梅村 俊哉 氏は「当社の人財戦略コンセプトは「想いを、動かせ。」で、個人の挑戦意欲や想いが会社の成長を押し上げると信じている。取り組みをさらに進化させ、社員が勇気と自信を持って挑戦することで会社が成長し、お客様とともに日本から社会変革をリードできればと考えている」、株式会社丸井グループ 人事部 ワーキングインクルージョン推進担当 課長 後藤 久美子 氏は「10年ほど前から「手挙げの文化」などの企業文化の変革に着手し、自立的な組織によるイノベーション創出を目標にしてきた。いただいた賞に恥じないように取り組みを進めていきたい」と抱負を語りました。
マネジメントの変革部門
キャリアオーナーシップ人材を育て活躍の機会を提供するさまざまな取り組みの中で、特にマネジメント層のあり方や育成にフォーカスした取り組みをしている企業を表彰する「マネジメントの変革部門 最優秀賞」の受賞企業(2社)として、株式会社日立製作所とヤフー株式会社が発表されました。
審査委員のロート製薬株式会社取締役 CHRO 髙倉 千春 氏は、株式会社日立製作所について「個人と組織が双方向で成長していくために、日本におけるジョブ型の人材マネジメントに長年取り組み、個人と組織のパフォーマンスを最大化するプラットフォームを作ったこと」、ヤフー株式会社について「会社と社員の関係をイコールパートナーと明確に打ち出し、「人材開発カルテ」などキャリア開発の仕組み化や、自己申告型の異動制度の導入など、社員が主体的に成長できる選択肢を組み込んだ、経験を主体にした学びのサイクルを全社的に作ったこと」を評価しました。
株式会社日立製作所 執行役常務 Deputy CHRO 田中 憲一 氏は「社会イノベーション事業の展開によって社会に貢献し、その中で我々自身も成長していくために、ジョブ型人財マネジメントへの転換を図ってきた。受賞をきっかけに、従業員一人ひとりと会社双方の成長に向けて、更に取り組みを加速していきたい」、ヤフー株式会社 ピープル・デベロップメント統括本部 カンパニーPD本部 テクノロジー・コーポレートPD部 張 希 氏は「ヤフーが大切にしている1on1という施策が、キャリアオーナーシップ推進の一翼を担う部分としてご評価いただけたと思っている。取り組みは道半ばであるので、今後も多くの学びをいただきながら歩みを進めていきたい」と、今後の抱負を語りました。
キャリアの変革部門
副業/兼業やリスキリングなど社員の非連続なキャリア育成につながる取り組みをしている企業を表彰する「キャリアの変革部門 最優秀賞」の受賞企業(2社)として、アサヒグループジャパン株式会社と三井住友海上火災保険株式会社が発表されました。
本アワードの審査委員で、株式会社morich代表取締役 オール ラウンダー エージェントの森本 千賀子氏は、アサヒグループジャパン株式会社について、「『セルフ・キャリアドック』の仕組みを導入し、キャリア相談を実施。昼休みを活用したキャリアカフェなど、主体的なキャリア開発に有効な仕組みを短期間で構築した」、三井住友海上火災保険株式会社について「DX人材の確保だけでなく育成・拡充に取り組み、大学と連携した専用講座の開発、課題解決ができる人材育成の体系・プログラムを整備。越境型の研修も行い1,000名を超える人材を輩出した」ことを評価しました。
アサヒグループジャパン株式会社 キャリアオーナーシップ支援室 室長 林 雅子 氏は「当社が導入した「セルフキャリアドック」をご評価いただいたことを誠に光栄に思う。さらなる定着を推進して、今度はグランプリの受賞を目指していきたい」、三井住友海上火災保険株式会社 常務執行役員 井上 太郎 氏は「研修や講座をご評価いただくことができた。受賞された各企業の素晴らしい取り組みを参考にさせていただき、新しいアイデアや独創的な仕組みを取り入れ、魅力ある会社作りを行っていきたい」と、今後の抱負を語りました。
人事/HRの変革部門
経営や事業視点を加味した新たな人事/HRの役割と、必要なケイパビリティの拡張につながる取り組みをしている企業を表彰する、「人事/HRの変革部門 最優秀賞」の受賞企業(2社)として、株式会社カインズと富士通株式会社が発表されました。
本アワードの審査委員でカゴメ株式会社 CHO 常務執行役員の有沢 正人氏の講評が代読され、株式会社カインズについて「統率型組織から個を活かす組織への移行を目指し、自律と成長を支援する人事戦略を策定し、自律的に学びを選択できるリベラルアーツやイノベーション思考研修、eラーニング、社内公募によりケイパビリティの拡張につなげた」、富士通株式会社について「キャリアオーナーシップの理解から行動を支える支援策を集約して実行する専任組織の立ち上げや、自身の成長やビジョンを組織内で共有できるコミュニケーションなどの一連の取り組みが、事業戦略と個人キャリアを繋ぎこむロールモデルとなる」と評価しました。
株式会社カインズ 人事戦略本部 組織開発部 部長 兼 本部長補佐 中島 龍一郎 氏は「企業理念の「DIY」を人事に導入して、キャリアを自分自身で作っていくことを旗頭に人事制度や学びの機会を提供している。今回の受賞を励みに、浸透、実行に向けてメンバー一堂で邁進していきたい」、富士通株式会社 Employee Success本部長 阿萬野 晋氏は「従来の人事管理・教育中心から、エンゲージメント向上・成長支援に重心を置き、社員に伴走した支援をしていく。一人ひとりがキャリアを自分ごと化し、well-beingを実現していくエネルギーが、会社のパーパス実現に繋がるよう取り組んでいく」と今後の抱負を語りました。
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キャリアオーナーシップ経営AWARD2023 グランプリ
最後に、最優秀賞の水準を満たし、個人のキャリア軸での全社変革の実践と成果をあげ、それを社外に対して広く発信しており、顕著な社内外への影響が見られる企業に贈られる「グランプリ」(1社)に、SOMPOホールディングス株式会社が選ばれたことが発表され、SOMPOホールディングス株式会社 グループCHRO 原 伸一 氏に伊藤審査委員長からトロフィーが贈呈されました。
伊藤審査委員長は「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というパーパスのもと、既存領域にとらわれないイノベーションによる事業変革を推進。社員一人ひとりの「MYパーパス」をもとに、社員の「はたらく」ことの意識改革につながるタウンホールミーティングの実施や、MYパーパスの実現を支援する人事制度改革などを全社員で実施し、従業員エンゲージメントの向上、人材の活性化、採用力の強化、人的資本向上の取組みと企業価値向上の相関関係の可視化などにつなげた。また、各アクションにトップマネジメントがコミットすることで多様な変革を生みだしており、キャリアオーナーシップ経営のシンボリックな取り組みである」と評価しました。
続いて、受賞を記念して、原氏による「MYパーパスの追求を起点とした、キャリアオーナーシップ経営」をテーマにした講演が行われました。
原氏は、「企業のパーパスを掲げるだけでなく、社員一人ひとりがこれを「自分事化」することが必要と考え、その鍵は社員一人ひとりの人生における「志」にあると考えた」と話し、「これを「MYパーパス」と呼んで、あらゆる経営戦略および人材戦略の土台と位置づけた」と説明しました。「会社の中の自分の人生」という考え方から「自分の人生の中の会社」へ、考え方のパラダイムシフトを図り、「グループ内の会社をまたぐ配置、キャリア採用の拡充、33歳の女性課長が誕生するなどの活性化が進んでいる」と報告しました。
さらに、「これらの取り組みが財務価値・非財務価値に繋がるまでの一連の道筋を「人的資本のインパクトパス」として整理し、エンゲージメント・サーベイの結果をはじめとする様々なデータを活用・分析することで、人的資本向上の取組みと企業価値向上との相関関係を可視化した」と説明。最後に、「人的資本経営を巡る一連の動きを、たんなるムーブメントに終わらせないで、日本が再び成長するための最後のラストチャンスととらえ、人的資本経営を実践、発展させていきたいと考えている」と話しました。
「キャリアオーナーシップ経営AWARD 2023 表彰式」概要
日時 : | 2023年5月8日(木) 10:00~12:00 |
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会場 : | 東京ミッドタウン |
登壇者: |
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「キャリアオーナーシップ経営AWARD 2023」概要※一部改訂2023.03.30
「キャリアオーナーシップ経営」とは、「はたらく個人の力を最大化させ、社会の力に変えていくために、企業が経営戦略、事業戦略、人材戦略をダイナミックに連携させた新人材戦略の策定と実施を通じて、キャリアや仕事を主体的に捉え、自律・自走しながら周囲と共創する人材(=キャリアオーナーシップ人材)を増やし活かすことで、個人と組織が対等な新たな関係性を構築・再構築し、個人と組織の持続的な成長を共に実現していく経営」を意味します。
本アワードは、人的資本を最大化する実践論として「キャリアオーナーシップ経営」を目指す企業を広く募集し、その活動を称え、特に世の中に広めたい優れたアウトプットや成果を出している企業を表彰するものです。
具体的には、キャリアオーナーシップを発揮する人材を可視化し(①見える)、育成あるいは惹きつけ(②増やす)、個人の自律的成長と事業や組織の成長と接続する(③つなぐ)ための仕組みや施策に取り組んでいる企業が対象となります。
- 審査/選考方法
有識者等で構成する審査委員会において、応募企業の取り組みを厳正かつ公正に評価し、優秀賞、部門ごとの最優秀賞、グランプリ受賞企業を選定致します。なお、審査の結果、受賞企業なしとなる場合がございます。
- 審査基準
① 個人と企業・組織の新たな関係を生みだしている
② 取り組みに創意工夫(ユニークさ)が認められる
③ 特筆すべき成果がある(質・量)
- 表彰部門(最優秀賞・グランプリ)
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2023年は、キャリアオーナーシップ経営を導入・実践していく上で重要となるテーマの中から、4つの領域を選び、グランプリと合わせて表彰部門としました。
①人事/HRの変革 部門
経営や事業視点を加味した新たな人事/HRの役割と、必要なケイパビリティの拡張につながる取り組みをしている企業を表彰します。②企業文化の変革 部門
キャリアオーナーシップを土台とした、新たな企業文化・風土を生み出すための取り組みをしている企業を表彰します。③マネジメントの変革 部門
キャリアオーナーシップ人材を育て活躍の機会を提供する様々な取り組みの中で、特にマネジメント層のあり方や育成にフォーカスした取り組みをしている企業を表彰します。④キャリアの変革 部門
副業/兼業や、リスキリングなど、社員の非連続なキャリア育成につながる取り組みをしている企業を表彰します。⑤グランプリ
最優秀賞の水準を満たし、個人のキャリア軸での全社変革の実践と成果をあげ、かつ、それを社外に対して広く発信しており、顕著な社内外への影響(ソーシャルインパクト)が見られる企業を表彰します。
- 応募資格
2022年12月までに取り組みをしている企業が対象です。企業・グループ・個人など、応募する活動主体に制限はありません。審査対象は日本国内での取り組みに限ります。